2024年度、PIECESは組織として大きな転換期を迎えました。創設者である小澤いぶきから、斎典道へと「代表」のバトンが渡される。組織にとって重要な転換点であり、メンバーにとっても大きな変化の時でした。それぞれの立場で不安や葛藤を抱えながらも、一人ひとりが互いの思いを聴き合い、新しい関係性や組織のあり方を模索してきました。今回はそのプロセスの中でも、大きく組織としてのあり方が変わったDXO(ディクソー)というプログラムでの話をお伝えします。

DXOとは?

働く人の個性を解き放ち、組織を生命体のようにしなやかな形態にデザインするプログラム。組織をアップデートし、チームや個人が意志決定できる進化型組織へと導く。手放す経営ラボラトリーが開発。


 

2024年の年明けから代表交代を見据えた準備を始め、それに伴い、組織のあり方も変わろうとしていました。

:2024年2月頃から、自分なりのリーダーシップのあり方を模索し始めていました。いぶきさんのようなリーダーシップの発揮の仕方は自分にはできない。そう思った時に、どんなリーダーシップを発揮していけばいいのか考え始めたんです。これまでPIECESはいぶきさんという象徴的な存在を中心に運営してきましたが、これからは一人ひとりが持つ力や願いを起点にした組織づくりをしていきたいと考えていました。みんなが力を持った存在なんだということ、その感覚をみんなが持っていくことがすごく大事なことのような気がしたんです。

けいた:なるほど。くりちゃんはその時どう思っていたんですか?

くりちゃん:斎さんからは「みんなが意志を持っている存在である」というメッセージは発信されていました。スタッフ全員がリーダーである組織にしたいという意識からだったのだと思います。でも、メンバーはそれをどう実現していけばいいのか分からない。これまでのやり方をすぐに手放すこともできないし、どう手放したらいいかも分からない。そのための指針を話し合う機会もなかった。結果として、代表継承はしたし斎さんの思いは受け取ったけれど、じゃあ実際にどうしていけばいいんだろう、という状態が続いていたと思います。

 
 

そんな中、斎さんが「DXO」と呼ばれる組織開発のプログラムと出会いました。

けいた:実際にDXOをやってみてどうでしたか。

くりちゃん:それまではいぶきさんや斎さんが言ったことは『意志』だと思って、それを実現しなければと思っていました。でも、DXOを通して、中には『意見』として出していることもあるし、自分たちの中にも『意志』があるんだと受け止められるようになりました。DXOを通して、意志と意見を切り分けて考えられるようになり、混乱が少し整理されたような気がします。

 
 
 
 

けいた:これからPIECESはどんな組織を目指していきたいですか?

くりちゃん:「すこやかな組織」というビジョンを持つようになりました。PIECESは「土」のような組織だと思うのです。相手を聞こうとするし、相手の中に何かがあると信じて、まず相手を大切にしようとする、そういう土壌がすでにある。だけど、忙しさに追われたり、目標に縛られたりすることで、それが見えづらくなることもある。例えば何かしらのキャンペーンの時期は本当に忙しくて、その瞬間は「すこやか」とは言えない状態になることもあります。でも、そういう時でも自分たちの大切にしたいことに戻ってこられる。そういう「ゆり戻し」ができる組織でありたいと考えています。

斎:私にとって重要だったのは、みんなが意志を持った存在として関わっていけるということです。今までとは違う形で、みんなで組織を作っていく。その時に、私が全てを決めるのではなく、みんなで考えていく。例えば、もしかしたらトップダウン型の組織の方がいいという話が今後出てくることもあるかもしれない。でも、それすらもみんなで考えて決めていく。そういうプロセス自体に価値があると考えています。意志決定のプロセスについては、まだまだ試行錯誤が必要です。特にお金の透明性という部分は、今までほとんど取り組めていなかった課題です。意志決定の仕組みと、組織の資源をどう透明化していくかは、切り離せない重要なテーマだと考えています。また、まだ「意志」という言葉に戸惑いを感じているメンバーも多いと思います。これが意志なのか意見なのか、意志を持たなければいけないのか、といった不安もあるでしょう。でも意志は作るものではなく生まれるものだと思っています。その感覚をみんなが自然に味わえるようになっていければと思います。

けいた:PIECESのメンバーは『聴く』ことが本当に上手。相手の気持ちを汲み取るとか、大切にするとかすごく上手い。一方で意志を出すということは、ある意味で相手の意見と違うものを出す側面がある。なので、相手のことを大切にするがあまりに、自分の意志を出さない場面があるのではないかと思います。そこをどう両立させていくかが大事なのではないかなと感じました。


DXOのワークを経た後も、実際に「一人ひとりが意志決定ができる」組織にするためには仕組みや落とし込みが必要になってきます。すぐにはできないこともありますが、DXOの過程を含め、新たなチームの形や自分たちの届けたい価値を話し合い、新生PIECESとして組織を常に見つめ続け、私たちらしい組織を模索していこうと思います。