セミナーレポート|子どもの孤立を防ぐ、コミュニティのつくり方 〜なぜそこには「つながり」が生まれるのか?〜
1月17日(日)、「子どもの孤立を防ぐ、コミュニティのつくり方 〜なぜそこには「つながり」が生まれるのか?〜」として、NPO法人ハンズオン埼玉理事であり、コミュニティワーカーの西川正さんをお招きして公開講座を行いました。
講師:西川正
NPO法人ハンズオン埼玉理事
学童指導員、出版社、NPO支援センター事務局長などを経て、2005年、特定非営利活動法人ハンズオン埼玉を設立。毎年数千人が参加する「おとうさんのヤキイモタイム」キャンペーンや、コロナ禍中では「翔んでさいたマスクプロジェクト」など、市民参加型のまちづくりのプロデュースに関わる一方で、まちづくりや子育て支援にかかわる研修などで講師やファシリテーターとして活動。朝日新聞『天声人語』、NHK『課題解決ふるさとグングン』などでとりあげられる。
◆講座内容
講座は以下4つのセクションに分けて進められていきました。
・まちづくりの取り組み
最初のパートでまず話していただいたのは、これまで西川さんが行ってきた活動についてです。これまで西川さんが実際に行ってきた場づくりの事例から、遊ぶと学ぶの場づくり(人がつながり動き出すのはどんなとき?どんな場所?、何かをしてみようと思える環境とは?)についてお話しいただきました。
・取り組みの背景にある課題意識
ここでは、西川さんが活動を始めたきっかけであるお子さんの保育所時代の話から、西川さんの課題意識について話されました。保育サービスが産業化したことにより、利用する保護者は「トラブルはごめんだ」「先生、きちんと監視して」という態度になり、保育士側もサービスを提供する側として振る舞って緊張感が常にあります。その結果、保育士と保護者、保護者同士も孤立していくのではという話をしてくださいました。その上で、「応える」ということを大事にして場をつくっているという話がありました。場の作り方次第で、そこに来た人はお客さんにも、当事者にもなる。そこにいる人たちで何か一緒にできることはないかという視点を持つことの重要性が語られていました。
・対談①~あそびとつながり~
講師の西川さんとPIECESの斎、そしてNPO法人セカンドリーグ茨城の横須賀さんの3人で「あそびとつながり」について対談をしました。
「つながりは関係性のことであり、関係性は作るものではなく、生まれるもの」と西川さんは話されていました。そして、関係性が生まれるためには「一緒に」何かをするということがポイントであり、「一緒に」何かすることで試行錯誤し、その結果として関係性が生まれてくる。その試行錯誤やトラブルが起きることが大切だと話されていました。その他にも、苦情に対する姿勢や日頃出会えない人との出会い方についても話されていました。
・対談②~共に育つ、共にある~
前のセクションに続き、3人で対談をしました。
ここでは「共にある」ということをテーマに、「お客さん」から当事者に変えていくということについて話されました。当事者に変えていくためには、その人自身が工夫をするということが必要になってきます。そこで、場やプログラム自体に工夫する余地があるかということ、そしてその人自身に工夫する力があるかという2軸から、参加のデザインについて西川さんから話されました。
また、子どもたちとの関わりについてもお話をされました。
木登りの例が出て、「左足をそこにおいて、そしたら右手はここ!」とたくさんサポートをされながら登っても、ハラハラドキドキするような楽しみはあるのかという話が紹介されました。そのように、何かする人の横にいる人はどう振る舞うのか。それによって「共に」なのか、一方通行の「ために」なのかということが変わっていくという話もありました。
<公開講座当日の様子>
◆当日の質疑応答の様子
当日は講義動画をそれぞれで視聴した後に、数人ごとで感想共有を行い、全体で質疑応答を行いました。
質疑応答では「中学生と大人で話す機会を作っていた、トークフォークダンストークで、大人側への質問、子どもへの質問で意識していることはありますか」「失敗例や砕けてしまった例はありますか?」「西川さんが、人と人が会うデザイン(七輪とか焼き芋とか)を思いつく時って、誰の顔が思い浮かんだり、もしくは何を思ったりしていますか。」「参加をデザインすることについて、そのデザイン力は、学んで得られるものなのか?センスか?遊び心か? 何かいい方法がありますか。」といった多くの質問が参加者から寄せられました。
質疑応答の中で、「活動を広げていくときに、人を巻き込むときにどのような工夫をしていますか」という質問に対し、西川さんは以下のように答えてくださいました。
「やっている人がとにかく面白いというか、楽しいと思えるかどうかということを気にかけてやっています。そうすると、その人が大事にしている人に声をかけてくれる。でも、やっている人がつまらないなとか、しんどいなと思ってやっていたりすると、友達を誘えない。自然に(友達を)誘ってもいいかなと思えるようにするというのが一番。それをやっていると、例えばPTAをやっていても、今の人たちが楽しいということをやっていれば、翌年の役員がすぐ決まる。今年は面白そうと噂が人がって、手をあげる人が出てくる。そういうことだけを気にしている」
まずは楽しんでいくこと、そして「共に」何かをするということから、つながりが生まれていく。西川さんの事例や話は、どれも参加してみたいというあそび心があり、余白があります。その余白は、工夫する余地ということであり、ゆるやかに人と人とが結びついていく地域になるのだと思いました。
◆感想
以下、参加者からの感想です。
・「ボランティアコーディネーション」ということを初めて知りました。「ピンチはチャンス」「for子どもではなく、with子ども」「保育も福祉もサービス化している印象」「苦情=寂しいという想い」「子どもは準備されすぎ、大人は準備し過ぎ」というワードが印象に残りました。
・ゆるい糸をはっておく、何か緊急なことが起きたら、糸を張る、というのが印象的だった。最近、自分の中で、コミュニティ作りは「人の日常生活の延長線上で」という意識が強くある。西川さんの取り組みは、まさにそれに当てはまるのだけど、「日常生活の延長線上のデザイン」の解像度をあげてくれる話だった。サービスを受けるところは受ける。受けない、もしくは受けられないところは、自分でなんとかする。そこのはっきりしている境界線をぼやかしていくことがコミュニティ作りかなと思った。
・つながりは作るものではなくて生まれるものであり、つながりが生まれる場をどうやって一緒につくっていくのかという考えがとても深く残っています。また、苦情が来たら仲良くなれるチャンスととらえていたり、苦情を苦情のまま捉えてそれが来ないように活動するのではなく、その背景にある「仲間に入れて」というメッセージを感じ取って、一からその人と関係性を作っていくということにとても納得しました。どのような形でも興味を持ってくれていることに変わりはないので、そういった人を巻き込んで一緒に取り組むことでつながりが生まれるのかなと感じます。
セミナーレポート|まちの風景から眺める、子どもの暮らしと市民性
12月6日(日)、「まちの風景から眺める、子どもの暮らしと市民性」、九州大学大学院人間環境学研究院専任講師の田北雅裕さんをお招きして公開講座を開催しました。
講師:田北雅裕
九州大学大学院人間環境学研究院 専任講師
◆講座内容
講座は以下4つのセクションに分けて進められていきました。
・まちの風景から眺める
最初のパートでまず話していただいたのは、田北さんのこれまでの経歴やまちづくりの姿勢についてです。これまで田北さんが実際に行ってきたまちづくりの事例の紹介を踏まえながら、まちづくりに取組む姿勢として、一人ひとりの市民が役割を越えて困難な状況を乗りこえる「つながり」についてお話いただきました。
・まちの広がりの中で
ここでは、「ひとりの市民となる」、「グレーゾーンの子どもたち」というタイトルで、「一市民」によるまちづくりの可能性について話されました。特に印象的だったのは、ショートステイ里親についてのお話です。平成29年のデータでは、児童虐待相談対応件数のうちの約96%の子どもたちが、親子分離をせずに在宅で過ごしているということが示されていました。つまり、多様で幅のあるリスクを抱えた子どもたちはそのまま「まち」で暮らしているということです。田北さんは、その子どもたちのリスクがエスカレートしないよう予防するとともに、代替養育と在宅支援のスムーズな連続性も必要とされるとお話ししてくださいました。そこで、一時預かりとして、ショートステイ里親という制度を紹介してくださいました。
・対談①~まちづくり×子ども~
講師の田北さんとPIECESの斎、そしてNPO法人セカンドリーグ茨城の横須賀さんの3人で「まちづくりの視点から見る、子どもへの関わり」について対談をしました。
子どもを守るという意思、「子どものため」とされているからこそ、社会の中に切実な子どもの情報が出てこない構造があると田北さんは話されていました。
例えば、虐待がある子ども達を地域で守る組織があるとき、その組織では守秘義務があり、子どもや家庭情報が外に出ないようにしているとします。情報が漏れることで、子どもが危険な目にあったり、不都合が起きたりするかもしれないからです。そうして、組織外の人、つまり地域の人には「困りごとを抱える子どもたち」が非常に見えづらい状況が作られていきます。
そのような状況があるなかで、同じ地域に住む私たちはどのように子どもたちに関われば良いのかという話題になりました。そこで田北さんは、時々会うような人がいる、キャッチボールをする、ただそれだけの関係がその子にとってはかけがえのないということもあるとお話しされていました。長い時間をかけていく中で、ある面では自分の専門性が発揮されたり、ある面では違う側面が出てくる。些細に思える関係性や関わり方でも継続して関わっていくことで変化していくこともお話しされていました。
・対談②~まちづくりで大切にしていること~
前のセクションに続き、3人で対談をしました。まちづくりや関わり方について考えたとき、良い/悪い・正しい/正しくないといった価値基準だけではなく、その人やまち、コミュニティにとって必要な「ふさわしさ」があるのではないかという観点についての話題が出ました。田北さんは、「例えば、デザインであれば、新しいものやインパクトがあるものが良いとされがちです。そういう観点はこちら側の価値基準であることが多く、リスクが高い」と言います。新しくなくても、古びた関わり方であっても、その人が救われるなら、それが「ふさわしい」関わりなのではないかと言葉を続けてくださいました。
<公開講座当日の様子>
◆当日の質疑応答の様子
当日は講義動画をそれぞれで視聴した後に、数人ごとで感想共有を行い、全体で質疑応答を行いました。
質疑応答では、「何か子どもたちと関われないかと養護施設の方に相談した時に、その方の言葉で躊躇してしまったことがある。里親へのケア、行政はどこまで対応してくれるのか」、「福岡市の「みんなの里親プロジェクト」は、子どもたちからはどんな反応があるか。また、それをうまくいかせるために、どんな工夫をしているか」、「親が困り感がない(けど親御さんがおそらく困っている様子は子どもも感じていて、実際に養育にも影響が出ているように感じる。)場合、介入方法によっては有難迷惑になったり、家族を傷つけることになりそうですが、どんなことを気を付けて介入しているか」といった多くの質問が参加者から寄せられました。
質疑応答の中で、「デザインの視点を、わたしたちひとりひとり(デザイナーではない市民)が、実践の中に取り入れていくには、まず最初にどんなことに気をつけたら良いか。またどんなポイントがありますか?デザインや、ランドスケープデザインの両方の観点から知りたい。」という質問に対し、田北さんは以下のように答えてくださいました。
「みんな人を見過ぎている。人の問題に向き合うからだと思いますが。僕は川の流れを見るだけで穏やかになれた。そういうことから対人関係が柔らかくなったり。風景やランドスケープを考えた時に、人以外のものと向き合いながら、人との関係を変えていくということがある。実際皆さんもそうしていると思う、音楽聴いたり。でも、人と人との関係になった時に、人にばかり向いてしまっている。対人援助という言葉に引っ張られて、ちょっと人に向き過ぎな感じがある。その時に風景とか、人以外のことに向き合うことで、別の関係性が見えてきたりとか。そういうことは風景的視点なのかなと思います。」
人と人との関係性という言葉には、向き合い過ぎてしまうがために難しさがあったり、硬直してしまうことがあるのかもしれません。そういうときに相手にばかり目を向けるのではなく、一緒に何かするという形で視点をずらしてみる。そうすることで、相手も自分も心地よい関係性が生まれていくのかもしれません。
◆感想
以下、参加者からの感想です。
・まちづくりという言葉やまちの定義が、元来自分が思い込んでいたのは、社会的な規範があってそれに沿った公共的なもの、と言うイメージだったが、田北さんは、そもそも公共とは零れ落ちる人が出ないように、そこで生きている多様な人や価値観みんなが存在して良いのだと肯定して、全ての人を受け入れる余白や余裕=優しい間があることがふさわしい、と考えてまちの課題解決→里親を増やすことで、零れ落ちる子どもにまちのみんなで手を差し伸べようとされていること。そんな優しいまちが理想の風景のあるまちだと思うし、現在申し込んでいる、プロジェクトコースでも学ばせていただく点が沢山あると感じました。
・今現在、子育て以外で主に子どもと関わるような活動はしていないのですが、CforCがはじまって以来、子どもと関わることとは?自分にできることとは?なにかやりたい!という気持ちの中にチラ見えする「はじめるべき」と思っている部分……
そんな自分がすごく気持ち悪いなぁと思い始めていたので、田北さんの仰っていた「子どもに出会いにいくっていうのは不自然」というお話が印象的でした。これを伝えたところ、「そこの違和感に気づいただけでオールオッケー。これからも何か判断していく時の糧になる。ただその「子どもに出会いにいくっていうのは不自然」という言葉に囚われすぎないように」という言葉をいただきました。なんかCforCをせっかく受講したのに、という気持ちと自分自身の何もできてなさに(ネガティブになっているわけではないですが)少しモヤモヤしてたので、嬉しい言葉をいただいたなと、、
・私も、辛い時やしんどい時は海に行って無心で波音を聞いていました。これも風景に助けられてたんだなと感じます。話さなくても一緒に山に登った、海を見た、星を見た、そういう経験から寄り添えることもあると実体験から感じました。もっと風景について聞いてみたいと思いました。ありがとうございました!
