【開催レポート】美浜町人権教育研究会 保育園部会〜「子どもの権利」から日々の関わりを見つめ直す〜
先日、美浜町人権教育研究会の保育園部会にお招きいただき、「子どもの権利の視点から改めて子どもとの関わりを考える」をテーマとした研修を実施しました。
当日は、3つの保育園の先生方と一部小学校の先生方、合わせて33名の方々にご参加いただき、講義とグループワークを実施。現場のリアルな声も共有され、とても豊かな時間となりました。
本記事では、当日の研修の様子や、参加された先生方から生まれた気づきをお届けします!
研修の概要:なぜ今、「子どもの権利」なのか?
研修の前半では、子どもたちを取り巻く「孤立」などの社会的背景や、「子どもの権利」の基本的な考え方についてお話ししました。
日々忙しく保育や教育に向き合っていると、私たちはつい大人の都合(目的や規範)を優先し、子どもをコントロールしてしまいそうになる瞬間があります。講義では、そうした「コントロールを手放し、一人の人として向き合い、その行動の奥にある願いや小さな声に耳を傾けること」、そして同時に「私たち大人自身の願いにも目を向けること」の大切さをお伝えしました。
現場のリアルな葛藤を分かち合ったワークショップ
後半は、数人のグループに分かれて「日常のよくある関わり」を権利の視点でみつめ直すワークを行いました。参加された先生方からは、現場ならではのリアルな葛藤や深い気づきが共有されました。
事例①:大人の都合と「遊ぶ権利」の葛藤
ある園で話題に上がったのが、お片付けの場面。「まだ子どもが夢中で遊んでいるのに、次のスケジュールのために終了させてしまうことがある」という現場のリアルな声。これを権利の視点で見つめ直した際、「保育現場において遊びは大切な学びの場。それを大人の都合で止めることは、子どもの活動の機会を奪うことになりかねない」というハッとするような気づきが生まれました。まずは自分を責めるのではなく、「あ、今大人の都合を押し付けてしまったな」と大人の感情や思考に“気づく”ことが第一歩だという意見に、多くの方が深く頷いていました。
事例②:「みんなと同じようにしたい」気持ちを尊重するには?
給食の配膳などで、「食べきれないと分かっていても、周りのお友達と同じ量を盛り付けたがる」といった葛藤も共有されました。「みんなと同じようにしたい」という子どもの純粋な願いを尊重しつつ、どうやって無理のない適量を伝えていくか。「子どもの気持ちに寄り添いながら、どんな言葉をかけるのがベストなのか」と、日々のちょっとした場面で正解のない問いに真摯に向き合っている先生方の様子が浮かび上がってきました。
参加された先生方からの感想(一部抜粋)
忙しい日々の保育の中でも立ち止まり、子どもの視点をしっかり見つめ直すことが、子どもの権利を守る保育の実践につながることを再認識しました。同時に、職員同士や保護者との共有を通じて、子どもや周囲への関わり方をより良くするための連携の重要性について考える機会にもなりました。
子どもの権利とは「子どもにとって最も良いことを考えていくこと」であることから、大人と子どもが一緒に考え対話していくことの大切さを知り、子どもだけでなく大人の尊厳も守ることにつながるということが学べました。子ども主体を意識して保育していながらも、そこに「私(保育士自身)」を大切にする気持ちはあったかと振り返りました。子どもの気持ちを尊重するだけでなく、保育者自身も一人の大人として思いを伝え、子どもと対等な関係を築くことや、自分の言葉かけや思い込みを振り返ることの大切さを学びました。
職員間で子どもの人権について話し合う機会を設けることで、園全体で人権を考える取り組みを進めてみたいと感じた。
おわりに
「子どもの権利」という言葉を聞くと、少し難しく壮大なテーマのように感じてしまうかもしれません。しかし、ワークの中で出たエピソードのように、権利を尊重する機会は、実は「日常の些細な関わりの延長線上」にたくさん散りばめられています。
まずは目の前の子どもを「一人の人」として見つめ、その行動の背景にある感情を想像してみる。そして、コントロールしようとしてしまった自分に気づき、そっと手放してみる。そんな小さな積み重ねが、子どもたちの尊厳を守る環境づくりに繋がっていくのだと、皆さんの対話を通じて私たち自身も改めて学ばせていただきました。
ご参加いただいた美浜町の先生方、本当にありがとうございました!私たちPIECESは、これからも現場の皆さまとの対話を大切にしながら歩んでいきたいと思います。
執筆:矢部杏奈
「私たちの法人でも、研修・講演を開催してみたい!」 「まだ具体的な研修内容は分からないけど、ちょっと話を聞いてみたい」などありましたら、どうぞご相談ください。講演テーマやその他の事例はこちらをご覧ください。
「みんなで子どもを育てる県民運動推進大会 in 香川」でお話させていただきました|活動レポート
