市民性

「市民性」を手がかりに、子どもとの関係を見つめ直す|CforCレポート

子どもと自分にとっての心地よいあり方をともに学び、実践するプログラムCitizenship for Children2025

「支援者」ではなく「ひとりの人」として子どもに関わりたいと思うからこそ生まれる、迷いや葛藤。Citizenship for Children(CforC)は、そんな願いや気持ちを持つ人たちが集い、子どもと自分にとっての心地よいあり方をともに学び、実践するプログラムです。

CforC2025は前期・後期の2期制。

講座16名、リフレクション7名、アクションサポート2名にご参加いただき、CforC2025前期がスタートしました!

また、プログラムの初回となる講座「子どもの隣にいる大人のあり方を考える〜『市民性』という観点〜」は、上記25名のほかに一般参加の皆さん21名にも公開し開催しました。

【講座概要】
■日時:2025年7月5日(土)9:30-12:00
■スピーカー:斎典道(NPO法人PIECES代表理事/ソーシャルワーカー)
■講座内容
子どもを取り巻く現状を知り、「市民性」というキーワードを手掛かりに、子どもが孤立することなくWell-beingに生きられる地域や社会を育むために必要なことをともに考えていく講座です。
■主なトピック
 ①市民性とは
 ②子どもを取り巻く現状
 ③子どもが大切にされる社会のためにできること
 ④自分の身の回りにある市民性を見つけるワーク

当日の様子

土曜日の朝9:30。

東京、愛知、沖縄など、各地からZoomをつなぎ、参加者の皆さんが集いました。
少しアイスブレイクをして場があたたまったところで、いよいよ講座がスタート。

デンマークの暮らしで触れた「人権感覚」や、地域の「切手屋さん」の話などのエピソードを手がかりに、子どもを取り巻く現状や、わたしたちが「市民」としてできることについて共に考えていきました。

今回の講座を通して、参加者からこんな声が聞こえてきました。

参加者の声

・友人がうずくまっていたときに隣に座ることしかできなかった当時の自分は無力感を覚え、なにかできる大人になりたいなと思ったのですが、今考えるとただその場に一緒にいることでよかったのかも知れません。

・声を聴く、という部分で、それは聴くと言っても半分以上は「眺める」ということなのではないか、という言葉が響きました。聴くとは、心の奥底にある願いや声にもならない言葉を聴くということで、それを受け取るには、一緒に眺めるということが必要だ、ということ。どれだけ私は普段ちゃんと聴けているだろうか。眺めよう。また、眺めたいと思っているだろうか、と思わされました。

・人生経験を積めば積むほど、専門家として勉強すればするほど、市民性を発揮して他者に「ひらく」ことが難しくなると感じています。もちろん専門性を発揮するべき時も多いのですが、同時に市民性をベースに関わってくれる人との協働が必要な場合が多いです。その際、自分は専門性をベースにしながらも、心をひらいて市民性を受け容れるような感覚を持ち合わせていることが大切だと感じました。

心が少しざわざわしたとき、誰かのそばで、何かをしなくても、ただ一緒にいてくれた存在。

子ども時代の記憶や、今の日常にある関係性に思いを馳せる対話があちこちで生まれ、急遽対話時間が延長となるほどの盛り上がりでした。



照らしてみたらそこにある、一人ひとりにとっての市民性。

自分の暮らしや過去の記憶から立ち上がる感覚やまなざしを持ち寄りながら、

CforC2025の初回講座は、それぞれの問いと探求がはじまる場となりました。

CforC講座参加者募集中! |Citizenship for Children2025

「市民性」をキーワードに、子どもとの関わりを見つめ直す連続講座。

支援者としてだけでなく、「ひとりの人」として子どもと出会い直したい。そんな思いを持つあなたに。

自分のペースで、何度でも学べる動画視聴型プログラムです。

■ 内容

・市民性醸成ゼミ:CforCの出発点となる導入講座

 (アーカイブ配信/11月にも同内容での講座開催あり)

