【CYWずかん】「求めた“助けて”に応えてくれる人はいなかった」家庭環境に苦悩した先に見えた、安森正実さんの生きる意味とは

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彼女から溢れ出るエネルギーは周りを笑顔にする

 

PIECESで他のスタッフと話をしている時も、子どもと関わっている時も、いつも笑顔で明るく楽しそうにしているコミュニティーユースワーカー1期生の安森正実さん。その溢れ出るエネルギーはどこから生まれるのだろうと、私はいつも不思議に思いながら、そんな彼女をとても尊敬しています。
しかし、彼女は、元気で明るい性格からは想像できないようなつらい過去を抱えていました。彼女がこれまで生きてきた環境はどのようなものだったのか。そんな彼女がどうして今PIECESで活動しているのか。そんな安森さんが、社会に対して、子ども達に対してどんな想いを持って活動しているのか。
今回は、安森正実さんにスポットを当てたコミュニティーユースワーカーずかん、第5弾です。

 

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人のために生きることが、自分の生きる意味

 

安森さんは小さい頃から家庭環境に悩んできました。母親は精神疾患で頼ることができない。父親も余裕がなく、安森さんは子どもらしく振る舞うことができず、誰にも頼ることができない生活を送ってきていました。そんな中、当時高校生だった安森さんは、生徒の内面まで深く理解しようとする先生に出会います。その先生と話すにつれて自分が辛い状況に置かれていることを認識し始めた安森さんは、体調を崩してしまいました。
両親は頼れる存在ではない。担任の先生は、“辛い状況が目に見えやすい生徒”への対応に追われている。信頼できる先生に相談したら、それから避けられるようになってしまう。スクールカウンセラーに「秘密は守るから、なんでも話して。」と言われて話したら、他の先生や親に筒抜け。区役所を駆け回りようやく見つけた病院の先生もそっけない。安森さんが求めた「助けて」に応えてくれる人はおらず、期待したことが何度も何度も打ち砕かれていく。そんな状況に安森さんは、「本当に私には頼れる人がいないんだな。」と、思わざるを得ませんでした。

『体調がずーっと悪くなった。吐き気、おなかも痛い、過呼吸。呼吸の症状だからと、1人で呼吸器内科に行ったんです。過呼吸は呼吸器内科じゃないと先生に言われて、ベットに寝かされて。少ししたら、精神科から2人臨床心理士が来てくれたんです。臨床心理士に出会ったのは、これが初めてのことでした。』

安森さんが初めて出会った2人の臨床心理士は、親身になって話を聞いてくれたと言います。その臨床心理士は、親に知られることなく症状を治したいという安森さんの想いを汲み取り、これから安森さんがする行動を紙に書いて、行動をひとりで起こせるようにサポートしてくれたのです。これまで求めた助けを打ち砕かれてきた彼女にとって、ここまで親身にサポートしてくれる人の存在は、衝撃でした。
そして大学進学のために進路を考えた時、ふと思い浮かんだのは、友達から相談を受けることの多かった自分の姿と、あのとき出会った臨床心理士の姿だったのです。

 

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目的のある支援ではない、
ただ、その子らしく生きてほしい、という思いで

 

現在、昭和女子大学 人間社会学部  心理学科3年の安森さん。
PIECESに興味を持った理由は、安森さんには“子ども達が24時間どこでもかけこめる場所を作りたい”という夢があったから。その夢を叶えるためには、様々な子の事情や問題を知ることや、その問題の解決方法のプロセスを知ることが必要だと考え、PIECESで活動しているのです。

「勉強しようと思っても、気持ちが安定していないとできないから。」

学習支援を通して勉強を一緒にやることも、もちろん子どものためになります。ですが、学習支援では、勉強をすることがメインで、どうして勉強ができないのか?どうしてやる気がでないのか?という、気持ちの部分まで介入することは難しいそうです。つまり、その子が勉強したいときは勉強の時間を過ごし、遊びたいときには全力で一緒に遊べるような寄り添い方は、学習支援ではできません。