セミナーレポート|子ども・若者にとっての“支援”を紐解く ~公的支援の立場から見る“非専門職”の可能性~
11月1日(日)、「子ども支援のこれからのカタチ ~公的支援の立場から見る“非専門職”の可能性~」として、弁護士法人ソーシャルワーカーズの安井飛鳥さんをお招きして公開講座を行いました。
オンラインで、29名の方々に参加いただきました。
講師:安井 飛鳥 氏
弁護士法人ソーシャルワーカーズ 副代表
社会福祉士・精神保健福祉士・弁護士/児童相談所勤務弁護士
◆講座内容
講座は以下4つのセクションに分けて進められていきました。
・講師紹介/ソーシャルワーカーズの活動紹介
最初のパートでまず話していただいたのは、弁護士法人ソーシャルワーカーズの業務内容、安井さんのこれまでの経歴についてです。安井さんが弁護士、ソーシャルワーカーを目指した背景や専門職の可能性と限界について、お話いただきました。
・公的機関・専門職として出会う子どもたち
ここでは、安井さんが専門職として出会ってきた子どもたちについて話されました。特に印象的だったのは、「福祉・医療・司法をさまよう子ども」という話です。例えば、情緒的な理由から暴れてしまうお子さんがいて、家庭内での養育が難しくなり、児童相談所に連絡が入ったとします。ですが、福祉というのは強制的に行動を制限するような場ではないため、暴れてしまう子を本人の意思に反して保護し続けることは難しくなります。では、医療ならどうかということで、病院への受診を進めたとしても、病気というよりも情緒面からくる行動であり、医療で入院治療による解決が期待できる子ではないといわれます。それでは、司法で対応するのかというと、意図的に暴力行動を起こしているわけではなく、他者への被害も軽微であるので司法による矯正教育にも馴染まないという判断から司法の枠からもこぼれてしまう。そうして、どこの分野の支援からも漏れてしまう子がいるというお話をしていただきました。その他にも、「引きこもれない子ども」「少年院からでられない子ども」など、その背景にどんな課題があるのかをお話いただきました。
・対談①~専門家と市民、それぞれの特徴と役割~
講師の安井さんとPIECESの斎で、専門職と市民の役割について対談をしました。
専門職の得意なこと、不得意なことの話、そして実際に専門職以外の人との関わりから容体が変化した子どもの事例もお聞きしました。トラウマを抱え、医者、心理士、ソーシャルワーカーなどが関わっていても、ずっと苦しい状態が続いていた女の子が変化したきっかけは、アイドルオタクのファンコミュニティ。専門職からすれば、少し不安があるような交流ですが、結果的にその子はそのコミュニティの中で支えられ、見違えるように変わったそうです。課題や問題にばかり目が行きがちですが、その子が持っている興味や関心に繋がることで、子どもが持っている力が発揮されるということがわかる事例でした。
・対談②~市民性を発揮するうえで大切にしたいこと~
前のセクションに続き、市民性を発揮して地域の中で活動していく時に大切にしたい視点について対談しました。
地域という視点を持った時に、気をつけたいこととして、「子どもを特別な対象としてみない」というお話がありました。それまでの話の中で、専門職の得手不得手の話がでてきていましたが、専門職だからこその限界があるのにも関わらず、そこで市民まで同じような関わりをしてしまうと、苦しいということでした。だからこそ、1人の人として普通に接して欲しいというお話がありました。
また、育ちの課題を抱えていながらも、いろんな支援をかいくぐって、様々な地域を放浪するような子もいます。そのような子が、どこの地域に流れ着いたとしても、心が落ち着けるような出会いがある地域があちこちに増えて欲しいと安井さんはお話してくださいました。
◆当日の質疑応答の様子
当日は講義動画をそれぞれで見た後に、数人ごとで感想共有を行い、全体で質疑応答を行いました。
質疑応答では、「関わる上で自分も心地よく関わっていける範囲を掴むのは時間をかけて磨いてきたと思うが、どういうところで自分のバロメーターを測ったり、意識していたりしているのか。」「福祉・医療・司法の連携が難しくて取り残される子どもの事例を知りたい。」といった多くの質問が参加者から寄せられました。
質疑応答の中で、「子どもの状態に合わせてほほえみ返しを繰り返すと、子どもに振り回されて自分というものがなくなるのでは?自分の感情などを大切にできないのでは?という恐れがある。自分も大切にしながら子どもと関わる上で意識していることがあれば、教えてほしい。」という質問に対し、安井さんは以下のように答えてくださいました。
「ほほみがえしや振り回されるというのは、ある種専門家として意識的やっている。振り回されるというのは、それを見越してやっているのであり、意図していないことで、振り回されているというのは違う。そうしていくためにはそれなりの見立てが必要になる。その上でほほえみ返しというのは、アタッチメントにも関わってくることで、絶対的な安心感を与えるということ、。この役割をするためには、自分が本気で大丈夫だよと思える状態じゃないといけない。だからまずは自分のメンテナンスをする。自分が本気でほほえみがえしをできないようならその役割を担えないし、その子とは若干距離を置かなくてはいけないと思っている。僕もプライベートがあるし、フル稼働してその子に尽くすことはできない。なので、プライベートはしっかり切り分けていて、子どもにも伝えている。その枠を子どもは理解してくれる。緊急対応の初動など例外もあるが、基本としては自分を保てる枠を作るというのが必要だと思います。」
子どもに関わりたいという想いが強いほど、どうしても力が入り過ぎてしまったり、子どもを特別な対象として支援をしようとしてしまいます。ですが、「支援してあげている」という関わりは、もしかしたら、「子どもの持っている力を奪ってしまっている」かもしれないと感じました。そんな関わりだけでは、子どもたちは辛くなってしまったり、関わっている大人も息切れを起こしてしまったりするかもしれません。だからこそ、1人の市民として関わること、そして、自分と相手の心地よい間を探すことが大切なのかもしれないと講座全体を通して感じました。
◆感想
以下、参加者からの感想です
・私自身は専門職でもなく、安井さんや前回の山下さんが対応されている様なかなりハードな事例に登場するような子どもに出会う事は今までありませんでした。しかし実は見えていないだけでハードな状況になるまでの段階では、自身の周りに当たり前にいる子ども達なのだと感じました。今回、講座を受け市民として地域や社会で「自然に」見守ると言う「自然に」と言う事が反対にとても難しく感じられましたが、今後も市民としての自然な関わり方への模索を続けたいと思います。
・私自身社会福祉士の専門職のために学びつつ、できないことや制度の隙間からこぼれ落ちてしまう子どもがいることにモヤモヤを感じて、このプログラムに応募しました。そのため今回安井さんが専門職・公的機関としての強みと難しさの両面からお話ししていただいて、自分の中にあったモヤモヤが少し明確になった気がしました。専門家の存在は大切だけど、ずっと専門家がついているわけにも、ずっと制度の中で生きていくわけにもいかないから、やっぱり地域が大切になるし、そこで発揮されることが市民性なのかなと感じました。好きなことで繋がれる人がいるって、本当に楽しいし、何にもとらわれない空間だから、自分のそういった面を活かしていきたいと感じます。
第5回目は、12月6日(日)10時~の開催です。
講師に、九州大学大学院人間環境学研究院専任講師である田北雅裕さんをお招きし、まちづくりやコミュニケーション・デザインの視点を切り口に、子どもを支える環境や市民性についてお話しいただく予定です。単発でのご参加も受付が開始していますので、ご関心のある方は是非イベントページをご覧ください。
第3回目のリフレクションを開催!子どもとの出来事を振り返り、見えてきた「願い」とは?
自分が見過ごしている感情や思い、子どもの願いはどこにあるーー? 11月1日(日)と5日(木)に、第3回目の「リフレクション」が開催されました。今回の目的は、前回のゼミでの自己覚知を踏まえて、自分の価値観や考え方のクセに気づくこと。合計25人の参加者と一緒に、プロセスレコードを使ったグループリフレクションを通じて子どもとの関わり方を探求していきました。
◆当日の流れ
自己紹介で最近のハイライトについて共有したあと、①前回の復習 ②グループでリフレクション ③感想のシェアと学びポイント の3つのセクションに分けてプログラムを進めました。
・セクション1 前回の復習
「リフレクションとは何か」や「リフレクションにおける観察と仮説」をおさらいしたあと、自己覚知をすることで自分の価値観を自覚したり、他の人の価値観との違いに気づいて受け入れたりすることの大切さを学びました。
・セクション2 グループでリフレクション
まずは宿題として、最近の子どもとの出来事の中で心に残っている場面を振り返り、プロセスレコードを書いてきてもらいました。グループワークでは、代表者のプロセスレコードを使って「このときのAちゃんの目線や声のトーンはどのようなものでしたか?」「このときの気持ちを形容詞で表現すると、どんな言葉が浮かびますか」といった問いを投げかけたり、仮説を立てたりすることで、参加者同士で価値観や考え方のクセへの理解を深めていきました。ワークの最後には、問いを投げかけた人とグループの代表者が感想を伝え合いました。
・セクション3 感想のシェアと学びポイント
各グループでプロセスレコードを発表してくれた人から、全員に向けて気づきや感想をシェアしてもらいました。その後、今回のリフレクションの学びポイントを共有しました。具体的には、①自分のメガネ(価値観やモノの見方のクセ)に気づくこと②リフレクション時に抱きやすい「不全感」に気がつくこと③一歩踏み込むことへの「ためらい」に気がつくことについて共有し、子どもとのより良い関わり方についての考察を深めました。
◆当日のハイライト
プロセスレコードを用いたリフレクションは2回目でしたが、前回よりも参加者の方からの問いかけが増え、1つの事例を基にさまざまな可能性や仮説に思いを巡らせ合う様子が見られました。ワーク終了後は「自分の考え方のクセが見えてきた」「自分とは違う視点を持つことができた」などの声が上がりました。
◆感想
以下、参加者からの感想です。
・プロセスコードと質疑応答によって、自分とは異なった視点を認識することができました。リフレクションの時間というのは質疑応答しつつ、プロセスコード上の「その時」を冷静に分析し、さらに深いところにある見えない理由や意味を明らかにするもの。副次的には提供者の行動・感情に皆で肉付けする時間なのではと感じました。良い・悪いをはっきりさせるものではないので、それぞれの尺度でお互いの価値観を認め合え、伝えることができれば更にリフレクションを楽しく有意義に行える。それは同じような方向を向いている相手としかできないので、CforCは本当に貴重だなという感情を抱きました。前回はただただ、難しいという感情で一杯だった中、今回はリフレクションの楽しさを少し感じることができました。
・前回のリフレクションでは、問いを受ける側をさせていただき、今回のリフレクションでは、問いかける側をさせていただきました。受ける側の時は、ぐーっと自分の中に入り、感情を呼び起こす作業をすることで新たな気づきをたくさんいただきましたが、今回は、プロセスレコードを書いた方が感じていたことや行動にフォーカスし、その心の動きを聞き出せるように、グループで丁寧に聞いていきました。「『距離』『距離感』というワードから、自分が思う理想があるのでは、本当はこうしたいという自分がいるのでは」という質問から、その方の生い立ちの話が引き出される場面では、問いの持つパワーを感じました。実践する中では、自分の気持ちがメインになってしまって、何気なく通り過ぎていってしまう場面も、その時の行動や感情を振り返り、書き出すことで深まることが知れ、リフレクションの大事さを改めて感じることができました。
第2回目のリフレクションを開催! 「観察し、仮説を立てる」練習をスタートしました
子どもとのやり取りを振り返った先に見えてくる、自分のほんとうの「願い」とはーー?10月4日(日)、第2回目の「リフレクション」が開催されました。今回の目的は、リフレクションにおける観察と仮説の観点を学ぶことと、プロセスレコードを使ったリフレクションを体験すること。オンラインで、15名の方々にご参加いただきました。
◆当日の流れ
簡単な自己紹介のあと、①観察と仮説のワーク ②代表者の事例を基にリフレクション ③グループでリフレクション体験 の3つのセクションに分けてプログラムを進めました。
・セクション1 観察と仮説のワーク
リフレクションの目的を振り返ったのち、観察するときのポイントをお伝えし、架空の小学生6年生の子どもについて書かれた3行の文章を読んで仮説を立てる練習をしました。
・セクション2 代表者の事例を基にリフレクション
自己理解や対象への理解を深めるツールである「プロセスレコード」を使って、代表者に自分が経験した子どもとの「場面」を振り返ってもらいました。相手の言動と自分の言動、その背景にある思いを書き出し、それらを客観視して考察を深めたり仮説を立てたりすることで、参加者全員で観察眼や想像力を深めました。
たとえば、「この子がこう話しているときの表情や声色はどのようなものでしたか?」「この発言をしたとき、あなたはどんな気持ちでしたか?」などの問いから、深めていきました。
・セクション3 グループでリフレクション体験
参加者同士、3〜4人のグループに分かれてリフレクションをしました。グループの代表者が発表した事例について他のメンバーが問いかけることで、自分だけでは持ち得なかった視点や気づきを得る時間になりました。ワークの最後には、質問をした人とグループの代表者が感想を伝え合い、思いを共有しました。
◆当日のハイライト
プロセスレコードを用いたリフレクションを体験するのは初めてという人が大半だったため、緊張感を覚えた人も多かったようです。ご自身の経験を話してくださった方からは、他の人からの問いに答えるなかで自分自身の内面に気づき、「心がザワザワした」「見ないようにしていた感情に向き合う機会になった」といったコメントが寄せられました。リフレクション終了後も、気づきをSNSやnoteなどで発信したり、Slack上でお互いに感想をシェアし合う様子が見られました。
◆感想
以下、参加者からの感想です。
・リフレクションを通じて、目の前の現象を言葉にするときには主観の解釈が入っていることを常に意識しながら様々な角度から観察し、多面的な見方ができるように心がけたいと思った。自分の解釈は、自分の経験や価値観、想い、願い、環境等が多分に影響する。だからこそ、少しでも感じられる、見えることを増やしたい。そのためには、いろんなことに興味関心を持ち、たくさんの経験、研鑽を積んでいかないと…と思った。
・モヤモヤした事例を振り返り、みんなに頭を抱えていただいたリフレクション。「あの時なんであんな風に言ってしまったのか」「目の前のあの子をもしかしたら傷つけてしまったのでは」など(良い悪いを判断するものではないとわかっていつつも)、思っていた以上に心がチクチクしました。それでも、その気持ちは気持ちで自分の中でグッと受け入れ留めておき、新たな視点に気がつけたのは結果的に大収穫です。実は、こう思えるまではなかなかしんどく、丸一日くらい時間がかかってしまったけれど(笑)、CforCの場であったおかげで安心して味わえたなぁと思います。ひとりでは味わえない、とっても豊かな経験でした。
・今まで私が経験した子どもや社会の事を学ぶ場では、参加者それぞれの思いを共有することはあっても、その思いの裏にある感情を共有することなどありませんでした。私には、自分の感情を出し他のメンバーと共有することは少し戸惑いの残ることですが、このCforCで出会ったメンバーやスタッフの方々とそれぞれの思いや感情を共有し合い、自分の感情を大切に見つめ、共有した新しい感情として生まれ変わらせ、これからその心で子どもの心に寄り添い見守る事ができれば幸せだと思います。
第1回目のリフレクションを開催! 対話で見えた「子どもと自分の願い」とは…?