・講座動画 :月1回×6本の講座+対話セッション

 児童精神科医、プレーワーカー、ソーシャルワーカー、まちづくりの専門家など、子どもに関わる専門職の講師から関わりの事例を学ぶことができます。また、リアルタイムに講師に質問をする機会もあります。

・好きな時間に視聴できるオンデマンド配信+録画

 仕事や日常を続けながら、自分のペースで学びにアクセスできます。

■こんな方へおすすめ

・すきま時間を活用して、子どもに関わる実践者の講義を聞きたい

・特に子どもに関する活動経験や予定はないが、子どもを取り巻く環境に関心を持ち、自分にも何かできることがないかと考えている

・対人支援や市民活動に携わっていて、自分なりの関わり方を更に探求したい

■募集概要

・実施期間:2025年7月~2026年2月

・募集人数:約100名(書類選考なし)

・参加費:社会人 ¥20,000 / 学生 ¥10,000(税込)

・募集締切:2025年10月31日

※CforC2025講座では、2025年7月~2026年2月の間、毎月1本の講座動画配信と、登壇講師と直接話せる「講師を囲む会(Zoom)」を実施しています。

お申し込み時点までのすべての講座動画と囲む会のアーカイブを視聴でき、以降の動画配信やリアルタイムでの参加も可能です。

▼詳細・お申込みはこちら

https://kouza-cforc-2025.peatix.com/

支える/支えられるを越えた「ともにいる」関係を探求したい。CforCは、そんな想いに応えるプログラムです。ぜひ、一緒に学びませんか。

【イベントレポート】「道路の凸凹を塞ぐ段ボール」から市民性を考える〜まち歩きワークショップ

まち歩きから市民性を考える

2024年11月16日(土)に兵庫県神戸市の新長田でまち歩きを実施しました。
この企画は、PIECESが大切にしている「市民性」についてさまざまな視点からみつめるオンライン体験ワークショップ「市民性みっけ」の対面版として行いました。

今回まち歩きをした新長田は、徒歩圏内に複数の商店街が残る地域です。阪神・淡路大震災で甚大な被害を受けながらも、豆腐屋、魚屋、肉屋、八百屋などが軒を連ね、買い物の利便性が高いです。また、まちを歩くと、道端のベンチでくつろぐおじいちゃんおばあちゃんの姿を目にしたり、ベトナム、フィリピン、韓国など、様々な文化を反映したお店があることにも気がつきます。

そんな新長田のまちを4名の参加者と共に歩き、まちで見たことを軸に「市民性」について考えてみました。

まち歩きから市民性を考える

まずはPIECESの活動と参加者の自己紹介を行いました。大阪から参加したメイトの方、PIECESは知らなかったけど「市民性」や「新長田のまち歩き」に惹かれた近隣の方などが参加してくださいました。

その後、市民性について「やさしさのむしめがねBOOK」という冊子を見ながら話しました。市民性は私たちの周りにすでにあり、誰かの願いや想いから生まれてくるものです。

それを踏まえて、まち歩きでは「何か珍しいものを探す」のではなく、「市民性かも」と思ったものからそれが起きている背景まで考えることを意識してみました。

まち歩きの様子

まち歩きでは、近隣の4つの商店街を通って歩きました。

外国語を母語とする人たちをサポートする施設、ベンチに座ってお喋りするおばあちゃんたち、店先で雑談をする店主とお客さん。様々な光景が商店街では見れました。

その中でも面白かったのが、道路の凸凹を塞ぐ段ボールです。ある商店街では道がレンガで舗装されていました。

しかし、ちらほらレンガが剥がれていたり、凹んでいたりして、凸凹しているところもありました。そんな道で、レンガがたくさん剥がれた箇所を段ボールとテープでカバーしているところがありました。おそらく凸凹が気になったまちの人が自分にできることとして段ボールで凸凹を塞いだのだと思われます。