だからこそ、子ども達と、継続的に、また、目的のある支援ではなくて、目の前のその子に元気に生活を送ってもらいたいという思いで関わりたいと思っていた彼女は、勉強以外の何事にも一緒に取り組むことができる“PIECESのコミュニティーユースワーカー”に魅力を感じたのです。

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他愛のない話をする場の大切さ

 

安森さんが「24時間どこでもかけこめる場所を作りたい」という夢を持ったきっかけは、彼女の家庭事情が原因でした。家にいることがどうしてもつらくなったときに、彼女は家出をします。しかし、家を出たはいいものの、彼女はどこにも頼れる場所がなかったのです。

『家でごたごたになって、家嫌だ、ってなって、家を出た時があって。これからどうしよう、どこに行こう。って思ったときに、どこにも行ける場所がなくて。』

自分の家庭事情を誰かに相談したいと思った時も、今通っている学校の先生を積極的に頼ることはできませんでした。「先生と生徒」という距離に壁を感じたのです。
また、友達から頼られることが多かった安森さん。友達の間で彼女は「頼りになる人」となってしまい、彼女が「頼れる人」はいませんでした。
途方に暮れていたところに交番を見つけて近くまで行ってみたけれど、中には人がおらず、電話が置いてあるだけ。安森さんは“人に迷惑をかけたくない”という気持ちが人一倍強く、交番に置かれた電話を頼ることもできませんでした。

『電話するほどの事なのかなって、どうしようって、電話して警察に来てもらうのも申し訳ないし。迷惑かけたくないし。交番を出て、目の前の道路に飛び込んじゃおうかなって思った。』

そんな安森さんは、彼女が卒業した小学校に、まだ明かりがついていることに気づきました。先生たちはまだ仕事をしていて、安森さんはそこにいた先生に、「母校に遊びに来てみました。」と声をかけ、自分の知っている先生の話や、なんの仕事をしているのかなどの会話を交わしたのです。家庭事情や、自分の悩みを聞いてもらったわけではありません。ですが、先生たちと交わした他愛のないに会話に、安森さんは救われたのです。

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しんどいことを必死に隠そうとしてしまう
子どもの支えになりたい

 

『先生には、「安森さんはいつも笑顔で、幸せそうね、親の育て方がよかったのでしょうね。」としょっちゅう言われていた。クラスの同級生にも、「おまえほんと楽しそうだな、良いことでもあった?」とか。私がいつも笑っているから。辛いことあっても全然気づかれない。だから、先生に自分の家庭事情を話したときは、逆にひかれた。「よく学校来ているね。」って言われたこともある。』

安森さんの明るく元気な性格から、学校の先生にも、クラスの同級生にも、自分の辛さに気づいてもらえず、誰にも弱さを見せられないつらい生活を強いられていました。
だから安森さんは、自分自身のような、つらさを1人で抱え込んでしまうような子、人に頼りたくても頼ることのできない子の支えになりたいと思っています。

『毎日のように日常会話をできる人じゃないと、何かあった時に、安易に「助けて」が言えないと思うから。』

他愛のない日常報告をしながら、会ってはないけれどつながっている、という感覚を持てる人がいること、また、実際に会って、一緒に遊び、料理を作りながら会話を交わすことが、どれだけかけがえのないものか。
そのような人間関係が、当たり前にあるものではないものだということを肌で感じた安森さんだからこそ、彼女は自分らしく、コミュニティーユースワーカーとして活動しています。

 

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子ども達の可能性を広げたい

 

安森さんが作っている居場所が、1人1人の高校生居場所になること。そこに来る同級生や大人と関わることを通して、子ども達に、自分の世界を広げていってもらうこと。また、人と信頼関係を作っていくプロセスを、居場所を通して実感してもらうこと。
これが、安森さんが子ども達に対して抱いている想いです。

