対話

市民性と専門性~公的支援の立場から見る“非専門職”の可能性~安井飛鳥さんを囲む会|CforCレポート

子どもと自分にとっての心地よいあり方をともに学び、実践するプログラムCitizenship for Children2025

「支援者」ではなく「ひとりの人」として子どもに関わりたいと思うからこそ生まれる、迷いや葛藤。Citizenship for Children(CforC)は、そんな願いや気持ちを持つ人たちが集い、子どもと自分にとっての心地よいあり方をともに学び、実践するプログラムです。

【講座】では、月ごとに異なる講師による「講義動画」を配信。その上で講師とzoom上で質疑・対話ができる「講師を囲む会」を実施しています。

講義動画概要

■講師:安井飛鳥さん

 弁護士とソーシャルワーカーの協働を考える会

 ちば子ども若者ネットワーク

 一般社団法人Void

■講座タイトル

 市民性と専門性~公的支援の立場から見る“非専門職”の可能性~

■主なトピック

 ・講師紹介/これまでの活動紹介

 ・“支援”の枠組みに乗らない・乗れない子どもたち

 ・対談①~専門職として関わることの可能性と限界~

 ・対談②~子ども・若者にとっての市民性と専門性~


講師を囲む会の様子

2025年12月17日(水)に実施した「講師を囲む会」では、

子ども・若者支援の現場に長く関わってきた安井さんを囲み、

参加者それぞれの実践や迷いを持ち寄りながら、対話の時間を持ちました。

テーマとして繰り返し立ち上がってきたのは、

「専門職としての役割」と「一人の市民としての関わり」のあいだで、どう立つのか

という問いでした。

「最後は人と人」という感覚を、どう守るか

安井さんから繰り返し語られたのは、

境界線(バウンダリー)を意識することの大切さと、

それでもなお「人として向き合う」ことを手放さない姿勢でした。

・境界線を越えないことは、相手を尊重すること

・ただし、相手の話だけを引き出し続ける関係は対等ではない

・信頼関係のためには、支援者側の自己開示も不可欠

特に子ども・若者にとっては、

「どんな資格を持っているか」よりも、

「この人は人間として信頼できそうか」が、関係の入口になる。

キャラクターものの小物や、趣味の話題など、

ささやかな自己開示が「話してもいいかも」という感覚を生むこともある。

そんな具体的な実践が共有されました。

支援は、いきなり始まらない

対話の後半では、

「支援が必要な状態に至るまでのプロセス」についても話題が及びました。

多くの制度や専門機関は、

「もう相談できる状態になった人」を前提に設計されています。

だからこそ、

その手前の、名もない時間や関係性を支える場が必要なのではないか。

CforCが大切にしている「市民性」の視点が、

改めて浮かび上がってきました。

揺れながら関わり続ける人たちへ

最後に安井さんから語られたのは、

答えを急がなくていい、というメッセージでした。

きれいに整理できないまま、

揺れやモヤモヤを抱え続けること。

その感覚こそが、

子どもや若者と向き合うときの感度を保ってくれる。

今回の「講師を囲む会」は、一方的に学ぶ場ではなく、

参加者一人ひとりの実践と問いが交差する対話の時間でした。

それ自体が、CforCが目指している関わりのあり方を

体現していたように思います。

アーカイブ配信受付中!詳細はPeatixよりご覧ください。

https://cforc-kouza-2025.peatix.com/

「正解はないけれど、対話が必要だった」稲美町の『ゆるり家』が研修で見つけた、地域とつながる新たな一歩

兵庫県稲美町でこどもの居場所づくりに取り組む「NPO法人ゆるり家」。日々の活動に追われる中で、スタッフ同士が想いを共有し、地域へ活動を広げていくために、PIECES(ピーシーズ)による研修を実施しました。代表のりえさんに、研修を終えての率直な感想と、そこで生まれた「予期せぬ化学反応」についてお話を伺いました。

