Facebookライブレポート~共にいることで紡ぐ優しい間を考える~ CforCプログラム受講生対談

PIECESは、子どもたちの生きる地域に「優しい間(ま)」を増やすことを目的に、Citizenship for Childrenという市民性を醸成するプログラムの全国展開を目指しています。

12月7日(月)夜にFacebookライブを開催しました。テーマは「~共にいることで紡ぐ優しい間を考える~」
子どもが孤立しない地域をつくる「Citizenship for Children」プログラム2020の現役受講生にプログラムの意義や実際に受けてみての実感を話していただく初めての機会。その配信の様子をレポートにしましたので、ぜひご覧ください。

登壇者紹介
●松友萌 さん(めぐ)/Citizenship for Children2020探究コース 奈良クラス
●山端聡 さん(やまちゃん)/Citizenship for Children2020探究コース 奈良クラス
●榎本八千代 さん(やちさん)/Citizenship for Children2020探究コース 一般クラス
●瀬戸久美子/PIECESスタッフ Citizenship for Children2020 奈良クラス担当

~共にいることで紡ぐ優しい間を考える~

Citizenship for Childrenプログラム受講生の声

私たちPIECESは、子どもと寄り添う大人の市民性を醸成する「Citizenship for Children(CforC)」プログラムを実施しています。
専門職でなくても、日常の大人たちが「信頼できる他者」として子どもたちと出会い、孤立した子どもたちの日常に寄り添うことができるように、子ども関わる基礎を学んだり、子どもとの関わりを見つめなおしたりするプログラムです。

「孤立」という問題を抱える子ども達にどのよう寄り添い、どのようなプログラムを届けているのか。
どのように様々な地域、機関、人と連携しながら活動を広げているのか。
なかなか文章ではお伝えしきれない、一つ一つのストーリーを紐解きながらPIECESが大切にしている想いをお話し、改めて「いま、私たちにできること」を見つけ、深めていきました。

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プログラムに参加したきっかけを教えてください

ヤチさん

PIECESは1年くらい前から知っていました。今まで私が知っていたNPOなどは、子どもを直接支援しているような活動をしていたのですが、その周りにいる大人や場づくりをメインに取り組んでいる団体に会うのが初めてでした。

活動報告会に参加したときに、実際話を聞いている間もきちんとお話をしてくれたり、一人一人に「お名前を教えてください」と代表のいぶきさんが言ってくださったりして、人間的に好きだなという印象がありました。そう思っていた頃に、このプログラムの募集があり、一歩踏み出そうと思い申し込みました。

 

めぐさん

PIECESは2,3年前からSNSなどで拝見していて。当時勤めていた会社に、18才の男の子でもうすぐ卒業になるけど、この後どう支援しようということでいき詰まっていました。彼がつながる居場所があったらいいんじゃないかなと思ったときに、優しい「間」という場づくりをしているPIECESさんがすごく素敵だなと思って。

講座を受けていく中で、もっと願いを叶えてあげたかったけど、叶えられなかったと私が思っている子達が、居場所を作って待っていたら、もしかしたら会えるかもしれないと。関わることで、何か彼らのお手伝いをしたいというのが私の願いで、だからCforCに参加したんだろうなと思っています。

やまちゃん

知り合いから、CforCという講座があるよと教えてもらったのですが、僕が関わっている分野というのは、高齢者の分野で。そこを中心に「どうやったらより健康的になっていけるか」とかを考えて活動している中で、子どもへの関わりというのは自分の子どもしかなくて。

地域福祉という分野に関わる中で、孤立した子どもと関わりを持ったり、(そのような子どもたちに出会った時に)どのような対応をしたらいいのか、地域全体の課題として捉えたいなと思って参加しました。

 

受講した4ヶ月で変化したことはありますか?