PIECESが運営している「Citizenship for Children2020」探究コースの特徴の一つが、「講座」「ゼミ」そして「リフレクション」がセットになっていること。9月10日(木)、ついに第1回目の「リフレクション」が開催されました。今回の目的は、リフレクションの大切さを知ると同時に、リフレクションとは何かを体感すること。オンラインで、24名の方々にご参加いただきました。
◆当日の流れ
簡単な自己紹介を行ったのち、「知る」「体験」「共有」の3つのセクションに分けてリフレクションを進めました。
・セクション1 リフレクションについて知る
ある子どもの例を参考に、目に見える言動の背景にある子どもの願いや価値観はもちろん、自分自身の要求や願いを理解しようとし続けることの大切さを共有しました。そのうえで、PIECESがリフレクションにどのような目的を置いているのかをお伝えし、具体的な方法や注意点をシェアしました。
・セクション2 ペアになってリフレクションを体験
参加者同士、2人組のペアになってリフレクションを体験してもらいました。「個人ワーク」の宿題を基に、最近あった子どもとの出来事のなかで心に残っている場面について「相手は何を考えていたのでしょうか?」「あなたはどんな感覚・気持ちでしたか?」など11の問いを投げかけ、子どもと自分の願いに気づくための振り返りを行いました。
・セクション3 みんなで感想を共有
リフレクションを通じて感じたこと、気づいたことなどを全員で簡単に共有しました。
◆リフレクション中の様子など
リフレクションを行うのは初めてという方が大半でしたが、参加者からは「リフレクションの意味や価値がわかった」というコメントが複数寄せられました。また、ペアになって問いかけ合うことで新たな発見や気づきがあったという声も目立ち、終了後もオンライン上で参加者同士が活発に感想共有をする様子が見られました。日直をお願いした参加者の方からは、「対話によってステップバイステップで、着目観点をずらしながら振り返る手法によって、深い気づきに到達できたり自分の思考パターンに気付いたメンバーが多かったようです」とのコメントが寄せられました。
◆感想
以下、参加者からの感想です。
・ペアワークをした人とともに、もっともっと素の、裸の自分でいなくちゃ、というベクトルが一致したのが面白かった。少し時間が経ってジワジワ上がってきたのが、自分の中では価値が低いと思っていた活動が、実はひとりの子どもにとっては大切な機会になったかもしれない、という気づきでした。場の空気、考え、フレームがどうだろうと、そこに来る子どもがいる以上、貴重な場になりうること。そこに与えうる自分のbeingに自信を持て、という言葉が降ってきました。また、もっと子どもと共にいる場での自分の一挙手一投足を観察しなければ、と思いました。感情の現れを、体感する。しかも不安定さをちゃんとキャッチする。言語化されない揺らぎを感じ、あるがままに抱きしめる。楽しみます!
・初めてのリフレクションでしたが、とても新鮮な体験でした。反省会はよくあったのですが、それとは全く違っていて興味深かったです。感情や願いについてまで想像することが、相手を思いやることにつながるのでしょう。自分のことについても、話をすることで「そうか、自分はこういうことを感じて、願っていたのだ」と気づいたのはとても新鮮な感覚でした。最後の質問の「もう一度同じ場面に遭遇したらあなたはどうしたいですか?」で自分のしたいことが発見できたので、同じような機会に会えるのが楽しみです。
CforC第2回ゼミレポート|市民性、アセスメントについて理解を深める
Citizenship for Children2020探求コースでは、「講座」「ゼミ」「リフレクション」と授業が分かれています。今回は「ゼミ」2回目を開催しました。市民性とアセスメントについて理解することを目標に、講義やワークを通して考えていきました。
初回のゼミから約1ヵ月経ちました。「講座」「リフレクション」に参加し、コミュニケーションツールSlackを使用してそれぞれのクラスごとに交流をしていたのもあり、和やかな雰囲気で始まりました。
当日は以下のような流れで進められました。
・チェックイン
3,4人のグループに分かれて、最近のハイライト、課題となっていた講座の動画の答えを共有し、和やかな雰囲気でスタートしました。
・市民性とは
市民性と「間」について理解を深めるために、自分と子どもの両方にとって良い「間」を探求することをこの探求コースでは目指していきます。自分自身と、子どもの両者の願いが成立した自分なりの「関わり方」を見つけていきます。
・子どもの理解を深めるためのアセスメント
アセスメントとは、子どもや家庭への関わるうえでの根拠となる「〜かもしれない(仮説)」を考えることです。「〜かもしれない(仮説)」が数多く思い浮かぶことは、子どもの行動の背景理解につながります。行動の背景を深く探るには、本人や環境に目を向けてみることに加え、ストレングス視点を持つことが大切です。目に見える行動・言動の意味付けを捉え直してみることが重要で、そのためにも自分が持っている価値観や信念などに自覚的であることが大切だと伝えました。
・対話のセッション
市民としての関わりについての新しい意味や未来を探っていくため、ワールドカフェという手法を使いました。個々の価値観の違いを尊重しながら、意見を述べ合うことを重視し、その違いはみんなの気付きになっていきました。
動画や講義の感想をシェアしたり、動画に出てきたプレーパークに子どもたちはどんなコミュニケーションがあるから来ているのかを考えたり、そのコミュニケーション(心地よい関わり)を体験したことがあるかを考え、深めていきました。
<各クラスの感想>
◆一般クラス
9月13日(日)、オンラインで15名が参加しました。
第1回目からは少し日が経っていましたが、直前の10日に開催されたリフレクションに多くのメンバーが参加していたこともあり、当初から穏やかな雰囲気の中で活発なコミュニケーションが繰り広げられていました。
今回は運営の方々もチャレンジだという、オンラインでのワールドカフェ。
オフラインでのワールドカフェ同様に、対話を通してそれぞれが気づきや学びを得ていく事が出来た様に感じます。ただ、オンラインでは参加者同士が対面しているため、何となく「喋らなきゃ」という焦りが生じてしまう印象も受けました。むしろ少し斜めにカメラをセットする方が良いのかもしれません。さて、まだまだ始まったばかり・出会ったばかりのメンバーですが、少しずつ心理的安全性が担保された会になってきており、深い内容の話も出始めています。オンラインでのコミュニケーションが当たり前になってきている世の中ですが、オフラインで出会えたら、もっと仲間意識が生まれ、心地よくも熱いコミュニケーションが行えるはず。そんな日を心待ちにしつつ、オンラインだからこそ出会えた仲間との時間を楽しみたいと思います。
第二回のゼミでしたが、それまでのSlackのやりとりや、リフレクションなどの他の顔合わせで、かなり開始から、顔なじみと言う感じで安心してできたように思います。
今回のCforCのプロジェクト名でもありキーポイントでもあろう「市民」についてのインプット。専門家ではなく「市民」という立場だからこそできるそのことの関わりストレングスの扱い方を学ぶことができました。その後の受講者同士での意見交換=ワールドカフェでは、様々な方の意見聞けるなか、「『市民性』と『専門性』こんなに単純明快に区切れるわけではなく融合しているのではないか」と言う意見を聞け、さらに受講者同士での深い学びができたように感じます。早くも次回が待ち遠しいです…!
◆奈良クラス
9月20日(日)の午後、オンラインで9名が参加しました。受講者同士が対話する「ワールドカフェ」では、約1時間でたくさんの人たちと話をすることで、チームごとにさまざまな気づきが生まれました。
以下は参加者の感想です。
・今回、自分の課題として残ったことは「程よい距離」について。今までの講義などでもこのワードは何度も出てきて、そのたびに自分の中で「程よい距離」は何かと考えてきましたが、今回は具体的により深くまで考えることができました。と同時に、謎も深まりました。みなさんのお話を聞きながら考えが膨らみ、自分の中で整理しているんだろうなと、今までにない感覚で面白くも感じました。
「市民性とは?」というところでは、自分が正しいと思っていることが相手にとって必ずしもそうではなく、ひとりひとりの目線をもって考えていくことの大切さを改めて考えました。そのためにも、まずは自分を知ること、客観的にみてみることに目を向け、その上で自分の強みを生かした関係性を見つけていきたいです。
ゼミでは、時間内に答えを見つけるのではなく、生まれた疑問を次の課題にし、それをみんなで探り続けていくことができます。ひとりではできないからこそ考え続けられる、このプログラムを通して今までの自分との変化を実感しながら、頼もしい仲間と一緒に引き続き学んでいきたいです。
・ワールドカフェの中では、互いの考える市民性や良い関係性について思いを述べあったけれど、「相手の話を受け止めなければ!」というプレッシャーも、「相手に私を受け入れてもらわなければ!」という妙な緊張感もない。「伝え合う」ことはあっても、押し付けあったり決めつけたりすることはなく、互いの話に大きくうなずき、共感を表情で示し、「なるほど~」「そうだよね~」という言葉で相槌を打っている。「そうか、私の言葉届いているんだ」「今一緒に考えているんだ」という実感が、この温かい空気感を生んでいるのだなと気がついた。
ゼミ中の講義にあった「他者やその背景への想像力を持ち、”~かもしれない”をたくさん考えられるようになることが大切」という学びも含め、「多くの可能性を念頭におきながらもまっさらな気持ちで向き合っていく」という姿勢が市民性の一つのポイントなのかなと感じた。正解の枠組みを自分の中に作ってしまうのではなく、「あなたの気持ち、伝わっているよ」と示しながら、子どもの目線から見えるものを一緒に受け取っていく。そして新しく見えた何かをもとに、一緒にリフレーミングしていく。
そんな風に関わっていけたら優しい間は生まれてくるのかなと考えつつ、引き続きこの温かい空間の中で、皆さんと考えや思いをほわほわ膨らませていけたらと感じている。
◆水戸クラス
9月20日(日)、オンラインで5名が参加しました。水戸クラスのメンバーは初回のゼミ後、子どもの居場所づくりをしているメンバーのところへクラスのメンバーが見学行くなど、オフラインの交流も始まっています。
以下、参加者の感想です。
ゼミではメンバー間で感想を共有することで、違った視点での気づきもいただきながら内容を振り返り学びとして厚みが増したと感じました。オンラインでのワールドカフェというのも初めての体験で新鮮でした。
子どもたちの「居場所・拠り所」をつくるために必要な視点、そこでの他者への関わり方について改めて考える機会となりました。また、対話を通じて自分の経験や強みを確認し、それを生かしていくことにも目を向けられたのも良かったです。
動画や講義の感想で、茶髪金髪の子たちは、おちゃっこババたちに邪険にされても、あそびーばーに来るのはなぜだろうという問いがありました。もしかしたら、関心を向けてくれるから、という理由があるからかもしれないという話があり、また、家にいずらいから来てる子もいるのかも、とも思いました。
待つという姿勢でいることの大事さはわかるが、待つ姿勢でいても向こうから来ることができないような子にはどうしたらいいか(置き去りにしちゃうのではないか?)との問いが出たのも、心に残りました。
屋根から飛び降りる子たちを見ていて、自分が子どもの頃はこういう危ないこともやってたけれど、自分の子には危険だからと止めてしまっているという感想を話しました。危険をおかす権利を取り上げてしまっているのではないか。
ブランコや滑り台などの遊び方が決まっているものより、土管とか砂場とかのが楽しかった、自分たちで創造していく楽しみが遊びなのでは、との私の感想には共感が集まりました。
大人はお茶っこでいいとの部分にも、「ただ お茶飲んでたら、周りから何やってるんだ、あいつらサボってるんじゃないか、みたいに言われてしまうかも」という意見もあり、そういうこともあるかもなぁとも思いました。そこは、丁寧に「こういうやり方を敢えてしてるんですよ」と話していったらいいのでは、でもなかなか難しい、などのお話がでました。