様々な事情から、親が、1人1人の子どもの可能性を引き出してあげられなかったかもしれない。けれど、自分ってこんなことできるんだ!と、子ども自身で気づくきっかけになったり、周りにはこんな人もいるんだと、また、自分の知らない世界はたくさんある、ということに気づいてもらえるような場にしていきたいと話してくれました。

居場所を作り始めてから1年。安森さんは、今は子ども達と信頼関係を築き、安心感の土台作りをすることを大切にしています。そのうえで、様々な職業の人と接する機会を設けたり、高齢の人と触れ合ったりしながら、『ありがとう』という言葉を通して、子ども達の自尊感情を高めていきたいと考えています。

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人のために生きるには、
まずは自分のために生きること

 

「PIECESの魅力は、人だ。」という安森さん。PIECESに所属している人は、価値観を押し付けずに他人の意見を尊重しながらも自分の価値観を伝えることができる人の集まりです。相手の言いたいことを上手く引き出してくれたり、話をした時に受け入れてくれる力が強い人の集まり。人への尽くし方が上手い人が、たくさんいます。

安森さん自身がなにか辛い思いをしている時、話したいと思えるのは、PIECESのメンバーです。一緒に活動をしていく中で、厳しいことを言われる時もあります。けれど、「本当に自分のことを思って、言ってくれている」ということが伝わってくるから、安森さんは安心してPIECESのメンバーを頼りにしています。

安森さんに「コミュニティーユースワーカーとは?」と伺った時、「希望」と、答えてくれました。「“希望”しかでてこない。」と。
PIECESを通して、これから更に、そのような想いを持ったコミュニティーユースワーカーは増えていき、それは子ども達の生きる希望になり、また、社会にとっての希望になっていくのでしょう。


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光成雛乃(みつなりひなの)
お茶の水女子大学 生活科学部 人間生活学科 発達臨床心理学講座4年
広島県出身でお好み焼きが大好き。中学生の時新体操部に所属していたため、いまだに体が柔らかい。PIECESでは実際に現場に行って子どもと関わり、広報ではインターン生としてライターをしている。

【CYWずかん】「ちょっとだけ会う」を続けて、見えてきたこと。 社会人だから考えられる 支援の在り方の多様性

頑張りすぎない支援のかたち

 

皆さんは、コミュニティユースワーカー(CYW)に対して、どのようなイメージがありますか?

子どもと一緒に遊んだり、勉強を手伝ったり、楽しくおしゃべりをして過ごしたり。きっと、子どもと一緒に過ごして親密な関係を築いていく人たち、というイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。

もしかしたら、PIECESという団体や、子どもの支援の活動に興味がある社会人の方のなかには“支援”ということを考えてどうしても、

「そうはいっても仕事をおざなりにするわけにはいかないし…」
「子どもと親密な関係を築いていきたいが、中途半端に関わるのもいかがなものか…」

と、なかなか子どもの支援に関わっていく一歩を踏み出すことのできない方もいらっしゃるかもしれません。それはとても自然なことだと思います。

今回ご紹介する中村朋也さんは、平日昼間は公務員として働くCYWです。彼は公務員という立場上、平日の活動にあまり参加することができず、子どもと継続的に関わり、密接な関係を築くことが難しく感じていました。
最初はなかなか活動に参加することが出来なかった中村さんは、頑張って「たくさん会う」ことで子どもたちと密接な関係を築いていくのではなく、子どもを含め色々な人に「ちょっとだけ会う」を続けることで信頼関係を構築していくようになりました。

では、「ちょっとだけ会う」とは具体的にどういうことでしょうか。今回は、社会人という環境下で活動するコミュニティユースワーカー、中村さんなりの関わり方を探っていきます!

