CforCコンソーシアムは、「Citizenship for Children」で大切にしている“ひとりの人としての関わり”を軸に、全国の団体・機関・企業と協働しながら、自組織や地域にその関わりを広げたい人たちが集い、実践と探究を重ねていくフィールドです。組織・団体同士がゆるやかにつながりながら、まなび合うことで、それぞれの地域で市民性を育むための共創的なアクションを重ねています。
2024年の動き
2023年1月のキックオフを皮切りに始動した本コンソーシアムは、6団体との対話やまなび合いを積み重ね、着実に歩みを進めてきました。2024年度には新たに2団体が加わり、組織体としての整備にも取り組み始めました。ビジョンや願いの言語化、会員制度の設計などを進めながら、より多くのつながりを育むための基盤づくりに注力しました。団体同士の交流や学び合いの場として定期的に開催してきた「まなびの会」は、これまでは参画団体のみのクローズドな場でしたが、この場での知見をより多くの団体と共有していきたいという思いから、2024年度後半には外部ゲストを招き、紹介制により参画団体以外の参加者にも開いたセミオープンな場づくりにチャレンジしました。今後も参画団体同士で対話しながら、さらに広げていけるよう、2025年度にはフォーラムの開催を予定しています。
今後の動き
「CforCコンソーシアム」から『ひびラボ』へ
これまでCforCコンソーシアムとして活動をしてきましたが、2025年度からは名称を『ひびラボ』とし、活動をさらに発展させていきたいと考えています。「ひとりの人としての関わり」を大事にする団体が集い、地域や組織の枠を越えた探求、実践を通じてそのエッセンスを広げていく。そんなあり方を目指しています。
「ひび(罅)」には「痛みや傷付き、不和」の意味もありますが、社会に生じる「ひび(罅)」を「一人ひとり」が「ひとりの人」として関わり合い、ケアし合う。「日々」の小さなまなざしや関わりの積み重ねによって「ひびき合う」。そんな世界が広がっていくための探究と実践を重ねる共創的なフィールドでありたい、という想いを込めて名づけました。
コンソーシアム参画団体
(50音順)
コンソーシアムでは、2,3ヶ月に1度総会を実施し、活動や運営方法について参画団体と相談する機会を設けています。運営方針や活動のあり方については、各団体のそれぞれの視点や声をふまえて、より良いあり方を模索しています。今後はこのプロセス自体を参画団体以外にも開いていきたいと思っています。
まなびの会連続企画
「支援者から、ひとりの人へ ~役割を超えて、私として出会いなおす~」
コンソーシアムでは、参画団体が月に1度オンライン上で集い、それぞれの関心ごとや活動しているうえでの問いや葛藤を持ち寄り、対話する機会を重ねてきました。2025年2月・3月は、「支援者から、ひとりの人へ」をテーマにした連続企画として、ゲストをお呼びし、本コンソーシアム発起人である斎との対談を行いました。これまで参画団体のみでクローズドに行ってきたまなびの会を、紹介制でセミオープンに開いた試みでもありました。
第1回
ゲスト:藤田琴子さん(一般社団法人青草の原代表理事)
第1回は、母子生活支援施設などでの経験をもとに「れもんハウス」を立ち上げた藤田琴子さんを迎え、対談を行いました。支援する/されるという関係性を越えて、ただ隣にいること、関わりの中に余白を残すこと、そして「アルイル」(れもんハウスが掲げる“あなたでアルこと ともにイルこと”)の大切さが語られました。れもんハウスで日々生まれる出来事からは、気づきにつながるエピソードが数多く語られ、参加者からは「対談の後に団体内で話す中で、普段の活動で感じていた違和感の正体を言語化できた」という声も寄せられました。
第2回
ゲスト:安井飛鳥さん(弁護士/ソーシャルワーカー/ちば子ども若者ネットワーク/一般社団法人Void)
第2回は、支援の枠組からこぼれやすい子ども・若者達と日々向き合う安井飛鳥さんを迎え、対談を行いました。対談では、安井さんが開いている居場所「きょてん」で掲げている“支援禁止”の考え方を深堀りし、そこでの子ども・若者たちの様子についても語っていただきました。対談後には「居場所に依存を生まず、若者たちの自立につなげるためには?」など、参加者からの問いをもとに対話がさらに深まりました。参加者からは「支援と支援禁止についての解像度をもっと深めたいと思う機会になった」との声が届いています。