ワールドカフェスタイルのゼミ、とても面白かったです。時間が足りないと思うくらい、話が多岐にわたり、とても勉強になりました。
セミナーレポート|子どもへの“支援”を問い直す ~プレーパークでの実践に学ぶ「子どもとともにいる」関わり~
9月6日(日)、「子どもへの“支援”を問い直す ~プレーパークでの実践に学ぶ「子どもとともにいる」関わり~」というテーマで一般社団法人プレーワーカーズ理事の神林俊一さんをお招きして公開講座を行いました。
残暑が残る蒸し暑い日でしたが、オンラインで、26名の方々に参加いただきました。
※本講座は、今期の「Citizenship for Children」(CforC)第2回目の講座です。2021年1月にかけて全6回の講座を実施します。今後の講座について、ご興味のある方は以下Peatixページのフォローをお願いします。
◆講師プロフィール
神林俊一(一般社団法人プレーワーカーズ理事/一般社団法人TOKYOPLAY/そとあそびプロジェクト・せたがや/フリースペースつなぎ理事/NPO法人日本冒険遊び場づくり協会宮城地域運営委員)
いじめ・不登校の最中、プレーパークに出会う。2010年、東京都次世代育成支援行動計画にて、チャイルドファシリテーターとして子ども300人大人100人 をヒアリング、心の貧困を抱える多くの子ども達と出会う。2011年4月、東日本大震災直後に子どもの心のケアを旗印に、住民協働による遊び場「あそびーばー」を立ち上げ、その後2年間常駐し、住民による運営体制を確立。NPO法人日本冒険遊び場づくり協会宮城県北部長として日本ユニセフ協会との協働し東北各県の仮設住宅、復興公営住宅付近にて遊び場を開催しつつ、住民主体の遊び場づくり支援を行う。2015年、子どもが関わる全ての場所へプレイワーク(子どもの遊びに関わる専門職)の視点を伝えていくために一般社団法人プレーワーカーズを設立。(一般社団法人プレイワーカーズHPより)http://playworkers.org/member/
◆講座内容
講座は4つのセクションに分けて進められていきました。
①講師紹介/子どもたちにとっての遊び
最初のパートでまず話していただいたのは、プレーパーク・冒険遊び場の事例や現在の子どもたちの状況について。遊び場を子どもたち自身が手を加えていく様子や実際の映像で子どもたちの様子をみたうえで、少子化や子どもたちにとっての遊びがどのように変化しているのかを、「遊びのさんま」「子どもたちの遊びは創造から消費へ」といった言葉をもとにお話しいただきました。
②遊びと居場所~あそびーばーでの実践~
東日本大震災から、気仙沼で子どもたちの遊び場がどのように作られたか、その状況について話されました。実際に子どもたちと一緒に作ることで、子どもたちから「自分たちが作った」という発言や「子どもたちにノコギリを使うという体験をさせたことがなかった」という地域の方の発言があったそうです。また、あそびーばーを運営している地元の方たちにも触れ、大人にとっての居場所にもなることの重要性や、無理のない関わり方について実際のエピソードも交えて紹介いただきました。
③対談①~子どもへのまなざし~
講師の神林さん、NPO法人セカンドリーグ 茨城理事長の横須賀さん、そしてPIECESの斎の三人で、気仙沼で神林さんが出会った子どもたちについて対談しました。それまでなかなか出会うことのなかったヤンチャな子どもたちとあそびーばーを通して繋がったこと、その子たちが地元のおじいちゃんおばあちゃんとはじめは衝突しながらも、少しずつ関わり方に変化が生じていったこと、その時双方に対してどんな関わりを行っていたのかなどについてお話しをいただきました。
④対談②~支援のカタチ~
前のセクションに続き、三人で神林さんが出会ったある女の子の話から、「待つ」ということについて対談しました。半径数mのところで話をしたそうにしている子に対して、あえてこちらから声をかけずに待ってみた時にどんなことが起きたのかというエピソードをもとに、「待つことを仕掛ける」という奥深い子どもへの関わり方について紹介いただきました。
◆当日の質疑応答の様子
当日は講義動画をそれぞれで見た後に、数人ごとで感想共有を行い、全体で質疑応答を行いました。質疑応答では、「あそびーばーは自由な世界だと思うのですが、学校は自由ではない。子ども達はその世界になじめない場合、その世界からエスケープした方が良いと思いますか?」、「あそび場運営している中で、あれは失敗だったなという経験、そこからどうカバーしていったかなど、あれば教えてほしい」、「活動を通じて、大人側・多数派の人達の変容はあったか」、「怪我や安全性はどうなのかという批判や意見への対応はどうしているのか。また、かんぺーさん自身が危険だと思うことにはどう対応しているか」といった多くの質問が参加者から寄せられました。
◆参加者のみなさんからの感想
・子どもを信じること、待つことの大切さ。子どもが自分で遊びや人と関わる方法、危険を感じとれるということを信じて、待つことで応援できる人になりたいなと思いました。
・力を持っている子ども達(大人もだが)のモチベーションを下げ、支援慣れするようなサポートは本来の目的ではない、と改めて思った。子ども達が自発的に考えられるよう、サポートしていける立場になるために、現場での実践が大変重要だと思う。学ぶべきものは現場。失敗を恐れずチャレンジしていきたいです。
・少子化はすなわち大人の多大化でもある、というお話が非常に印象的だった。確かに子どもの遊びを「危ない、見守らなくちゃ」という視点で見ていることが多く、でも自分の子ども時代を振り返ると、大人の目の届かないような場所でも自由に飛んだり跳ねたりして過ごしていた。それが当たり前だったし、ケガも含めて私を大きく育ててくれたと思う。そのあとでも「支援慣れ」という言葉が出てきたが、何かをしてあげなくちゃいけない、というスタンスを取りすぎているなと思った。
◆次回公開講座のご案内
第3回目は、10月4日(日)10時~12時半で開催します。
講師に、NPO法人ビーンズふくしまの山下仁子さんをお招きし、「子どもたちの“生きづらさ”に心を寄せる ~孤立する子どもたちが本当に求めているものとは?~」というテーマで行います。単発でのご参加も受付ていますので、ご関心のある方は是非イベントページをご覧ください。
CforC探求コーススタート!子どもが孤立しない地域をつくる仲間があつまり、3クラスでキックオフを開催
Citizenship for Children2020(以下、CforC)が8月からスタートしました!今年は探求コースが3つあり、昨年に引き続き水戸クラス、そして新たに今年から一般(全国)クラス、奈良クラスがスタートしました。水戸クラスはNPO法人セカンドリーグ茨城、奈良クラスは認定NPO法人Living in Peaceに協働パートナーとして一緒にプログラムをサポートして頂いています。
探求コース参加者は、社会福祉士や養護教諭、教員を目指す学生、地域おこし協力隊、子どもとの関わりを持っているけど、さらに一歩何かしたい方、既に子どもの居場所などのプロジェクトを始めている方など、年齢層もバックグラウンドも幅広く、様々な地域から参加してくださっています!
今回探求コースでは、「キックオフゼミ」として第1回ゼミを一般(全国)クラス、奈良クラス、水戸クラスに分かれて、オンラインで行いました。
ゼミに参加するメンバーの顔合わせは今日が初めて。これから6ヵ月間一緒に過ごすメンバーを互いに知ること、優しい間について深める「手がかり」を知る時間として自己紹介やCforCの目的の共有、ペアワークなどを行いました。
ゼミでは主に4つのワークを行いました。
①チェックインの時間
グループに分かれて、①名前(よばれたい名前)、②参加している場所、③今の体調/感じていること、④動画の感想、⑤今日の意気込みを一言ずつ共有しました。最初は緊張した面持ちでスタートしましたが、少しずつ話すことに慣れていきました。
②CforCの目的を共有
CforC探求コースで学んでいく内容を説明しました。CforC探求コースでは、PIECESで伝えている、優しい間を生むための市民性を醸成するために6か月通して学んでいきます。子どもの願いだを考えるだけでなく、参加するメンバー一人ひとりの願いも大切に両者の願いが成立した自分なりの関わり方を見つけていきます。
③自己紹介の時間
これからこのクラスが活動の基盤になっていきます。まずは活動するわたしたちが安心して信頼できる関係性を築いていくため、初めて会うメンバー同士、自己紹介を行いました。自己紹介では、これまで取り組んできたこと、そして、これから一緒に学び合うメンバーだからこそ話しておきたい今考えていることや感じていること、今後の目標などを各々が話しました。
④ペアセッション(対話)
これからの活動をどうしていきたいか、6か月の目標を考えるきっかけとなるペアセッションを行いました。ペアに分かれて、交互に問いを聞き、答えていきます。じっくり考えるのではなく、話しながら考えていきます。問われてみて、話しながら出てくる自分の声を聞きながら手がかりを見つけていきました。
<各クラスの感想>
◆一般クラス
8月9日(日)関東近郊から九州に在住する12名が参加しました。一般クラスは、参加者の他に昨年度参加者もチューターとして参加しています。
最初は全員初めましてということで、硬い雰囲気がありましたが、自己紹介やペアワークを通して、繋がりたいという雰囲気に変わっていきました。休憩時間も誰かがヨガを始めるとみんなで同じ動きをしてみたり、ゼミ後もFacebookでつながったり、その日あったことなどが雑談用のslackチャンネルで飛び交うようになりました。初回ゼミを通して、オンラインではあったものの、一つのコミュニティとしてのまとまりが出てきたように思います。
◆奈良クラス
8月16日(日)、奈良県近郊に在住する12名が参加しました。奈良クラスは、協働パートナーのLiving of Peaceも一緒に参加してくださっています。
初対面の方ばかりで初めは緊張した雰囲気もありましたが、自己紹介タイムで皆さんが積極的に思いを言葉にしてくれたことで、クラス全体の距離感が一気に縮まった感じがしました。ペアワークでは学生さんと社会人経験豊富な方など、普段なかなか関わることがない人たちと対話をする機会を通じて「視野が広がった」「自分自身に対する気づきにもつながった」といった声が挙がりました。ゼミ終了後には、「いつかクラスメイトと一緒に、子どもに関わるプロジェクトをしてみたい!」との声も。コミュニティとしての、これからの広がりがますます楽しみです。
◆水戸クラス
8月23日(日)、茨城県内に在住する8名が参加しました。水戸クラスは協働パートナーのセカンドリーグ茨城、昨年度参加者にも参加していただいています。
最初は皆さん緊張していましたが、チェックイン、自己紹介と一人ひとりのお話をじっくり聞くにつれてメンバーの想いも開示され、とても素敵な時間になりました。お昼休憩後にヨガインストラクターの参加者から簡単なヨガ講座があり、とてもリラックスした気持ちになったこともプラスになりました。最後の感想共有では、「ゼミのメンバーが連携してなにかムーブメントになればいいな」「色んな方の話を聞いてヒントやアイデア、アドバイスをもらえた」「このプログラムが持っている可能性を今日実感することが出来た」など、このコースに参加できて嬉しいと言った声をもらいました。
セミナーレポート|子どものこころの発達への理解を深める 〜児童精神科医の視点からみえる、子どもたちの今〜
8月9日(日)、「子どものこころの発達への理解を深める 〜児童精神科医の視点からみえる、子どもたちの今〜」というテーマで公開講座を行いました。
目もくらむような日差しがある日でしたが、オンラインで、61名の方々に参加いただきました。
※本講座は、今期の「Citizenship for Children」(CforC)第1回目の講座です。2021年1月にかけて全6回の講座を実施します。全6回がセットになった「基礎知識コース」の受講はこちらで申込受付中。申込期限は8/31まで。第1回目の動画も8月末まで視聴可能!