こんなふうにまち歩きでは、まちで起きていることとその背景を考えて歩いていきました。

「市民性かも」を共有する

まち歩きから戻ってきたら、まちで見たものから「市民性かも」と思ったものを付箋に書き出して共有していきました。

付箋は以下のようなものが出てきました。

  • 道路の凸凹を塞ぐ段ボール

  • 車椅子でタバコを吸うおばあちゃん

  • お客さんと雑談する店主

  • 道の落ち葉掃除

  • 市民発信のイベントがたくさん

どこで見たのか、どんな様子だったのかなども1つ1つ共有していきます。

共有していくうちに「私も同じ付箋書いた」という声や「今の話だとこういうこともあるかも」と新しく付箋が書かれていく場面もありました。

最後に「市民性って実は〇〇なんじゃないか」というお題に対して、〇〇の部分を埋めてみましょうというワークを行いました。それに対して、以下のような回答が出てきました。

  • 思いやりとおせっかい

  • ジブンの拡張

  • 私の範囲が広がること

  • 想像力を持ったありのままの重なり合い

  • ヒーローなんじゃないか

  • 名前のついていない一言で言い表せない現象

市民性という言葉は正解があるわけではありません。人によって想いも願いも行動も異なり、それにより言葉だけで説明するのが難しい部分があります。

だからこそ、PIECESではワークショップを通して市民性を多くの人に届けようと思っています。

執筆:スタッフ くりのさやか


【オンライン講座】「暮らしの中にある市民性」参加者募集中!

PIECESでは一人ひとりの手元から紡がれていく「市民性」に着目しています。市民性はどんな風に育まれていくのか、わたしたちの暮らしにはどんな市民性があるのか、参加型ワークショップを通じて参加者とともに考えます。

【講座概要】

日時:2024年12月11日(水)12:00-13:30
   2024年12月18日(水)19:30-21:00
※どちらも同じ内容となります。お申込みフォームに希望日時をご選択ください。

場所:オンライン(ZOOMを使用します)
参加費:500円(市民性について紹介するミニ冊子付き(PDF版))

【こんな方にオススメ】
 ・子どもたちのために自分にできることを考えてみたい方
・PIECESが伝えている「市民性」について詳しく知りたい方
・「子どもの孤立」という問題に関心のある方
・子どもを取り巻く問題について知りたい方
・PIECESの活動を詳しく知りたい方
・PIECESが主催する市民性醸成プログラムCitizenship for Children に関心がある方

▼詳細や申し込みはこちら
https://mikke-2412.peatix.com/


「わたしの中にある市民性 - PIECES活動紹介&ワークショップ-」をスタートしました!

PIECESでは、子どもたちの生きる地域に「信頼できる市民」を増やしたいという想いから、これまで活動を行なってきました。私たちは一人ひとりの手元から紡がれていく「市民性」に着目しています。

今回、PIECESの活動紹介と、私たちの暮らしの中にある「市民性」について考える参加型ワークショップをあわせた「わたしの中にある市民性」を9月12日・25日に開催し、2日間で16名の方にご参加頂きました。

市民性は特別な人や特別な出来事にあるのではなく、毎日の何気ない風景の中にあります。そのことをお伝えし、参加者一人ひとりが日常の中で出会った市民性を見つめ直しました。

自分が住むまちや地域で起きたこと、ご近所さんとの何気ない会話、地域の人も一緒に子育てを見守ってくれている話、地元のお祭りに参加して気付いた自分の想いなど、少人数のグループに分かれてご自身がみつけた「市民性」を語り、感想共有を行いました。

今回ご参加頂いた方に「やさしさのむしめがねBOOK」をPDFでお配りしながら、市民性についてご紹介しました。

参加者の声

・自分の「あり方」について、改めて考えたり振り返ったりする機会になった。

・はじめての参加でしたが、とてもあたたかい雰囲気のなかで、ワークを通じて市民性について考えることができました。

・市民性というのはそんなにかたいものではなく、ほんのちょっと勇気を出すことなのかな、と思いました。

・やさしさのむしめがねや、グループワークで、小さな幸せが地域に溢れていることを改めて感じることができました!

・対話のグラウンドルールに表されているような温かな場が心地よかったです


今後も「わたしの中にある市民性ー PIECES活動紹介&ワークショップ ー」を開催予定です。ご関心ございましたらぜひご参加ください。

(執筆者:佐藤麻衣)