6月12日(金)、香川県庁ホールにおいて開催された、令和8年度「みんなで子どもを育てる県民運動」推進大会に講師としてお声がけいただき、『子どもにやさしいまちづくり -いま、わたしたちにできること-』というテーマでお話しさせていただきました。
講演の前には、青少年育成に関わった個人・団体への表彰が行われ、会場は「地域全体で子どもたちを育んでいこう」という温かい熱気に包まれていました。
子どもを取り巻く「孤立」の現状と、明日からの小さな一歩
講演の前半では、子どもたちを取り巻く「孤立」の現状についてお話ししました。「支援」という枠組みだけではなかなか届かない心理的な孤立を抱える子どもたち。そんな子どもたちにとって、カギとなるのは親でも先生でも支援者でもない、地域にいる「ふつうの大人(市民)」の存在です。
後半は、専門的な役割としてではなく、一人の人として日常の中で子どもと関わる「市民性」について深めていきました。日常の中でそっと安心のサインを手渡すような、明日から実践できる小さな関わりについても紹介させていただきました。
参加者の声
講演の最後には、参加者の皆さまの温かい声を聞くことができました。一部を抜粋してご紹介します。
「通勤するとき、意識的に周りを見るようにしているのですが、いつもすれ違う外国籍の方とたまたま別の場所で会い、お互いを認識して話が盛り上がったんです。今日の『日常の中でつながりを持つ』というお話を聴いて、その出来事を思い出しました。少しだけ心に余裕をもって、周りに目を向けるって本当に大切なことだと改めて感じました。」
「虐待等から子どもを守るためには、『189(児童相談所虐待対応ダイヤル)』を周知することも大切かもしれません。でもそれだけじゃないんだとお話を聴いて改めて感じました。市民一人ひとりが日頃から『気づきの目』をもって生活すること、そして『どうしたの?』と声をかけること、そんな地続きの関わりこそが本当に大切だと思いました。」
「子どもには子どもの世界やプライドがあるので、大人があんまり余計なことをしてもいけない。だからこそ、お話にあった『ちょうどいい関わり』って確かに難しいけれど、とても大切ですね。」
表彰や講演の感想などを伺いながら、香川のまちのあちこちですでに優しい「市民性」の種が芽吹いていることを実感する時間となりました。「みんなで子どもを育てる」という大きな願いに向かって、一人ひとりにできることを考えるきっかけになっていたら嬉しく思います。
PIECESはこれからも、全国の市民の皆さまとともに、子どもたちの周りにやさしい間を広げていく活動を続けていきます。素晴らしい機会をいただいた香川県の皆さま、本当にありがとうございました!
自治体・団体・企業の皆さまへ
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社内勉強会でお話させていただきました|企業連携レポート
保育・教育施設向けICTサービスを提供する株式会社コドモンよりご依頼いただき、同社社員の皆さまを対象とした社内勉強会「コドモンミート」にて、PIECESの取り組みについてお話しさせていただきました。
当日は30名を超える社員の皆さまにご参加いただき、子どもの孤立の現状やPIECESの活動についてご紹介した後、意見交換や質疑応答をおこないました。
30分という限られた時間ではありましたが、社員の皆さんからは実体験を踏まえた感想や質問が寄せられたほか、忙しい毎日の中でも無理なく地域と関わることについて考える機会となるなど、有意義な時間となりました。
参加者の声
私も子育てをする中で、いかに地域の関わりが大事かを感じて、それまで全く関わっていなかった地域ネットワークに参加するようになった経緯もあります。
・「サードプレイスは増えているものの、うまく活用されていない」という現状の課題は、私自身も実感として持っておりました。私の住んでいる地域に、18歳以下の子どもが100円で食べられるカレー屋さんがあります。 そこを訪れた子どもたちが店主と顔見知りになり、自然とフランクに話せる間柄になっていく。そのような形で子どもたちを支える「シチズンシップ」が育まれる社会が、もっと広がればと強く感じます。
・これまでは仕事や家庭の忙しさを理由に、「全力でコミットするか、何もしないか」という極端な思考になりがちでした。
ですが、Citizenship for Childrenは、なにか特別な活動というより、子どものために何ができるかという「視点」を持って生活することそのものなのでは!と腑に落ちました。
・私自身にも子どもがいますが、彼らが困っているときや問題に直面したときに、必ずしもそのことを話してくれるとは限らないと感じています。
だからこそ、いつでも安心して相談できる環境を日頃からつくっていくことの大切さを、改めて考えさせられました。
・今回のお話を通して、子どもの孤立という問題について理解を深めることができました。これまで私は、子どもの貧困や虐待などの問題は専門機関が支援するものというイメージが強くありましたが、その背景には「孤立」があり、問題が起こる前に関係性をつくることが重要であるという点がとても印象に残りました。