◆講師プロフィール
小澤いぶき(認定NPO法人PIECES代表理事/児童精神科医/東京大学医学系研究科客員研究員)
新潟大学医学部医学科卒業後、精神科医を経て、児童精神科医として複数の病院で勤務。トラウマ臨床、虐待臨床、発達障害臨床を専門として臨床に従事し、さいたま市の「子育てインクルーシブモデル」立ち上げにも携わる。
医療職として従事する傍ら、2013年頃から地域活動を始め、2016年6月にNPO法人PIECESを設立。現在も代表理事を務める。2017年には、世界各国のリーダーが集まるザルツブルグカンファレンスに招待を受け、子どものウェルビーイング達成に向けたザルツブルグステイトメント作成に参画。Japan women 's leadership initiative 10期フェロー。
◆講座内容
講座は4つのセクションに分けて進められていきました。
①子どもの認知
子どもの心や認知は、どのように発達するのかについて話されました。例えば、子どもは、言葉で表現することが難しいこと、自分と世界の出来事との切り分けが難しいことなどが挙げられていました。
②子どもの情緒・自尊感情
精神の発達について、主に情緒発達の基盤や愛着、自尊感情を中心に話されました。子どもたちがどのような段階を踏んで情緒を育むのか、また、愛着形成のためにどんな環境・関わりが必要かについて話がありました。自尊感情については、「そこにいることへの評価(being)」と「能力としての評価(doing)」の二つについてを中心に、自尊感情を育むための関わり方について具体例が挙げられていました。
③逆境体験による影響
逆境体験による影響について、機能不全家庭に育つ子ども・若者の特徴や思春期に起こりやすいトキシック・ストレスについて話されました。具体例としては、貧困や虐待といった機能不全家庭では、「ヒーロー」や「スケープゴート」といった役割が挙げられていました。また、それらの逆境体験は、PTSDという心への影響や脳への影響があることについてもお話されていました。
④心の孤立のメカニズム
子どもたちが実際に語った言葉を入り口に、心の孤立が深刻な問題になるまでのフェーズや具体的状況について話されました。具体例としては、「あなたがすべて」「あなたがいなきゃだめ」などとコントロールされる、保護者を過度に不安がっている、自分が保護者を支えないとと思う、などが挙げられました。そのうえで、「人に頼る」ことはとても主体的な行為であるということが話されました。
◆当日の質疑応答の様子
当日は講義動画をそれぞれで見た後に、数人ごとで感想共有を行い、全体で質疑応答を行いました。質疑応答では、「子どもは感じたものを言語化するのが未発達ということがあったが、それは大人になるにつれ誰もが自然にできるようになるのか」、「逆境環境の話が公衆衛生上の問題として捉えられてきているとは、具体的にどういうことか」といった質問など多くの疑問・質問が参加者から寄せられました。
◆参加者の感想
・日ごろこうした分野の専門家の知見に触れることがないので、すべてが勉強になりました。目指すのは実際の活動ですが、その点でも、大いに示唆を受けました。ありがとうございました。
・子どもをみつめるベースになるような知識に触れることができた。
・子どもの言動には実は様々な背景があることや、こんな時はこういう対応をしてみましょうなど、これまでの自身の反省もしつつ学びがとても多かったです。
・もしかしたら自分の発言や態度が子どもを傷つけたこともあるかもしれない、と感じました。またあの時のあの子の発言には、何か背景があったのかも…と思い出す事があり、これまでの経験と照らし合わせながら受講していました。あの時に本当はどんな対応ができればよかったのか、これから学んでいきたいです。
・短い時間ではあったが、他のコースの方々と意見交流ができたことが楽しかった。また、以前からもやもやしていた疑問を回答してもらえてすっきりしたとともに、もっと学んでいきたいという意欲が湧いた。
次回公開講座のご案内
第2回目は、9月6日(日)10時~12時半で開催します。講師に、一般社団法人プレーワーカーズの神林俊一さんをお招きし、「子どもへの“支援”を問い直す~プレーパークでの実践に学ぶ「子どもとともにいる」関わり~」というテーマで行います。
基礎知識コースのお申し込みはもちろん、単発でのご参加も受付を開始していますので、ご関心のある方は是非イベントページをご覧ください。
子ども支援の原点を問い直す ~子どもの声を大切にする実践とは?~ 「Citizenship for Children in 水戸」第6回公開講座 & CforCゼミレポート
PIECESが茨城県水戸市で行う、子どもと関わる市民育成プログラム「Citizenship for Children in 水戸」。
これまでPIECESは首都圏を中心に市民育成プログラム(旧名:コミュニティユースワーカー育成プログラム)を開催し、1〜4期で計約50名の子どもと関わる市民を育成してきました。
今回は全国展開に向けての第一歩目となる水戸市でのプログラムで、「セカンドリーグ茨城」さんとの協働で実施しています。
首都圏に限られていた活動範囲を全国に拡大し、各地にいるかもしれない「孤立した子どもたち」と優しい関係性を紡げる大人を増やしたい。
そんな想いから全国展開を目指し、まずは1拠点目、茨城県水戸市で12人、6ヶ月間の「Citizenship for Children プログラム(以下CforC)」を実施します。
これまでの5回では、子ども・若者の育ちの理解や困難を有する子どもたちへのまなざしなど、一市民として子どもに関わる上で土台となる価値観や知識について、延べ100名近い方々と一緒に学んできました。(第五回目のレポートはこちらから)
今期の後半にあたる10月から12月にかけては、引き続きフィールドの異なる実務家・専門家の講師をお招きして、さらに一歩踏み込んで「市民性を大切にした子ども・若者支援」について考えていきたいと思います。
今期最後となる第6回目の公開講座では、NPO法人ビーンズふくしまの山下仁子さんを福島からお招きしました。子どもたちに関わっていく過程では、誰しも無意識に自分の願いを押し付けてしまったり、短期的な成長や変化を求めてしまったりすることがあるものです。何より、子どもたちとの関わり方には、明確なお作法や正解・不正解があるわけではありません。子どもと育む間は千差万別。日々の自分の実践や他者の経験を通じて学び、振り返り、更新して行くことが大切なのです。今回の講座では、今一度原点に返って「子どもの声を大切にする実践」について山下さんにお話いただきました。
貧困の中で生きる子供たち
2015年の厚生労働省の調査によると、日本の18歳未満の子どもの実に7人に1人が貧困状態の中にあるといいます。日本における貧困は「相対的貧困」という形で現れており、これは食事や住居など生活の基礎となる部分はある程度確保されているが、経済的など様々な要因により、教育・雇用・福祉に滞りが発生してしまっている状態のことだといいます。ただ相対的貧困がもたらす影響は物が買えない、と言った経済的なことだけではありません。例えば保護者がアルコール依存症で子どもに暴力を振るう、金銭管理ができずライフラインが停止されてしまうなど、様々な状況が挙げられます。このような過酷な家庭環境は、子どもたちの困りごとを認識する力や周りに助けを求める力、他者と交流をし学ぶ機会、自分の将来を自らの手で切り拓いて生きることなど、人が生きていく上で不可欠なものを奪ってしまっているのです。
ではどのようにすれば、子どもたちの自己肯定感を醸成できるのでしょうか。
アウトリーチ型支援(直接支援)
貧困の中で生きる子どもたちはその家族の多くは、現状に対する違和感を持つことが難しいため、支援が必要な状態であっても自ら支援を求めてくることはほとんどありません。生きる力が低下している子どもたちが「助けて!」と声をあげることは、ものすごくエネルギーが必要となります。このような実態は外側からは見えません。そのため、山下さんは支援を提供する側が出向いていくアウトリーチ型支援(訪問による直接支援)が有効と言います。
子どもと関わる中で山下さんが一番に大切にしていること。それは子どもの人権擁護、つまりエンパワメントです。エンパワメントとは、子どもの力が引き出せるような関わりをすること、つまり子どもたち自身で自分のことが決められるようになることだと話します。
直接支援の内容は以下の通りです。
家庭背景・環境を考慮し、子ども本人と一緒に支援プログラムを計画立案する。
子どもの変化も鑑みて、3ヶ月に1回はアセスメントを実施し、適切な関わりが行えているか評価する。
この段階では、時間をかけて子どもたちとの関係性を構築していく。(一緒に散歩をしたり、好きな漫画を読んだり等関わり方は様々)。子どもとの関係性が構築でき、子ども自身がどうしたいか確認できたら、間接支援(ソーシャルワーク)を開始する。
関係構築は家庭により様々。場合によっては家庭環境の整備にたどり着くまで3年かかると話します。山下さんのお話で最も印象的だったのが、「ケースが動いているように見えなくても、一緒の空間を共有する。子どもたちとの関係性を作っていく上でとても大事な時間」というお言葉です。子どもの声を大切にするということは、子どもが声を出すまでの時間を共有することなのだと学びました。
この後の質疑応答の時間では、山下さんがご自身の活動や市民の役目について更に詳しくお話してくださいました。
山下さんへのQ&A
Q: ご自身の自己肯定感はどう保っているのでしょうか?
「私は過去に医療現場など、人が命を落としていってしまう現場を数々と見てきました。その経験から「生きていればいい」と考えるようになりました。目的があるかどうかではなく、生きていれば良い、この考えに自分の自己肯定感はあるんだと思います。あともう一つ大事にしていることは「相手を嫌いにならない程度に関わる」ことです。全て自分でやろうとするのではなく。
子どもは本能のままに生きています。ある意味で子どもは大人よりも完成体なんじゃないかと思います。もっといろんな経験をして子どもの完成体に向き合いたいです。
Q: 山下さんのような活動を、自分が行えるか自信がありません...。
大切なのは時間と仲間を作っていくことです。あとは自分が必要だと思うことをやり続けること。これは一見簡単なことのようですが、実はとても難しいことです。自分自身、自分がやっていることが正しいか・間違っているかは分かりません。そもそも大人だけで考えていてもわからないことです。それは子どもたちにしかわからないので、悩んだら子どものところに行って話を聞くことが大事なんじゃないかと思います。自分は正しいことをやっているんだと、自信を持って言えるのは、子どもたちが教えてくれたからです。
Q: 子どもと保護者の意見をどうバランス良く聞いていますか?
子どもに聞いても、親が答える場合があります。親が自分の子どもを思う気持ちに間違いはない。例え攻撃的な言葉でも話をよく聞いていくと、意図が鮮明になっていきます。お母さんは本質的に子どもを愛しているのは間違いないので、それを聞き入れることは必要なんじゃないかと思います。
そして大事なことは待つことです。支援活動を行う中で、介入した方がいいのか、これは待った方がいいのか、スタッフと議論をします。例えば子どもに受験勉強をしてもらいたいと理由で、こちらで勝手に環境を整えようと片付けをしてしまうと、片付けの大変さやメンテナンスの大変さを実感しないままになってしまいます。大切なのは、時間をかけてでも家庭環境を整えることの重要性を本人が気付き、行えるようにすることです。なぜなら環境が整備されているところはちゃんと家庭の声を拾っているからです。そしていかに日常会話の中で、子どもたちの声を拾っていけるかということです。
Q: スタッフ間のコミュニケーションはどのように行っていますか?
スタッフの不安がどこなのか、しっかりと聞くようにしています。スタッフ面談も頻繁に行っています。やはり「待つ」ことも活動の大事な部分なので、待っていることはサボっていることでは無いこと、ケースが動かないのは当たり前だということを、常に毎日の振り返りの中で伝えています。
Q: 会議に子どもや親が参加することについて:子どもがしたいことと、周りのしたいことにギャップが生じたことはありますか?
子どもが出席したくなければそれで良いのです。ただ、会議のような意思決定の場に子どもを誘うことはエンパワメント、つまり自己肯定感を高めることにつながります。自己肯定感とはいかに自分の実情を受け止め自分のことを自分で決められるか、ということです。同じく、私たちもその場では、いかに内容が厳しいと思っても、ごまかさず、すべてを正直に伝えていくことを大事にしています。「子どもの声を尊重しよう」とよく言われますが、「尊重」とは具体的にどうすれば良いのでしょうか。私はちゃんと伝えて、ちゃんと支えることだと思います。時間はかかりますが、やるべきことだと信じています。
何より、子ども支援のことであれば、子どもに聞いた方が一番良いです。まずは聞くことが大事だと思います。そこに正解・不正解はありません。大切なのは、子どもが伝えてくれた言葉を頭で捉えるのではなく、気持ちで捉え、気持ちで動くことです。頭で考えて行動しようとすると、答えを探してしまいがちですが、気持ちで受け止めようとすると、自分の気持ちが動くからです。「その言葉にどんな気持ちを馳せているんだろう」「今なぜこのタイミングで言うのだろう」そう捉えることで、自然と自分の第一声が変わるし、それに伴う行動も変わってきます。放った言葉そのものより、そのタイミングで発した理由や真意が見えてくるようになります。気持ちで捉えられれば、それがたとえ正しい答えでなくても、優しい答えになるのではないかと思います。
Q: 市民に求めることはなんですか?
