サイの日のお便り Vol.28|2025年度の軌跡と、リーダーとしての「手放す」挑戦
こんにちは、PIECES代表の斎(さい)です。
忙しい日々の中で、このお便りを開いてくださりありがとうございます。
私が暮らす東京の多摩市は、とても緑の多いまちなのですが、この季節は本当に新緑が眩しい。花粉の時期も終わり、1年の中でわずかしかない心地の良い季節を過ごしています。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
さて、31日(サイの日)にのみお届けするこのお便り。この時期、PIECESのような3月決算のNPOは、所轄庁への事業報告の提出や総会の開催など、前年度の報告を取りまとめる時期でもあります。
そこで今回は、昨年度(2025年度)の事業のハイライトを簡単に振り返りつつ、最近私が感じた個人的な振り返りについてもお届けしたいと思います。
2025年度のハイライト
まずは、2025年度の事業報告からです。ちょうど今、6月の理事会や総会に向けて1年間の活動をスタッフみんなでまとめている最中なのですが、数字や出来事の裏にあるたくさんの出会いや変化に改めて触れ、いろんな人の顔を思い出しています。
私たちの原点とも言えるCforCプログラムには、今年度27人の方にご参加いただきました。子どもたちにとっての心地よいあり方を探究する中で、今年は特に「子どもの感情や願いと同時に、自分自身の感情や願いも大切にするようになった」といった変化の声が多く聞かれました。一部ですが、参加者からは修了後にこんな声が届いてきています。
・今まで、自分の願いについてはあまり考えたことは無く、あれもこれもと多くの考えがめぐりめぐって、多くの人の心について思い続けていました。リフレクションをとおして「自分の願いを大事にする」ことは他者の願いも大事にすることになるということに、体験的に気づくことができました。
・頭でっかちで生きてきた自分にこころ(感情)とからだからの応答が感じられるようになってきている。
・自分の感情を押し殺してまで子どもの思いを第一に優先することは、結果として自らを疲弊させ、長くは続かないということを学んだ。まずは自分自身の願いや思いを大切にし、自分を知ることが第一歩であると実感した。 「大人の良かれ」は時に子どもを傷つける可能性があることを常に意識し、子どもの真の声を心で感じ取れるようになりたい。
また、「PIECESの取り組み」から「共創・協力による取り組み」へと舵を切った協働プロジェクトも、少しずつ広がりを見せています。今年度は全国の行政機関やNPO、企業などとの協働が16件生まれ、650名以上の方に参加していただくことができました。10の非営利機関が参画する「ひびラボ」が主催した『Unnamed CARE Forum』には、1週間で434名もの方が集ってくださり、地域や団体の枠を超えた熱気を感じる時間となりました。
そして、設立9周年を記念して制作された公式テーマソング「ひとかけ」は、YouTubeでの視聴回数が42万回を突破。動画のコメント欄からも多くの方の心に届いていることを感じています。
組織としても、2025年12月8日付で東京都より「認定NPO法人」として再認定を受けることができました。その後に行った寄付キャンペーン等を通じて、新たに42人もの方がPIECESメイト(継続寄付者)として仲間になってくださったことも、本当に大きな励みとなっています。
こうして一つひとつの成果を振り返ることができるのも、日頃から活動に心を寄せ、支えてくださっている皆さんの存在があってこそです。本当に、ありがとうございます。
「任せる」ことの難しさと、「手放す」挑戦
さて、ここからは少しだけ最近の個人的な振り返りを。
2025年度の確かな手応えを感じる一方で、私自身は最近、大事なことに気づきました。
先日、経営メンバーのあんちゃん(矢部杏奈さん)とランチをしていた時のこと。自然とリーダーシップの話になったのですが、そこで2人とも「他のメンバーに仕事を任せるのが、あまりうまくできてないよね」という話になりました。
他のメンバーにオーナーシップを発揮してもらいたい。心からそう願いながらも、ついつい任せたはずの仕事に対して口出しをしてしまっている自分がいるのです。「もっとこうしたらいいんじゃないか」「ここが足りていない気がする」という感じで。
もちろん、どうしても言わなきゃいけない時や、代表として責任を持たなければならない場面はあります。PIECESとしていい仕事がしたいという想いが当然根っこにはある。でも、少し口を出しすぎている。
「権限を委ねる」というのは、ある種「口出ししない領域を作る」ということでもあるのかもしれないと、あんちゃんとの対話を通じてハッとさせられました。任せると決めたら、相手を信じて託す。それができていなかったなと。
いまPIECESで一緒に活動しているメンバーは、だんだんと年次も重ね、主体的に動き、頼もしく事業を引っ張っていける人たちばかりです。だからこそ、今年度はこの「権限移譲(口出ししない領域を作ること)」が、私にとっての大事なテーマになりそうです。
代表になって、今年の夏で丸2年を迎えます。自分の未熟さゆえに、自分自身の存在が組織の発展のボトルネックにならないようにしよう。ランチの最後には、そんな思いを胸に誓いました。
でも、こうして自分の課題に気づかせてくれる仲間がいること、そして言葉にして皆さんにお伝えできる今の環境を、とてもありがたく思っています。
2026年度、そしてその先の10周年に向けて、PIECESはユースセンター機能を持つ拠点の新規開設など、さらに大きなチャレンジへと向かっていきます。代表である私自身が、うまく「手放し」、メンバー一人ひとりの力が最大限に発揮される土壌をつくっていけるよう、一歩ずつ進んでいきたいと思います。
これからも、不器用ながらも変化し続けるPIECESを(そして私のことも)、応援いただけたら嬉しいです。
それでは、また次の31日にお会いしましょう。
2026年5月31日 PIECES 代表理事 斎 典道