ヤチさん

印象に残っていることでいうと、リフレクションからお伝えできれば。自分の行動を振り返るリフレクションをしていくとき、1人でまず(ワークシートに記入)して、その後いろんな人からフィードバックや質問をもらって進めていくんです。

その中で考え方が一人一人違うこともわかるし、自分自身でも気づかなかったことを気づけたのはとっても印象的でした。例えば、今の自分の価値観ではなく、昔の価値観に基づいて「私はこういうふうに考えていたんだ」と気づく時があり、結構衝撃的でした。

具体的には、今は自分を大切にしてくれない人や苦手な人とは距離をおくという価値観に基づいていますが、リフレクションをしてみると、子どもと関わっているときにはその考えが飛んでしまっていることに気づくとか。昔の価値観に基づいていたんだということに気づいて、それがすごく印象的でした。

 やまちゃん

僕の場合、リフレクションをするときに、普段は同じ専門職ですることが多いのですが、CforCは年代や仕事が異なっている人とリフレクションをするのが新鮮というか。専門職ではない視点に気づけるというのは印象に残っています。

あと、直接の対話の方が深みというのはありますが、今回はCforCでzoomを使って対話をしていてもあまり違和感がなかったというか。すぐに馴染めるという不思議な感覚というのもありました。

 

周りにいる子どもや地域の人とのかかりや「間」で気づきはありますか?

めぐさん

今までの価値観として、子どもを傷つけたくないから、危険な行動をしていたら止めたり、守らなきゃという気持ちが先行していました。でも、「守らなきゃ」というのは私の願いで、こどもは本当は何がしたかったんだろうと。

見て欲しかったのかな、体を動かしたかったのかなとか、間を置いて考えることができるようになりました。危険な遊びをしていて、体を動かしたい子だったら、「じゃあこれ飛んでごらんよ」と関わり方も変容してきました。

具体的には、机から飛び降りる子がいたときに、「バランスボールの上で飛んだらどうかな?」と提案して、私が必死にバランスボールを抑えながら、その子がぴょんぴょんはねるみたいな。そしたら、体を動かせて楽しそうだし、その後も落ち着いて授業を受けていて、(優しい「間」というのは)そういうことなのかなと関わっています。

 

やまちゃん

このプログラムに関わりを持ち始めてから、どうやったら関われるかなという視点で見ているからか、障害を抱えた子の親のから、子どもの将来の不安とか相談も受けるようにもなって。

実際にその方も看護師なんですけど、将来の就労支援とか、離職しないような働き方とかを話すようになったりとか。子どもを担当してる、行政の保健師さんとか福祉担当の方とかとも、やっぱり僕らの村の現状みたいなことを話しようにもなりました。子どもとの間を作るみたいな心の変化というのは感じています

 

講座で印象的だったことを教えてください

やちさん

「待つ」という姿勢については、プレーパークを運営しているかんぺーさんから学んだことです。私が(かんぺーさんと)同じような立場だったら、絶対先回りして行動しちゃう。例えば、「これこのままやったら、ちょっと二者間の間が悪くなるんじゃないか」というときでも、かんぺーさんは子どもたちの能力とかを信じて待ってらっしゃると思うんですよね。そういった姿とかお話を聞いて、そこがすごい学びになりました。

あとは最近だと田北さんの講座で「人ばかり見ているんじゃないか」っていう言葉があって。人ばかりにフォーカスを当てるのではなく、場というものにフォーカスを当てたら(いいかもしれない)、と思った。

例えばでいうと、自分の家に柿の木があって、秋になるごとに柿を100個くらいおじいちゃんおばあちゃんがもいでいるのですが、その姿もまちに溶け込んでいると思うんですよね。もいだ柿をご近所に配るのですが、これもまちづくりの1つだし、優しい間の一つでもあるのかなあなんて思って。自分的には新しい見方だなと思ってかなり衝撃的でした。

 

 めぐ

一番印象に残っているのが山下さんの講座。講座の最後の方で、「心で応えた答えは、たとえ間違っていても優しい答えになるよ」っていう言葉をくださって。それに対して、「優しい答えってどういうことですか」と私が聞いて。