そのままでいて欲しいです。結局、子どもは日常で生活をしていきます。資格を持って子どもに対してこうしなきゃ、と言う人たちで溢れて欲しくないです。ただ元気で生きていてくださいと、普通にしてくださいと思っています。
初めての水戸での開催、2019年7月から始まった6ヶ月間のプログラム。ご参加いただいた皆さま、関心をお寄せいただいた皆さまありがとうございます。
子どもにとっての「遊び」を紐解く 「Citizenship for Children in 水戸」第5回公開講座 & CforCゼミレポート
PIECESが茨城県水戸市で行う、子どもと関わる市民育成プログラム「Citizenship for Children in 水戸」。
これまでPIECESは首都圏を中心に市民育成プログラム(旧名:コミュニティユースワーカー育成プログラム)を開催し、1〜4期で計約50名の子どもと関わる市民を育成してきました。
今回は全国展開に向けての第一歩目となる水戸市でのプログラムで、「セカンドリーグ茨城」さんとの協働で実施しています。
首都圏に限られていた活動範囲を全国に拡大し、各地にいるかもしれない「孤立した子どもたち」と優しい関係性を紡げる大人を増やしたい。
そんな想いから全国展開を目指し、まずは1拠点目、茨城県水戸市で12人、6ヶ月間の「Citizenship for Children プログラム(以下CforC)」を実施します。
これまでの4回では、子ども・若者の育ちの理解や困難を有する子どもたちへのまなざしなど、一市民として子どもに関わる上で土台となる価値観や知識について、延べ100名近い方々と一緒に学んできました。(第四回目のレポートはこちらから)
今期の後半にあたる10月から12月にかけては、引き続きフィールドの異なる実務家・専門家の講師をお招きして、さらに一歩踏み込んで「市民性を大切にした子ども・若者支援」について考えていきたいと思います。
今回で第5回目となる今期の公開講座。晴天の中、たくさんの方々に集まっていただくことができました。
午前の公開講座は、一般社団法人プレイワーカーズの神林俊一さんが講師を担当。被災直後から気仙沼に入り、復興までの混乱の中、プレーパークの運営を通して子どもたちやその家族に寄り添い続けた。3.11の被災直後から気仙沼に入り、復興までの混乱の中、プレーパークの運営を通して子どもたちやその家族に寄り添い続けた神林さんから、子どもにとっての遊びや、子ども・若者にとっての居場所の意味を学びました。
プレイワークと遊びの背景
プレイワークとは「子どもがいきいきと遊ぶことのできる環境をつくる」こと。子どもが自発的にいきいきと遊べるよう、時間・空間・環境づくりなど、多くの子どもと関わる専門職に共通する概念です。1980年代にヨーロッパで生まれた専門分野であり、今ではデンマークやイギリスを始め、多くの国で子どもが関わる場所で、専門知識を備えたプレイワーカーが活躍しています。
そもそも日本における子どもの「遊び」はどのようなものなのでしょうか。まず背景には「遊び」という概念自体の変化があると神林さんは話します。現在、子どもの遊びの9割を占めているのが電子ゲームとのこと。子どもの遊び方はどんどん「創造するもの」から「消費するもの」に変化してきていると言うのです。遊びにはお金がかかる・時間がかかる・場所がかかる。一方で、公園などの公共施設でも、大人が設定したルールにより子どもが思う存分遊べずにいるのが日本の遊び場の現状だと話します。
少子高齢化が加速する日本では、それこそ「少子化」(子どもが少なくなる)ならぬ「多大化」(大人が多くなる)ことが問題視されてきています。このような現象が加速すれば、今まで以上に子どものための遊びの空間が減少してしまう。神林さんはこの現象に大きな危機感を感じていると話します。
「遊び」は追体験の整理になる
子どもの「遊び」はどれほど重要なのか。震災等によるトラウマを抱える子ども達にとって、「遊び」は追体験の整理になると神林さんは話します。例えば、1995年の阪神淡路大震災後、「地震ごっこ」「津波ごっこ」と言い遊びを行う子どもを目の当たりにしたと神林さんは言います。大人からすると不謹慎な行為も、子どもからするとそれは一種の心のケアだったのです。
2011年に起きた東日本大震災。震災1ヶ月後、被害を受けた宮城県の気仙沼に神林さんは訪れます。被害を受けた現地の子ども達と何かできないか。そこで神林さんは「気仙沼で何か一緒に作ってみないか」と子どもたちに提案をします。別に物資を提供するわけでもなく、ただ何か作ってみようと言う神林さんに、最初は警戒を示す子どもたち。しかし子どもたちとの会話の中で生まれた「すべり台を作ろう」というアイデアを機に打ち解け始めます。みんなで資材を持ち集め、すべり台を作り出したその場所は、のちに「気仙沼あそびーばー」と言う遊びの空間として運営開始したのです。
遊び場を創る上で、神林さんが大事にしていること。それは、そこに住んでいる子どもたちが自ら作りたい、と思っているものを応援することだと言います。
遊ぶことは生きること
食べ物を食べないと体が死んでしまう。睡眠をとらないと体が死んでしまう。しかし遊ぶことをやめると心が死んでしまう。子どもたちにとって遊ぶことは生きるために必要不可欠なのです。少子高齢化社会の日本だからこそ、大人の都合だけで空間の使い方を決めるのではなく、きちんと子どもたちと向き合い、目に見えない心のケアにしっかりと寄り添える大人になりたい、そう強く思った午前のひとときでした。
【ゼミ】
午後のゼミ開始前に、「キャット&チョコレート」というカードゲームでウォームアップ。日常・非日常的な問題に対して、与えられた手札の中から指定された枚数のカードを使って解決策を導き出すゲームです。アウトプットが中心の午後セッションに入る前に、創造性を刺激しました。
五回目となる今回は、「子どもたちと自分たちが楽しい関わりをデザインする」ことをテーマに行いました。支援者―被支援者という従来の枠組みから外れて創造的に考える実践をするため、「クリエイティブケースワークショップ」と題して新しいケース会議をシミュレーションしました。
実際のケースを3つ選び、「その人の持つ強み」に着目するストレングス視点からその子どもと伴走していくために何が可能かを考えました。その子の周りにある社会資源(世話好きな近所の大学生など)と参加者の持つ資源を持ち寄って、その子の願いや思いに沿った関わり方を創っていきました。
この日のワークの成果物
その後グループリフレクションを行い、プロセスレコードと今日の学びを振り返りました。実際のケースに深くかかわる経験をしたこともあり、内側から浮かび上がってくる感情や思いと向き合う姿がとても印象的でした。「どんな時も絶対正しい答え」がない子どもとの接し方を振り返る中で内面の葛藤と向き合いながら答えを模索していく時間となり、優しい間はこういう対話の中から生まれてくるのではないか、と思わされます。
7月から続く本プログラムも、いよいよ次回で最終回となります。6回のゼミ活動と公開講座を経験して、CforC参加者はどのような学びや気づきを得て次のアクションへとつながっていくのでしょうか。最後まで、お楽しみに!
地域での子ども若者支援のこれから〜「Citizenship for Children in 水戸」第4回公開講座&ゼミレポート〜
PIECESが茨城県水戸市で行う、子どもと関わる市民育成プログラム「Citizenship for Children in 水戸」。
これまでPIECESは首都圏を中心に市民育成プログラム(旧名:コミュニティユースワーカー育成プログラム)を開催し、1〜4期で計約50名の子どもと関わる市民を育成してきました。
今回は全国展開に向けての第一歩目となる水戸市でのプログラムで、「セカンドリーグ茨城」さんとの協働で実施しています。
首都圏に限られていた活動範囲を全国に拡大し、各地にいるかもしれない「孤立した子どもたち」と優しい関係性を紡げる大人を増やしたい。
そんな想いから全国展開を目指し、まずは1拠点目、茨城県水戸市で12人、6ヶ月間の「Citizenship for Children プログラム(以下CforC)」を実施します。
これまでの3回では、子ども・若者の育ちの理解や困難を有する子どもたちへのまなざしなど、一市民として子どもに関わる上で土台となる価値観や知識について、延べ100名近い方々と一緒に学んできました。(第三回目のレポートはこちらから)
今期の後半にあたる10月から12月にかけては、引き続きフィールドの異なる実務家・専門家の講師をお招きして、さらに一歩踏み込んで「市民性を大切にした子ども・若者支援」について考えていきたいと思います。
今回で第4回目となる今期の公開講座。雨模様も怪しい中、たくさんの方々に集まっていただくことができました。
午前の公開講座は、東京都文京区にある地域連携ステーション フミコム(文京区社会福祉協議会)の社会福祉士、根本真紀さんが講師を担当。
今回のテーマは「中間支援の立場から見る“非専門職”の可能性」。社会福祉士として活動する一方、ホームレス支援など、半分を専門職、半分以上を一市民として活動している根本さん。彼女が考える、”非専門職”としての地域との関わり方を学びました。
そもそも「社会福祉協議会」とは?
社会福祉協議会(社協)とは住民主体の理念に基づいて、地域の福祉課題の解決に取り組み、誰もが安心して暮らすことのできる、地域福祉の実現を目指す組織のことです。
根本さんが所属する文京区の社協では二つの特徴があります。まず一つ目は地域福祉コーディネーターの存在。課題を「待つ」のではなく、自ら出向き相談に応じて人を資源に繋げる。二つ目はフミコムの存在。フミコムは、文京区社協が区や地域住民・ボランティア・NPO・企業・大学等と連携して、新たなつながりを創出し、地域の活性化や地域課題の解決を図っていくための協働の拠点です。今までつながっていなかった人同士を繋げ、地域の課題解決や活性化を目標としています。この「課題の発見力」「課題の解決力」の両輪が地域との繋がりを強化すると根本さんは話します。
独自の事業を展開する文京区の社協。その背景には生活課題の複雑性・多様性が関わってきています。現在の社会変化のスピードに対応するには、従来通りのやり方ではもはや解決が難しくなってきているのです。だからこそ一人で課題解決しようとするのではなく、自分とは違う知識・スキル・価値観をもった他者と繋がり、地域課題を一つ一つ解決していく必要があるのだと根本さんは言います。
専門職と非専門職 それぞれの味
複雑化した地域課題への取り組みは、専門職だけではなく、非専門職の関わりが大いに必要となってきます。ではどのような関わり方があるのでしょうか。
いわゆる弁護士・医師といった専門職の人は、関わりの目的が明確であるため、「支援する」立場として、与えられた枠の中で最適な解決を探そうとします。一方で、非専門職の人は明確な目的に沿ってではなく、一個人として関わりを持つため、早期に課題を発見するこし、また必要に応じて専門職へ繋げることができます。専門職のような強い繋がりではなく、あくまでもつなげて垂らすくらいのゆるい関係性が非専門職の強みだと根本さんは話します。
どちらが良い悪いのではなく、それぞれの関わり方で地域と繋がる。地域の人たちと一緒になって課題や悩みを共有し、一緒になってできることを探る関係を築いていきたいなと感じたひとときでした。
間を描く
前回の講座を受けて、メンバーの皆さんには宿題として、間を描くために、地域に存在する地域資源(子どもに関わる人や機関、その役割)を記録していただきました。「0〜12才」「13〜18才」の二グループに別れて、それぞれが発見した資源を「情緒的・機能的」「利用ハードルが低い・利用ハードルが高い」の軸でマッピングしてもらいました。
社会資源をマッピングを通じて、改めて自分の立ち位置を確認したり、「これも資源になるんだ」と新しい関わり方を発見したり、市民として自分が関われる得意なところを見つける良いきっかけになった、と大盛り上がりを見せました。
社会資源マップ:0-12才
社会資源マップ:13-18才
最後の時間は、メンバー全員でプロセスレコードのリフレクションを行いました。みんなで意見の共有や問いかけを行うことで、見方が広がり、新しい考え方や気づきが生まれる、とてもワクワクする時間でした。
新しい「気づき」や「発見」がどのようにしてCforCメンバーの実践に活かされるのでしょうか。次回もお楽しみに!
