事務局長からのお便りVol.7

 
 

こんにちは、PIECES理事/事務局長の斎です。
突然ですが、皆さんは最近何か心動かされる出来事はありましたか?

先日、4歳の息子と近所を散歩していた時のこと。ふと道ばたに咲く花に目が留まりました。おそらくこれまでにも何度も目にしたことのある花だったのですが、何故かその時は足を止めてしばらく見入ってしまいました。花の名前に疎いので、写真を撮って帰宅後に妻に聞いたところ、どうやらマーガレットのようでした。
マーガレットがどんな花かを知らなかった自分には驚きを禁じ得ませんが、何か自分にとって特別な存在になった気がしています。
ちなみに、マーガレットの花言葉は「誠実」「信頼」「秘めたる愛」。残りの人生はマーガレットのように生きていこうと思います。

さて、「31日(サイの日)」にのみ更新するこの事務局長からのお便り。
PIECESは4月から新年度がスタートしたこともあり、今日は過去から未来へと見渡した時に、この1年がPIECESにとってどんな意味を持つのか、事業活動や組織運営上の主なトピックとしてはどんなことがあるのか、などについてお伝えしたいと思います。

2023年度の展望

2023年度、PIECES全体として共通するテーマは「チャレンジ」です。月並みな表現ですし、チャレンジのない年はないのですが、それでもなお様々な巡り合わせの中で、事業面・組織面どちらにおいても新たなチャレンジが重なる1年として位置付けることができます。

事業面では、これまで開発を重ねてきたCitizenship for Children(CforC)について、2方向のチャレンジがスタート、あるいは本格化していきます。

まずは、あえて言うなら縦方向での取組。これは言い換えると、既存のプログラムの深化を意味します。
これまでCforCでは、子どもの周りに信頼できる他者が増えていくことを目指して、「市民性」をテーマに子どもと関わる上でのあり方を探求するプログラムを実施してきました。いくつかのコースはありますが、いずれも3か月や6か月といった期間の中で参加を重ねる「学習(研修)プログラム」といえるものです。
このアプローチ自体は、毎年の効果検証を重ねる中で有意に学習による変化・変容がもたらされるようになってきたことからも、一定の手応えを感じています。

一方で、「市民性」を発揮できるようになるプロセスというのは、ある望ましい状態に向けて、効率的に何かを習得したり積み上げていくようなことではありません。
子どもや他者との関わりには二度と同じ場面はありませんし、もちろん関わる相手も一人ひとり異なります。そうなると本来必要となるのは「何をするか(Doing)」を学ぶというよりは、「いかにするか/どうあるか(Being)」を探求することといえます。

現状のプログラムでももちろんその点は意識しているつもりではあるのですが、期間の制約や「学習プログラム」という形式が無意識にもたらす影響によって、本来大切にしたいこととの間にギャップが生まれているようにも感じています。

そのような問題意識もあり、CforCはこれから2年間かけて大きくモデルチェンジさせていく予定です。具体的なことはこれからですが、たとえば健康的な生活を送りたい人がヨガやピラティスに通って健康を維持し続けていくように、地域の中で子どもや他者との関わりを大切にしたい人が、日常的に自分のあり方や態度を見つめ直せるような取組へと深化させていく。
そして、そこでは運営者・参加者といった垣根も極力なくして、同じ願いを持った「市民による市民のための実践共同体」へと変容させていければいいなと考えています。

そして、もう一つは水平方向での取組。CforCの実践から生まれてきたエッセンスを、地域を越えて他団体や他機関と協力し合いながら拡げていく「CforCコンソーシアム」と呼ぶプロジェクトです。
このお便りを通じてこれまでにも何度かお伝えしてきているので詳細には触れませんが、プログラムの深化と併せて、普及・発展に向けた試行錯誤にも本格的に取り組んでいくことになります。

また、これまで年間通して十分なリソースを割いてこれなかった啓発活動「Cultivate Citizenship」についても、CforCと並ぶ事業の二本柱として据えていくことになっています。
CforCの取組だけでは、どうしても広く市民性の醸成に寄与することが難しいこともあり、「子どもの権利」や「人の持つ想像力」などを入口に、WEBでのキャンペーンやイベントなどを通じて「市民性」を身近に感じ、考えられる機会を作っていきたいと考えています。

実はこの啓発活動は、直近数年間の苦しみの産物として育ってきた取組ともいえます。というのも、2021年以降「PIECESらしいファンドレイズとはどうあればいいのか?」を模索してきた経緯があります。
その中で、問いを贈ろうキャンペーンをはじめとしたいくつかの新しいチャレンジを重ねてきました。なかなかファンドレイズの施策としては結果が出ずに、メンバーの中には悔しさや苦しさもあったように思います。しかし、積み重ねてきたことを振り返る中で、ファンドレイズとは切り離したときに、取組そのものがPIECESの掲げるミッションを体現するものであるという気づきがもたらされました。

既に今月も単発でのイベントを実施したり、他団体とコラボレーションする形で大きな企画が生まれるなど、これまでの試行錯誤が今新しい形で動き始めています。
まだこの先どんなふうに発展していくのか、どんな影響が生まれていくのかは未知数ですが、これからの展開を見守っていただくとともに、たくさんの関わりしろがある取組ばかりですので、一緒にその輪に加わっていただけたら嬉しいです。

その他にも、事業面だけでなく組織面でも、いくつかのチャレンジが控えています。特に、5年に1度の、そしてPIECESとしては初めての認定NPO法人格の更新という、事務局にとっては一大イベントも控えています。

スタッフの数に対して、取り組むチャレンジの量が若干見合っていないような、やることが多すぎるような気がしなくもないですが、今年もまきばメンバー(プロボノ・インターン)やメイト(継続寄付者)の皆さんなどの協力もいただきながら、たくさんのチャレンジに励んでいきたいと思います。
今年も皆さんと対話を重ねながら、ともにPIECESの活動を発展させていければと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。

【新メンバーのご紹介】

さいごに、大切なご案内です。前回(Vol.6)のお便りでもお知らせしていましたが、新年度から新たに4名の方がPIECESのスタッフとして入職しています(お1人は6月から)。いずれも主にCforCの担当なのですが、実は、今期の採用活動を始める前は、多くても2名か3名の枠で予定していました。
ですが、選考プロセスを経る中で4名の方々の人柄などに魅せられ、最後は思い切っての決断となりました。

(余談ですが、一般的には組織での役割や業務が先にあって、その下に人がいると考える方が多いかもしれません。PIECESでももちろんその要素がないわけではありませんが、「この人と一緒に何かを成し遂げたい」という想いで人が先にあって、その先に仕事や役割が生まれる要素も大事にできればと考えています。)

そんな素敵な新スタッフのことを皆さんにもご紹介できればと思い、4名には「わたしとPIECES」というテーマで、PIECESに加わった経緯や、PIECESとの接点などをリレーエッセイの形で綴ってもらうことになりました。

先日、1人目の配信がされたので、この場でも共有させていただきます。
人柄の伝わる素敵な内容になっているので、是非ご覧いただけたら嬉しいです。今後も2週間に1回の頻度で4名のリレーが続いていきますので、楽しみにお待ちください。

https://note.com/pieces_magazine/n/n4a486a94cd10

それでは、また次の31日にお会いしましょう!