半年間不登校だった子が「学校行きたい」と伝えてくれた時に、山下さんが「本当は半年間も、もしかしたら言いたかったのかもしれないのに、私が余計な事言っちゃって、本当の気持ちを聞けなくてごめんね、とまず思う」ということだったり、「これを言うまできっと、心配だったり、緊張したよね」と答えているという言葉を聞いて。「心で答えていいんだ」って気づきになりました。

子どもが何か SOS とか助けてって言った時に、私はすぐに支援をしようとか、どうすればいいんだろうと思考していたんです。でも、まずは気持ちで応えて「言ってくれたんだね、きっと緊張したよね」という関わり、あり方でいいんだなというのが気づきだったし、それが今の子ども達の関わりに生きてる気がしてます。

 

CforCでいろんな価値観やバックグランドを持った人と関わることで、面白さや価値観が広がる感じはありますか

ヤチさん

違う意見を聞いても否定されたように感じなくなった。CforCで、本当にいろんな人の意見を聞くんです。私も自分の意見を言うんですけど、基本的に否定されないんですよね。その考え方いいね、と一旦受け止めてくれる、みんなそういう心づもりができている方なんですよね。

初回にzoomを通して皆さんと会った時も、「自分の居場所だ」って思っちゃって。講座とかゼミとかリフレクションに参加するのが、生きがいみたいな感じなんですけど。それぐらい多様性があるけれど、みんなその多様性を受け入れることができる土盤がある人たちなんだなと思います。

山ちゃん

僕の場合、CforCに関われない時もあったんですけど。同じ目的を持った集まりというか、将来的なビジョン的も共通する点がある。そういった点で参加できない時でも、自然とフォローアップしてくれたりとか。それが参加できないことに対する罪悪感が解消するような感じもあり、すごく助かってます。

 

CforCでの学びや経験を、どんなふうに生かしていきたいですか

めぐ

二つあって。気持ちの面で言うと、自分のことも大事にして、目の前の人も大事にしたい。子どもに対しても、他の人に対しても、「なんとかしなきゃ」、「質問してくれたんだから期待に応えなきゃ」とか。子どもに対しても、「SOSを出してくれたんだから頑張って応えなきゃ」みたいなところがあって。 

自分の願いと相手の願いがごちゃごちゃになってしまうのが今までだったんですけど、CforCを通して、その両方の観点を大事にして、結局どうしたいのか、と。子どもに対しても、周りの大人に対しても、誠実にどっちも大切にしたい。

もう一つは私自身がどうしたいのかという時に、誰かをつなぐような仕事ができたらいいなということに気付けて。社会資源に繋ぐというお話を聞いて、勉強したいと思い、大学にもう1回行きなおす決断ができたので、それも頑張っていきたいです。

 

山ちゃん

僕は村という人間関係の強い地域で活動しているので、孤立に当たるような、虐待とかいじめとかいうのは、あまり聞かなくて。ただちょっと気になるのが、障害があるかもしれない方っていうのは目につくのですが、例えば保護者にとってもやっぱりなかなかの表に出してこない。 

弱った姿を他人に見せたくない、みたいなことが多かったりするので、それってやっぱり生きづらいというか。「もっと他の人に頼ればいいのにな」とか思っちゃうので。これからどうやっていくかみたいなところも含めて考えていきたい。

 

ヤチさん

親子とか兄弟とか親戚とかそういった血の繋がりとか関係なく、子どもの居場所を作りたいと昔から思っていたんですね。どのようにやるかはまだ模索中なんですが、CforCで学んだことだと、自分のウェルビーイングと目の前の相手のウェルビーイングどっちも大切に生きていきたいなっていうのもあります。

もう一点は、自分の考えとか行動を俯瞰的に見るというか、それもウェルビーイングに繋がると思ってるので。そういったことを振り返りながら、過去これやったなって事を相対的に俯瞰的に見ることに繋げて、また将来やりたいことに繋がってきたらいいなと思ってます。




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