子ども期の生きづらさに心を寄せる。支援者育成プログラム 〜Citizenship for Children in 水戸 第3回公開講座&ゼミレポート〜
PIECESの行う、子どもと関わる市民育成プログラムの全国展開第1拠点目は茨城県水戸市。「セカンドリーグ茨城」さんとの協働で実施している今回のプログラムは、7月にスタートし、9月には3回目の公開講座とゼミが行われました。
今回の公開講座のテーマは「子ども期の生きづらさに心を寄せる」。
関貴教さん(児童養護施設職員/認定NPO法人いばらき子どもの虐待防止ネットワークあい理事)、小野瀬直人さん(IT企業役員)、横須賀繭子さん((み)当事者研究会主宰)の3名をゲストに、CforCメンバーと一般の方に向けた講座を開設しました。
「子どもの生きづらさとは何か」について講師のみなさんの話と対話の中で、思いを巡らせる時間となりました。
児童養護施設職員として働く関さんは、子どもの生きづらさは「〜すべき、〜するのが普通」という価値観によって引き起こされると言います。
子どもは両親の元で育つべき、お母さんは子育てをしっかりするべき、女の子はスカートを履くべき。
そんな「べき論」の中で、心を押し殺してしまう。
べき論を極力無くした環境を関さんは施設で作ろうと尽力されています。
たくさんのルールが存在する社会の中、関さんの働く児童養護施設にあるルールはたった一つだけ。
「理由なく誰かを傷つけてはいけないよ」ということ。
愛情や安心の育まれる家庭という場所が存在しない子どもたちにとって、施設がその役割を担うこととなります。「理由なく誰かを傷つけない」このルールにさえ従えば、関さんは無理に子どもに宿題をさせることも、嫌いな食べ物を食べさせることもないのだそう。
とことん「なぜ」に寄り添って、子どもたちにとって信頼できる大人である。
日々子どもたちの生きづらさに寄り添う関さんの姿勢から沢山学ぶことがありました。
「私の親は里親でした。私は里子です。昔私は児童養護施設というところにいたそうです。」
ご自身の幼少期の写真を投影しながら淡々とそう口にした小野瀬さん。
養子として育った小野瀬さんは、多くの子どもたちと生活を共にしてきました。
小野瀬家で養子として育てたのは小野瀬さん一人だけでしたが、常に複数人の子どもをうちで預かっていたそう。そのため、家に帰れば多くの子どもたちがいて、自分の学校の友達も、預かってきた子も、みんなごちゃまぜで遊ぶのが小野瀬さんにとっての日常でした。
「わたしは生きづらいと思ったことはありませんね」
人のためを想って、人のために泣ける。どんな子も「よその子」という認識はするな。
そんな両親の元で育った小野瀬さんは、決して自分の境遇を嘆くことなく、実の両親を恨むことなく、淡々と人生を振り返ってくださいました。
スクリーンに映し出される写真はみんな良い表情で、社会的養護の元にいる子どもたちへ向けられる勝手な「かわいそう」という視点が如何に一方的なものであるか、考えさせられました。
自身が不登校、精神病など複数の問題の当事者だった横須賀繭子さん。
自殺を考えたり自傷行為をしたりするほどに心を病んだこともあった横須賀さんにとって、回復の足がかりとなったのは、複数のコミュニティでした。
精神の安定しない母親の元で、幼少期から目をかけてくれる大人の存在がなく、引っ越しもしていたから地域との繋がりもなかったそう。
生きづらさとは、「生きづらさに気づいてもらえないこと」だと横須賀さんは言います。
しかし、子どもの生きづらさはとても目に見えにくい。
「子どもにだってプライドがある。助けてもらったことがないから諦めている。そもそも自覚がない。」
そんなことが生きづらさを目に見えにくくしているものだと。
そんな生きづらさから抜け出すために、必要だったのは自身にとって大切な人、そして自分を大切にしてくれる人だったと語ってくださいました。
「良い子って、大人にとって都合の良い子、でしかないんだよ」
その言葉が大変胸に沁みた今回の公開講座でした。
公開講座の後には、CforCメンバーでゼミを行います。
今回は一つの事例を元に、自分だったらどう振る舞うか、背景にどんな願いや価値観があるかをみんなで確認しました。
自身の子どもと関わる際に立ち現れる自分自身の願いや価値観に気づき、自分の感情を置き去りにしないことを大切にしよう。
子どもと関わる際の「ありたい自分像」を確認し、それに対する感情を振り返りました。
負の感情が表出されたシーンも多く見受けられた今回。
その感情を「抱きしめたい?地下室に閉じ込めておきたい?誇りに思っている?」と、素直な感情を大切にしてもらいました。
多くの感情を振り返って、かなりのエネルギーを消費しながら懸命に向き合っている姿が印象的でした。
いよいよ次回は4回目、折り返しの回となります。
このプログラムを通じてどう変化し、どう深めていくのか。
参加者の顔が徐々に変わっているように思えます。
次回もお楽しみに。
アセスメントと「共に居る」を学ぶ〜「Citizenship for Children in 水戸」第2回公開講座&CforCゼミレポート〜
PIECESが茨城県水戸市で行う、子どもと関わる市民育成プログラム「Citizenship for Children in 水戸」。
これまでPIECESは首都圏を中心に市民育成プログラム(旧名:コミュニティユースワーカー育成プログラム)を開催し、1〜4期で計約50名の子どもと関わる市民を育成してきました。
今回は全国展開に向けての第一歩目となる水戸市でのプログラムで、「セカンドリーグ茨城」(http://secondleague.net/?page_id=269)さんとの協働で実施しています。
首都圏に限られていた活動範囲を全国に拡大し、各地にいるかもしれない「孤立した子どもたち」と優しい関係性を紡げる大人を増やしたい。
そんな想いから全国展開を目指し、まずは1拠点目、茨城県水戸市で12人、6ヶ月間の「Citizenship for Children プログラム(以下CforC)」を実施します。
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前回7月に引き続き、第2回目の公開講座とゼミを8月25日に行いました。
公開講座は、都内でのスクールソーシャルワーカー経験のある社会福祉士で、現在PIECES理事を務める斎典道が講師を担当。
日曜日の午前の開催にもかかわらず、一般の参加者も含めて約30名の方々に集まっていただくことができました。
今回のテーマは、「子どもへの深い理解を促す『アセスメント』を学ぶ」。
「アセスメント」とは、対象者を支援する方法の根拠となる仮説(〇〇かもしれない)を考えることです。
専門的な概念ではありますが、アセスメントを理解し「ああかな、こうかな」と仮説が多く思い浮かぶようになると、実際に現場で困った子に出会った時、目に見える情報から子どもの背景を見立てることができるようになるのです。
子どもたちは大人の常識とは全く違う考え方・価値観で行動していることが多々あります。
だからこそ、目の前の子どもの行動・言動の意味付けを捉え直すことで、自分自身が持っている価値観や信念に自覚的であることが大切だと語り、公開講座は終了しました。
午後のゼミでは、PIECESが考える市民性と市民が作る「間」の理論について理解した上で、実際に実践の現場で気になった場面の子どもの様子(行動や言動)を、観察し直してみるワークを行いました。
子どもと初めて「出会」い、「共にいる」段階で信頼関係を築く時、子どもの様子をしっかりと観察し、想像しながら接することはとても重要です。
午前の公開講座での学びを生かし、まずは一人で、子どもの目に見える情報から仮説をたくさん考えていきます。その後、3,4人のグループに分かれ、それぞれの事例について考えたことを共有してもらいました。
活動中にはわからなかった子どもの様子を後から思い出し、自分の中の捉え方が変わったことを発表するメンバーや、他のメンバーから「その子、もしかしたらこう思ってたかもしれないね」と指摘し合い、その子との関わり方にまで話が発展していく場面もありました。
今回のゼミを通じて学んだことを踏まえたうえで、
市民として、子どもとの関係を「共にいる」から「探求する」という一段階先のステップへと進めるためには、一体どのような考え方が必要なのでしょうか。
それでは皆様、次回もお楽しみに。
育成プログラム「Citizenship for Children in 水戸」キックオフを行いました!〜公開講座&ゼミレポート〜
水戸の参加者の方々
PIECESの行う、子どもと関わる市民育成プログラムの全国展開第1拠点目は茨城県水戸市。
先日7月28日に第1回目の公開講座とゼミが行われました。
これまでPIECESは首都圏を中心に市民育成プログラム(旧名:コミュニティユースワーカー育成プログラム)を開催し、1〜4期で計約50名の子どもと関わる市民を育成してきました。
今回は全国展開に向けての第一歩目となる水戸市でのプログラムで、「セカンドリーグ茨城」(http://secondleague.net/?page_id=269)さんとの協働で実施しています。
首都圏に限られていた活動範囲を全国に拡大し、各地にいるかもしれない「孤立した子どもたち」と優しい関係性を紡げる大人を増やしたい。
そんな想いから全国展開を目指し、まずは1拠点目、茨城県水戸市で12人、6ヶ月間の「Citizenship for Children プログラム(以下CforC)」を実施します。
公開講座の様子
PIECESの育成プログラムは
①座学
②ゼミ
③実践
の3本柱で構成されています。
座学は子どもの発達や孤立の心理メカニズム、アセスメントの方法論など、子どもと関わる際の知識を講義型で学びます。座学は公開講座として、一般の方々にも参加していただけるように開催しています。
ゼミはCforC参加者12名が日々の実践のリフレクションを核として対話型で学び合います。
日々の実践の現場でのモヤモヤなどを各自が持ち寄り、子どもとの関わりを多角的に見る、相手への想像力を働かせる訓練を行います。
座学やゼミで学んだことを活かしながら、自分にとっても子どもにとっても良い関わりを探求し続ける現場実践もこのプログラムでは欠かせないものです。
CforC参加者のみでのゼミでは、キックオフを兼ねてチームビルディングのワークを行いました。
今期の参加者は学生から社会人、お子さんを持つママまで、幅広い人たちがいます。仕事として子どもと関わる人もいて、これまでのPIECESの育成プログラムの参加者とはまた違ったバックグラウンドを持ったメンバーが集まりました。
「専門家でも親でも先生でもない市民として自分ができること」をこの6ヶ月を通して考え、探求し続けていってほしいと思います。
12名でお互いに助け合い、学び合うコミュニティとしてCforCが参加者の中に位置づくことで、どんな学びが生まれるのか。子どもにとっても自分にとっても良い関わりを探求し続ける先にどんなことがあるのか、とてもわくわくする時間でした。
皆さんもぜひ、これからのCforC事業がどうなっていくのか、お楽しみに。
子ども期の“生きづらさ”に心を寄せる~第5回PIECES公開講座&CYWゼミレポート~
こんにちは!
コミュニティユースワーカー4期生の新免です。
11月18日に、月に一度の公開講座とゼミが開催されました。
今回の公開講座のテーマは、【子ども期の“生きづらさ”に心を寄せる】
講師は、病児保育など親子問題に関わる事業を展開している、認定NPO法人フローレンス所属の菊川恵さんです。
複雑な家庭環境の中で育ち、様々な葛藤を抱きながら子供時代を生き抜いてきた菊川さん。中学・高校時代を中心に、乳幼児期から大人になるまでにご自身の身に起きたことを振り返っていただきながら、その当時感じていたこと、大人に求めていた関わり、過去を振り返っていま思うこと、についてお話しいただきました。
わたしたちコミュニティユースワーカー(CYW)はもちろんのこと、“生きづらさ”を抱える子どもとの関わり方を模索するあらゆる立場の方々にとって、「支援者」としての自分の在り方を自問自答する機会になったことと思います。
子供時代の菊川さんが、周りに求めていた関わり、救いとなったもの。
それは、その時々の状況によって、変化していきました。
例えば、大人の発言より行動を見ていた中学時代は、近所の切手屋さんと「ただ一緒に時間を過ごす」ことに、温かくほっとする気持ちを感じていました。
母親が亡くなった後、言葉の出づらさに悩んでいた時期は、帰宅後に聴くラジオが心の支えとなっていました。パーソナリティの話を聴いて笑ったり、お悩み相談をする同世代の話を聴いたり。
この時期は、「自分が人にどう見られているかを過剰に気にしてしまうから、間接的に救われるのがちょうどよかった」「居場所支援があったとしても、元気な時しか行けなかったと思う」という菊川さんの言葉が印象に残りました。
そして高校時代。一時保護施設に身を寄せるなど、一番ハードな出来事が続いた時代でしたが、今回振り返りってみると、「スッキリした気持ち」で当時を思い出すことができたそうです。理由は、「自分自身を見てくれていた」人たちがそばにいたから。
父親の暴力で怪我をして登校した時、いつもと変わらない感じで「気になっとったんよ~」と声をかけてきた担任の先生。
保護施設で、毒舌だけれど、本当に子供たちにとって何が必要なのかを考えているのが伝わってきた職員さん。
転校後の高校で、なんにでも必死に食らいつく姿を見て、「お前おもしろいな」と興味を示し、大学進学を提案してきた担任の先生。多様な価値観を認め合えた同級生たち。
こんな風に、高校時代に、信頼できる他者がいるという実感を重ねられたことで、「信じてもらえてはじめて出せる力」を発揮できるようになり、自分の心の回復を早めることができた、とお話しされていました。
しかし、その後も、菊川さんの苦しみは続きます。
菊川さんは、20歳当時、慢性的に生きづらさを感じていたそうです。けれど、支援者に助けてもらえるのは、問題が分かりやすく起きているときだけ。大人になって、表面上は「普通の大学生、普通の社会人」として日常を過ごすようになってからは、気軽にアクセスできる支援が見つかりませんでした。
「大人になっても戻ってこられるような支援やつながりがあればよかった」という言葉を聞いて、PIECESでの活動を通じて、子供たちにとって「いつでも戻ってこられる居場所」を少しずつ増やしていきたい、と思いました。
「支援者」として子どもたちに関われる部分は、その子の人生のごく一部に過ぎません。そして、支援者の手を離れた後も、子どもたちの人生はずっと続いていきます。
その子の人生を長い目でみて、本当に必要な関わりは何なのか?
その子に合った支援の形ではなく、「自分にとって理想的な支援の形」に囚われていないか?
自分の持っているフィルターを介して相手を眼差していることに、自覚的であるか?
今日の講演で、菊川さんから投げかけられた問いを心に留めながら、子供たちの人生に「伴走」していきたいと思います。
午後からは、CYW4期生のみでゼミを行いました。
メディアの取材が入っていたので、少し緊張感もありつつ、各自が現場実践後に書いた「プロセスレコード」を用いながら、二人一組になって「リフレクション」の振り返りを行いました。(「プロセスレコード」について、詳細を知りたい方は第2回ゼミレポートへ)
午前中の講義で学んだことを反芻しながら、「自分自身が抱いている『相手にこうなってほしい』という願いや価値観に縛られたまま子供たちと接していないか?」「目の前の子どもを大事にできているか?」という視点で振り返りをしたのですが、1対1でお互いの「願い・価値観」を深堀りしていく中で、自分自身の認知の癖について、新しい気づきを得ることができました。
更に、今回は、自分が相手に与えている印象や態度を客観的に捉えるために、話し役(子ども)と聞き役(CYW)に分かれて会話をしている様子を動画で撮影する(!)というワークも行いました。
自分自身の願い・価値観は、必ずしも、言動として表面化して、相手に伝わるとは限りません。このワークを通じて、自分のコミュニケーションの癖がどのようなものなのか、強みと弱みを知ることができました。
本当に、子どもにとって良いことは何なのかを考えるということ。
それを、相手にメッセージとして届けるということ。
とっても難しいことですが、これからも、子ども達、そして自分自身と向き合っていきたいと思います。
子ども支援のこれからのカタチ~第4回PIECES公開講座&CYWゼミレポート~
こんにちは!
コミュニティユースワーカー4期生の江澤、上野です。
10月21日、月に一度の公開講座とゼミが開催されました。
第4回目となる今回のテーマは、【子ども支援のこれからのカタチ】
講師は、文京区社会福祉協議会に所属されている浦田愛さんです。
みなさんは「社会福祉協議会」と聞いて、どのようなお仕事を想像しますか?
社会福祉協議会は、
住んでいる人たちだけでは解決できないような課題=地域のニーズと、専門的なノウハウがある団体とをつなぐ役割を担っています。
全国にある社会福祉協議会ですが、地域のニーズに基づいた活動をしているため、自治体によってその活動内容は大きく異なるそうです。
6年前、社会福祉協議会の「地域福祉コーディネーター」に配属された浦田さん。窓口を設け困っている人の来訪を待っていても、支援が必要な人とつながることが難しいと気づき、自ら課題を探しに地域へ出向いて解決に向けた支援をするようになりました。
未成年からご高齢の方までの幅広い年代の方、また、障害やひとり親家庭、生活困窮、外国籍の方など様々なニーズに対して尽力されている浦田さんですが、「もっと早くに気づけば…」と悔しくなる現場もあったそうです。
ふいなきっかけで困難な状況に陥ってしまう人々と接する中で、複合している課題をひも解くために「今1番解決すべきことは何だろう?」ということを考えるようになったそう。一人ひとりの相手に合わせた柔軟な支援をしていることがとても印象的でした。
そのような、「1人のニーズ」や「1人の願い」を大切にしてできた居場所が文京区にはたくさんあります。
そのひとつである「こまじいのうち」
5年前にオープンしたこちらの居場所ですが、参加者数は1か月に300人~400人。
利用者分布を見てみると、老若男女問わず幅広い方々に利用されていることが分かりました。
住民主体の活動で、地域の人材や孤立した人たちがつながる場である「こまじいのうち」、
来訪者のニーズに合わせてさらに新しい活動が始まり、今では子ども食堂や子育てサークル等も行っているそうです。
そのようなお話に対し会場からは、こんな質問がありました。
どれくらい経ってから人が来るようになったの?