NPO法人 ゆるり家

兵庫県稲美町で、子育てひろば、月曜日の放課後だけの駄菓子屋さん、中学校内居場所、放課後居場所カフェなど、さまざまな居場所づくりを行っています。
いろんな『コドモ』を見守る、気のいい『オトナ』であふれる町を目指して、人がゆるやかに集う場をつくっています。

Instagramにて発信中!

https://www.instagram.com/yururiya173/

こどもにやさしいまちづくり 開催概要

第1回:こどもたちの今とおとなにできること
2025年8月30日 稲美町子育て交流施設 いなみっこ広場にて開催
・今日の目的
・自己紹介タイム
・「子どもの頃、何か支えになった存在はいましたか?」ワーク
・講演
 
子ども・若者たちのいま
 
大切にしたい「まなざし」と「関わり」
・対話の時間

第2回:こどもとの関わり方を振り返る
2025年12月17日 稲美町加古福祉会館にて開催
・ワークの目的
・価値観のメガネに気づく
・リフレクションペアワーク
・まとめ・感想共有


価値観のメガネに気づく
私たちが意見として表す言葉や行動の背景には、これまでの経験から形づくられてきた価値観があります。他者の背景を想像すること、そして自分の価値観をみつめることの大切さについてお話しました。

リフレクションペアワーク
参加者のみなさんには、事前に配布した「エピソード振り返りシート」に、子どもとの関わりの中で少しモヤモヤしたり葛藤を感じたエピソードを記入してきていただきました。

体験ワークとして取り組みやすいリフレクションのペアワークでは、定型の14つの問いを使ってお互いに問いかけ合い、少しずつ思考や願いを深めていきました。問いを重ねていくことで、話す人自身が、一人では気づけなかった相手の子どもと自分の願いや価値観に出会っていく。そのプロセスを、それぞれのペアがゆっくりと、二人で心を寄せながら深めている様子が印象的でした。

「こどもとの関わりを振り返る」研修の様子

スタッフ間で「立ち止まる時間」を共有できた

 「ボランティアでやっているからこそ、活動時間外に集まるのは難しい。でも、今回はその時間を共有できて本当によかった」。
りえさんは開口一番、そう振り返りました。 普段は目の前の子どもたちの対応に追われがちですが、今回の研修では「リフレクション(振り返り)」の手法を導入しました。研修には、ゆるり家のスタッフをはじめ、地元の社会福祉協議会職員や、広報を見て申し込まれた方など、計15人が参加されました。
個別のケースについて正解を求めるのではなく、スタッフ同士で「あの時どうだった?」と対話することで、「こういう時間が必要だったんだ」という再確認ができたと言います。

「外の風」がもたらした地域の変化 

今回の研修には、ゆるり家のスタッフだけでなく、行政職員や、大阪からわざわざ話を聞きに来た参加者もいました。

大阪からの参加者と地元の学童保育の先生、そして行政職員が同じグループで対話をするという、普段ではありえない光景が生まれました。

「外から学びに来る人がいるんだ」という刺激は、行政職員にとっても新鮮な驚きとなり、「良かったです!」とわざわざ声をかけられるほどの反響があったそうです。

「こどもにやさしいまちづくり」第1回はPIECES代表理事の斎が講演を行いました

広報紙から生まれた、ひとりのボランティアの物語

研修の成果は、人のつながりとして現れ始めています。

稲美町の広報紙を見て研修に参加したある女性は、その後、中学校内にある居場所のボランティアとして定着されたそうです。
さらに、その場での出会いがきっかけとなり、なり手不足だった地域の「主任児童委員」を引き受けることになったというドラマも生まれました。
 
「広報紙を見て来る人は少ないけれど、そこに掲載されたからこそ生まれる出会いがある。一人が動き出すってすごいこと」と、りえさんは手応えを語りました。

「対話の芽」を、今後は行政や地域全体を巻き込んだ勉強会へ育てたい

 「子どもの声をどう聴くか」。国の方針としても掲げられていますが、現場ではまだ手探りです。今回の研修で生まれた小さな「対話の芽」を、今後は行政や地域全体を巻き込んだ勉強会へと育てていきたい。稲美町で活動する「ゆるり家」さんの挑戦は、まだ始まったばかりです。

研修時にお話くださった「ゆるり家」代表のりえさん。


PIECESでは、講演・研修をお受けしています!