市民性を育む協力・共創の輪
これまでPIECESでは、子どもの周りに存在する「市民性」を照らしながら、CforCやCforCコンソーシアムを運営してきました。2024年は、子どもに関わる領域の外側にも視野を広げ、より多くの多様な人々に「市民性」のエッセンスを届けるべく、団体や企業の方々と共に形づくる協働の取り組みにチャレンジしてきました
スタッフ向けプログラム
(特定非営利活動法人セカンドリーグ茨城)
セカンドリーグ茨城さんが新しく立ち上げる拠点のスタッフ・ボランティア向けに、研修プログラムを実施しました。プログラムでは、メンバーのチームビルディングをはじめ、「子どもの発達と心のケア」「市民性」など、子どもと関わる上での基礎的な内容について、インプットや対話、ペアワークを通して学びを深めました。参加者からは「これから、子どもたちや地域の方々と関わる上で、身近であればあるほど自分たちの与える影響は強くなることも感じ、自分を知ること、自分の強みとは、相手の願いとはと、とても刺激を受けた」という声が寄せられました。
住宅オーナー様向け交流会
(積水ハウス株式会社)
積水ハウス株式会社さんが戸建て住宅オーナー様向けに発行する冊子「きずな」の企画「住まい開き」に、協力パートナーとして参画しました。「住まい開き」とは、自身の趣味や好きなことを活かし、自宅の一部を地域の人々が集う場とする活動で、「わたしと地域」がゆるやかにつながることで暮らしへの愛着やウェルビーイングの向上にもつながるとされています。PIECESは企画立案やオンライン交流会の開催を担当し、地域交流や市民性について参加者と対話しました。交流会では「曖昧さ」というキーワードが印象に残ったとの声や、人とのつながりの大切さを再認識する感想が寄せられました。取り組みは「きずな」150号記念号にて紹介されました。
市民向けプログラム
(一般社団法人Life is)
CforCプログラムで講座を担当している講師陣を各回のゲストに招き、参加者とともに学びを深めました。
Life isさんは多摩市で重症児者向けの福祉事業所「+laugh」を運営しています。今回は新たに稲城市に立ち上げた事業所「+laughイナギ」を中心に、稲城市民とのつながりづくりを目的とした、3回連続のプログラムを実施しました。
プログラムでは「子どもに優しいまちづくり」をテーマに各回にゲスト講師を迎え、講義や参加者同士の対話、ワークショップを行いました。参加者からは、「自分自身のことを振り返り、さらに皆さんともお互いに認め合うことができた」との感想が寄せられています。また、思いを同じくする地域住民同士のつながりが生まれ、実施後にも参加者が+laughイナギに訪れるなど、地域における継続的な関係づくりにもつながりました。
第1回「子どもの現状と私たちにできること」
講師:小澤いぶき(一般社団法人Everybeing共同代表/児童精神科医)
第2回「まちへのまなざしと私の中にある市民性」
講師:斎典道(NPO法人PIECES代表理事/ソーシャルワーカー)
第3回「子どもに優しいまちづくり事例とこれから私にできること」
講師:西川正(NPO法人ハンズオン埼玉理事)
社員向けワークショップ
(ダウ・東レ株式会社)
ダウ・東レ株式会社さんには従業員リソースグループ(ERG)があり、女性や人種などテーマごとに有志メンバーが活動しています。そのうち、千葉の製造拠点で業務に取り組むERGの方々と共に、「自分と他者のあり方をみつめることを通じて、身近な人とのより良い関わりについて体感的に学ぶ」社内ワークショップを実施しました。PIECESが実践するリフレクションの手法を用いながら、モヤモヤを感じた他者とのエピソードを参加者同士で対話しました。ワークショップ実施後の感想共有では、「自分がいかに『正解やゴールがある』という前提で仕事もそうでない時も生きているかに気づけた」「みんなモヤモヤがあるままに生きていることが知れて、自分だけじゃなかったんだとちょっと心が軽くなった」という声が挙がっていました。