住民の方へのフォローってどうしているの?
長期的に関わるって難しいけど、どうしたらできるの?
今でこそ年間5000人ほどの方が利用しているこまじいのうちですが、活動場所が一軒家のため入りづらい雰囲気もあり、やはり最初はなかなか人が来なかったようです。
しかしオープンから半年、人がたくさん来るようになりました。
その陰にあるのは、年2回のバザーの存在。
イベントで一度訪れることで入りやすくなり、来訪者が増えていったそうです。
また、住民主体の活動ということで気になるのはそのフォロー。
住民の方も不安がたくさんありますが、安心してもらえるよう、話を聞いたり支えたりと、丁寧に関わっているそうです。住民の方々のもつパワーが発揮されるために、安心して活動できる環境を大切にされていることが分かりました。
私は今回の講座を受け、住民の方をはじめとする非専門職だからこそできる関わりがたくさんあることを学びました。 専門職・非専門職それぞれに得意なことも苦手なこともありますが、浦田さんのような地域福祉コーディネーターの方が色々な人たちのアイデアをかき集める役割を担っており、多くの資源を活用した支援につながっているそうです。
一緒に笑う関係から本音を話せる関係へ、ということで「笑い」を大切にされている浦田さんの笑顔は、参加者の私たちにも安心感を与えてくれる素敵な笑顔でした。
講義後はCYW4期生のゼミを行いました。
今回のゼミ前のアイスブレイクは他己紹介でした!
他己紹介とは、相手の話をヒアリングしてそれを要約して他の人にその相手を紹介するものです。
4期のメンバーは相手の話を引き出したり、他人に伝わるようにどう表現したらよいか考えながら和気あいあいと取り組んでくれました。
他の人の魅力を紹介する他己紹介はCYWとして様々な子どもを他の大人につなぐときにも役立てそうでした!
ゼミでは毎回行うリフレクション(前回レポート参照)に加えて集団支援でのコミュニケーションについて悩みの共有とワークを行いました。
集団支援とは、一対一で子どもとかかわる支援ではなく児童館や学習支援等の子どもの居場所において複数人の子どもと同時にかかわる支援をここではいいます。
多くの子どもとかかわれる反面、個々の子どもと深くかかわれなかったり、うまく子どもと接点を掴めなかったりします。
CYWは、集団支援から現場実践を開始し、その後個別支援を始めていきます。
集団支援として、主に現場実践を行う場として、ジャンプ東池袋とクリエイティブガレージの二つがあります。
二つの現場に行ったことあるメンバーから下記のような悩みがでました。
子どもが友達同士で来ているので、割って入りにくい
ゲーム・本に夢中な子に話しかけにくい
子どもの事前情報わからない
他の子どもの眼があるから深い話ができない
それに対して4期メンバーやメンターより様々なアドバイスをいただきました。
友達同士できている子たちには、話しかけそうな子からアプローチする
話しかけにくてもその場でほほ笑んで存在をアピールする
「コンビニ行こう!」などと言って場所を変える
次に子どもの話の琴線に触れるワークを行いました。
子ども役とCYW役に分かれて、子どもと雑談を行うロールプレイを行い、CYW役は子どもの反応や話すトーンを見て会話から子どもの情報収集しました。
CYW役がうまく話を引き出せていると思っていても、子ども役側が詰問されていると感じたり、子ども役側がトーンなど微妙に上げているものを見逃さない鋭いメンバーもいました。
琴線には、いい意味と悪い意味があります。いかに相手の触れてほしい話に触れ、触れてほしくないところを避けるか、難しいと感じました。
集団であっても個別であっても目の前の子どもへ興味を持つこと、安心してほしいというメッセージを発することは大事だと感じました。
今後は、今日の学びを生かして集団支援の場で、関係をつくるきっかけづくりなど行っていきたいです。
次回、来月の公開講座は、11月18日(日)10時~12時 の開催です。
11月のテーマは、「子ども期の"生きづらさ”に心を寄せる」。
来月も多くの方々と一緒に学びを深められることを楽しみにしています!
https://pieces-seminar1811.peatix.com/
子どもとの関わりにおける専門性と非専門性〜PIECES公開講座第3回 & CYWゼミレポート〜
こんにちは!
コミュニティユースワーカー4期生の大越、中原です!
9月16日、月に一度の公開講座とゼミが開催されました!
公開講座はコミュニティユースワーカー(CYW)育成のためのプログラムなのですが、
今期から一般の方々にも足を運んでいただける、公開講座となっています。
第3回目の今回の講師はPIECESの副代表である荒井佑介さん。
テーマは、《専門家ではないからこそできる子どもの支援》
非専門家として、一市民としての関わりの可能性を探る
というのが今回の研修の目的でした。
講座の中で、荒井さんが子ども達と関わる中で気づいたこととして、
一人の子の周りに多様な大人がいることが重要とあげられていました。
そのために私達コミュニティユースワーカーは
子ども達が持つ課題やリスクばかりに目を向けるのではなく、
その子の持つ “可能性”や、“興味” に焦点を当てて接することが大事だと再確認しました。
そして子ども達が興味関心を持つことから私達の身近な所にある、
社会資源(多様な大人、機会、企業、地域など)に繋げるという“つなぎの支援”という、
具体的な継続支援のかたちを紹介されていました。
また、「PIECESは親に対するケアや支援は行わないのか」という質問が上がりました。
その答えとして、私たちは非専門的に子どもの孤立や貧困に関わる中で、
“出来ることと出来ないこと”の線引きをはっきりとし、活動することが大事であると強調されていました。
フォーマルな部分、課題やリスクの解決は専門職の方に任せ、
コミュニティユースワーカーはインフォーマルに、子ども達の可能性に目を向けることで
私たちの持つ市民性を活かして活動ができるのだと感じました。
そして講座の後半、ワークとしてクリエイティブケース会議というものを実践しました。
クリエイティブケース会議とは、福祉的なアプローチだけでなく、多様な大人で多様な支援方法を創発するという、PIECES独自のもの。
実際にやってみたところ、私の班では
落ち着きがなく集団の場ではイライラしがちな男の子の事例で、
本人がかなりの虫好きであるというところに着眼して、図鑑などを使って勉強を促す、虫に関係するイベントなどで大人の虫仲間を作る
などの案が上がりました。
この案を全体に向けて発表したとき、この講座に参加されていた方の中に、
ファーブル記念館の職員の方が知り合いという方がいて、一同驚き。(笑)
意見は発信してみるものですね!
多様な人が集まる場でのネットワークの力も感じました。
そして、お昼からは後半の部でCYWだけのゼミを行いました。
まずは、場の雰囲気をほぐすために毎回恒例のアイスブレイクからです。
今回は身体を動かして表現する「5秒フォト」というアクティビティをしました。
お題に合わせて思い思いに描いたイメージを言葉は使わず身体をフルに使って表現します。みなさんは下の写真が何のテーマか分かるでしょうか?(笑)
正解は「ゾンビ映画」でした。皆さんさすがの表現力ですね!何より楽しそう!
アイスブレイクは大盛り上がりでした。
こうして場がほぐれたら、そのままゼミに入っていきます。
今回は、第1回目から実践している『プロセスレコード』からの学びをより深めるために、代表事例を1つ取り上げて、その内容について全員で考察を深めていきました。
『プロセスレコード』とは、主に医療現場で用いられている、自己のコミュニケーションのパターンを客観視するための方法です。(詳しくは第2回ゼミレポートを参照)
今回の事例は1人のCYWと2人の小学生の間のコミュニケーションで起きた事例を取り上げ、まずそのCYWに簡潔に事例を紹介してもらいました。
その後、他のメンバーからもっと詳細な事実を質問ベースで洗い出し、その事実を基に各登場人物のその時の心情や関係性に仮説を立てていきます。
今回最も学びとなったのは、CYWそれぞれでも職業や性格などによって観察する際の視点が異なり、そして同じ部分を見ていたとしても仮説の立て方が全然違うことでした。
ある子ども1人の言動に対して、同じCYW内でも全く正反対の対応をとると予想した事例もありました。
4期は11人のCYWですが、11通りの見方・考え方があって、その多様な視点を持って1つの場面を考察するということから、普段自分では思いもつかないような考え方があることに気づきました。
こうして、それぞれの違いから、これまで自分が想像の及ばなかった範囲に想像を膨らませることができ、大変学びになりました。
全体での事例分析を終えたら、グループに別れて、それぞれのプロセスレコードの振り返りをグループワークとして行いました。
前回のゼミから1か月ほど間があり、皆それぞれにpiecesの居場所に参加し、子どもたちと関わってきました。その居場所で子どもたちとかかわる中でもやもやしたこと、気になったことを、プロセスレコードにまとめてきたので、各々発表し、その発表に対して質問を重ねてより深い分析を行っていく、という作業を繰り返していきました。
少しずつこのプロセスレコードの書き方や分析方法にも慣れてきて、書きながら子どもたちの言動を分析する作業もスムーズにできるようになってきた気がします。
実際に子どもたちと関わりながらも様子を伺いながら、その場その場にあった言葉や態度を示していって、子どもたちの素直な気持ちや願いを引き出せるようになりたいな、と思うところです。
次回はより精度をあげたプロセスレコードが書けるように観察力や分析力をもっともっとあげていきたいです!いよいよこの連続企画も後半戦に入りますが、まだまだ私たちのゼミは続いていきます。
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10月の公開講座は、10月21日(日)10時~12時 に開催します。
10月のテーマは、「子ども支援のこれからのカタチ~地域福祉の視点から考える”非専門職”の可能性~」です。
講座の詳細やお申し込みは追ってお知らせします!
子どもの「強み」捉え直す&子どもとの関わりを振り返る〜第2回CYW講座&ゼミレポート〜
こんにちは!
コミュニティユースワーカー4期の上野、和田です。
早速ですが、皆さんは普段周りの人をどれくらい観察していますか?
コミュニティユースワーカーとして活動する上で、子どもたちを注意深くみてコミュニケーションをとっていく必要があります。
そこで今回は、『子どもの「強み」を捉え直す~関係づくりの難しい子どもへの関わり方』というテーマで講義が行われました。
前回はマクロの要因から子どもの孤立の構造を学びました。今回は個々の子どもとの接し方というミクロの要因から子どもの孤立を学びました。
講義では、ストレングス視点というレンズを通して観察することの大切さについての話から始まりました。
ストレングス視点とは、その人の長所、力、資源とも表現できるポジティブな資質と未開発の潜在能力を探すことに焦点を当てる概念です。
子どもは自身の意見を述べる「言語化」に加えて、体調などに変化をきたす「身体化」や暴れたりなどの「行動化」といった表現をします。
そういった子どもの表現(サイン)に対して、大人は自分の中にある当たり前の思い込みや、先入観でみてしまうことがあります。そして、その思い込みや先入観を取り外していくために「子どもの行動」、「願い」、「環境」をよく観察して問いを立てることが重要だということが強調されていました。
実際の事例を踏まえたワークでは、不登校の小学生と自傷行為を行う中学生のケースで、その子の様々なサインをストレングス視点というレンズを通して強みを見つけるワークを行いました。
前者では、学校へ行かないという選択ができること、後者では他者を傷つけないなどの意見が出ました。
その子がなぜできないのかというではなく、何ができるのか発想の転換をすることで子どもとのコミュニケーションの幅が広がると感じました。
そして後半は、コミュニティユースワーカー4期生のみで行うゼミでした。
文京区広報課のテレビ取材が来るというサプライズもあり、最初は少し緊張気味だった空気は徐々にほぐれ、いよいよ本題へ。
今回は、前半の講義のふり返りに加えて、各自が現場実践後に書いた『プロセスレコード』を見ながらリフレクションを行いました。
『プロセスレコード』とは、主に医療現場で用いられている、自己のコミュニケーションのパターンを客観視するための方法です。
具体的には、実際に現場で起きた子どもとの会話の中で、特に印象に残っている会話を思い出し、その状況や自分の心境を細かく思い出して書き留めていく作業です。
このプロセスレコードを書けるようになると、子どもとの関わり方の、自分の傾向を知ることができるのです。
実は前回、4期生にはこの「『プロセスレコード』を現場実践後に書く!」という宿題が出ていました。
その宿題をもとにメンターの中島巳歌さんによって、各自が書いたプロセスレコードについてリフレクションを行いました。
コミュニティユースワーカーが実際に体験した会話の中で、気になる点をひとつひとつ丁寧に話していくと、
「私はなんでこのような対応をしたんだろう」
「もしかして、この発言をしたとき私はこのような風に感じていたのかもしれない」
など新たな自分を発見できたり、
「この状況で、このような発言をされたら、私はこのような対応じゃなくて、違う方法を取っちゃうと思う」
と、コミュニティユースワーカーの中でも個性があり、実践の多様性を改めて感じました。
次回も、実践後に書いたプロセスレコードを元により深いリフレクションをしていきます。
実践には正解がないからこそ、このようなふり返りの時間を大切にしていきたいです。
(上野・和田)
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9月の公開講座は、9月16日(日)10時~12時 に開催します。
9月のテーマは、「専門家ではないからこそできる子どもの支援 ~子どもとのかかわりを創造的に問い直す~」です。
講座の詳細やお申し込みは下記ページをご覧ください!
https://pieces-seminar1809.peatix.com/