認定NPO法人PIECESでは、日本の子どもを取り巻く環境やPIECESの取り組み、一市民・一企業という立場でできることなどを知っていただくため、講演や研修などのご依頼をお受けしています。イベントや勉強会、ランチセッション、人事研修などの講師としてお呼びいただくことで、より多くの方々とともに、市民性醸成に取り組むことができます。
講演形式だけでなく、対話やワークショップを交えた形など、ニーズに合わせて柔軟に対応しております。

自治体にて講演・ワークショップを実施した時の様子

「私たちの企業・団体・自治体でも、研修・講演を開催してみたい!」 
「まだ具体的な研修内容は分からないけど、ちょっと話を聞いてみたい」など、ぜひお気軽にご相談ください。

個別相談会、実施中!

子どもへの“支援”を問い直す~あそび場での実践に学ぶ「子どもとともにいる」関わり~神林俊一さんを囲む会|CforCレポート

子どもと自分にとっての心地よいあり方をともに学び、実践するプログラムCitizenship for Children2025

「支援者」ではなく「ひとりの人」として子どもに関わりたいと思うからこそ生まれる、迷いや葛藤。Citizenship for Children(CforC)は、そんな願いや気持ちを持つ人たちが集い、子どもと自分にとっての心地よいあり方をともに学び、実践するプログラムです。

【講座】では、月ごとに異なる講師による「講義動画」を配信。その上で講師とzoom上で質疑・対話ができる「講師を囲む会」を実施しています。

講義動画概要

■講師:神林俊一さん

 一般社団法人プレーワーカーズ 理事

 一般社団法人TOKYO PLAY

 世田谷区外遊び推進員

■講座タイトル

 子どもへの“支援”を問い直す~あそび場での実践に学ぶ「子どもとともにいる」関わり~

■主なトピック

 ・講師紹介/子どもにとっての遊びとは

 ・あそび場での実践~東北・世田谷を中心に~

 ・対談①~子どもと“ともにある”実践とは~

 ・対談②~関わりのカタチ~


講師を囲む会の様子


2025年10月22日(水)19:00。

仕事の手をそっと休め、それぞれのPCの前に座ります。

画面には、CforCの参加者とスタッフの顔。プログラム開始から4か月、どこか安心できる“いつものメンバー”になってきました。

まずはスタッフから、この月の講義動画の振り返り。

参加者からは、

「そうそう、こんな話が印象に残っていた」

「視聴したとき、ここを自分と重ねながら見ていた」

と自然に言葉がこぼれ、ウォーミングアップが進んでいきました。

■ 神林さんとの対話から生まれる気づき

いよいよ講師・神林さんを迎えての対話が始まります。

参加者からは、現場での悩みや関心がこもった問いが次々に投げかけられました。

・子どもと関わるときの“立ち位置”はどう決めたらいい?

・市民を子どもの場に巻き込む時、どんなアプローチをしている?

・準備と余白のバランスはどう考えたらいい?

・子どもの関わりをひらく“魔法の言葉”はある?

それぞれの問いに神林さんは、実践の経験や地域でのエピソードを交えながら、ひとつひとつ丁寧に応えてくださいました。

■ 参加者に広がった視点の変化

終盤には、参加者からこんな言葉も聞こえてきました。

・理解が追いついていない人に合わせる、という話にハッとしました。

・人が集まると、温度が高い人同士で盛り上がりがち。でも今日は“温度が低い人に寄り添うことの大切さ”を感じました

・大人の姿勢は、子どもにも必ず伝わっていくんだと改めて実感しました

・まずは大人でも子どもでも、その人をよく観察し、話を聞くこと。それが第一歩だと再確認できました

神林さんの話を受け、

“どう動くか”よりも、まず“どんなマインドでそこにいるか”へと視点がすっと転換されていく。

そんな変化が、静かに、でも確かに広がっていきました。

それぞれの現場で悩みながら子どもの隣にいる参加者にとって、

学びと励ましが混じり合う豊かなひとときとなりました。

■ おわりに|“寄り添う姿勢”からはじまる関わり

今回の講師を囲む会を通して生まれたのは、

“子どもへの関わり方”だけでなく、

“大人同士の関係づくり”のヒントでもありました。

大きな一歩でなくていい。

迷いながらでいい。

その積み重ねが、子どもにとっても大人にとっても心地よい場をひらいていくのだと気づかされる時間でした。

CforCは、こうした対話や学びの積み重ねを通して、

一人ひとりが“子どもの育ちを支える市民”として育っていくプログラムです。

次回の講師を囲む会も、どんな気づきが生まれるのか楽しみです。

アーカイブ配信受付中!詳細はPeatixよりご覧ください。

https://cforc-kouza-2025.peatix.com/

子どもの発達と心のケア~児童精神科医の視点からみえる、子どもたちの今〜|CforCレポー

子どもと自分にとっての心地よいあり方をともに学び、実践するプログラムCitizenship for Children2025

「支援者」ではなく「ひとりの人」として子どもに関わりたいと思うからこそ生まれる、迷いや葛藤。Citizenship for Children(CforC)は、そんな願いや気持ちを持つ人たちが集い、子どもと自分にとっての心地よいあり方をともに学び、実践するプログラムです。

今年度のCforCは、「講座」「リフレクション」「アクションサポート」というコンテンツを参加者が自由にカスタマイズできることが特徴です。(各コンテンツあわせて現在19人が参加しています。)

その中で、「講座」に参加している方がリアルタイムで集まり、事前に視聴した講義動画をもとに講師との質疑応答や対話を行う、講師を囲む会を8月27日に開催しました。

講義動画概要

■講師:小澤いぶきさん

 NPO法人PIECESファウンダー/一般社団法人Everybeing共同代表

 児童精神科医/こども家庭庁アドバイザー

■講座タイトル

 子どもの発達と心のケア ~児童精神科医の視点からみえる、子どもたちの今〜

■主なトピック

① 子どもを取り巻く現状

② 子どもの発達の基盤となる安心・信頼の醸成

③ 子どもの発達に影響するもの

④ 子どもが子どもでいられる社会であるために

講師を囲む会

参加者には、事前に下の講座動画を視聴していただきました。

講師の小澤さんは最近、沖縄の多良間島という自殺希少地域で数日間を過ごされたそうです。その中で感じた島の人たちとの関わりから「市民性の層が厚い」と感じたことをお話してくださいました。

参加者からの質問は、その具体的なエピソードを知りたいという内容から始まりました。

その後も、

「自分が大人の価値観を押し付けていないかをどのように自覚するにはどうすればよいのでしょう」

「現在、日本では少子化が進む一方で、子どもの孤立が益々深まっているように感じる。

さまざまな要因が考えられる中で、その一因として『自然災害』や『気候』などの自然環境がもたらす影響にはどのようなものがあるでしょうか」

などの質問が続き、小澤さんからの回答だけではなく、気づきのシェアやみなさんの対話がありました。

今回、小澤さんがお話の参考に案内された note と書籍

  • note(自殺希少地域に暮らす子どものまなざし)
  • 紹介書籍(異常気象や戦争、震災といった非日常が心に及ぼす影響)
  • 参加者の感想

    • 被支援者を勝手に作らない。「一緒にどんな風景を見たいか」という問いに戻りたいなと思いました。

    • 子どもにも敬意をもって1人の人として関わるということを大切にしたいと思った。

    (執筆者 CforCプログラム担当:泉森奈央)

    CforC2025では、参加者同士の対話やワークを通して、子どもと自分にとっての心地よいあり方をみんなで探求しています。現在、10月31日まで後期講座参加者を募集しています。ご興味のある方は、講座申込ページをご覧ください。