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余裕のない大人の社会に、0.1%の余裕を

 

現在、公務員として働くCYW一期生の中村朋也さん。主に豊島区にある、中高生のための児童館で、毎週金曜日と日曜日に活動しています。

中村さんはPIECESに対し、児童館での活動に参加するCYWの人員調整などを毎週する一方で、児童館の職員に対しても定期的に連絡を取ってイベントの日程調整などをする、PIECESと児童館の架け橋的存在です。

公務員という立場上、平日の昼間に活動することが難しい中村さんは、仕事後や仕事の合間に出来る関わり方として、現状に至りました。活動では、子どもとの関わりはもちろん、大人との関わりにも気を付けているといいます。

 

 ”たとえば児童館の職員は、週5で子どもたちに関わっているので、子どもの情報量や関係性はPIECESよりも確実にあります。更に、PIECESに好意を持って活動させてくださっているからこそ、尊重し、しっかりと継続したコミュニケーションを取ることで、CYWと職員との双方に心地よい空間がつくれるよう心がけています。”

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児童館の職員と定期的にコミュニケーションを取りつつ、CYWとも連携します。CYWには、活動に参加してほしい気持ちはあってもそれを押し付けず、CYW自身がリラックスした状態で活動できるよう、心がけているそうです。

また、子どもの関わる社会全体を考えたときに、社会には余裕がないように感じられる、と続けます。社会をかたちづくる存在の大多数は大人です。そんな大人ひとりひとりに、他者にやさしく接するだけの心の余裕がないと、結果的に社会全体の余裕がなくなってしまう、と中村さんは考えています。

子ども達が関わる社会とPIECESがつながっていれば安心です。しかし、そんな子ども達がPIECESのもとを離れて飛び込んでいく社会に余裕がないと、PIECESのもとで取り戻した尊厳を、また失いかねないのではないだろうか。そのように中村さんは危惧しており、子どもの支援をしているからこそ、大人にエネルギーを割くことの大切さに気付きました。

 

 ”例えば自分がAさんの話を聞いて、Aさんに0.1%の余裕が生まれたとして、そのことでAさんは他の人にやさしく接することができる。そしたらそのやさしさに触れた人にまた余裕が生まれて、その連鎖が続いていく。そうやって、大多数の大人みんなに0.1%の余裕が生まれれば、社会全体に余裕が生まれるんじゃないかなって思うんです。”

 

中村さんが「100%」ではなく「0.1%」の余裕をつくることを心がけているのには理由があります。
たとえば相手の中にあるなんらかの課題に対して、自分が「これがいい!これで課題は解決する!」と考えて余裕をつくる努力を100%した場合、目の前にある課題は解決されたかのように見えるかもしれません。しかし、相手の課題を100%自分で解決しようとしたときに、相手の成長や自立、達成感といった長期的な解決を妨げてしまう可能性もあるのです。

そのため、中村さんは「0.1%」の余裕をつくることで相手の成長に寄り添うことができ、子どもも大人も自分らしさを感じられる充実した社会ができるのではないかと考えています。そうした社会を実現するべく、中村さんは大人とのコミュニケーションも大切にしているのです。

 

相手の心に伴走するコミュニケーション

 

大人とコミュニケーションをとることを大切にしている中村さんがPIECESに興味を持ったきっかけもまた、コミュニケーションでした。

過去に職場でパワハラが起きた際に、頭ごなしに正論を部下にぶつける上司を見て、「いくら正しいことを言っているとしても、相手に伝わらなければ意味がない」と感じた中村さんは、コミュニケーションに興味を持ちました。その後、コーチングを勉強したり傾聴のワークショップに参加したりするうちに、職場以外で学んだことを活かす場所を探し始め、ボランティアという関わり方にたどり着きました。

 

 ”最初は対人のボランティアを探していて、学習支援系のボランティアがたくさん見つかりました。けど、学習支援だと「教える側」と「教えられる側」で関係が完結してしまっているように感じて、自分のやりたいこととは違いました。そんな中、子どもに寄り添って伴走するという、唯一ぴたりとくる考え方だったのが、PIECESでした。”

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中村さんがワークショップなどで学んできたことは、相手とは対等の関係性で相手の心に寄り添って、相手自身の中にある答えを導き出すのを促す、という役割でした。そうした役割を活かす可能性が詰まっていた団体が、PIECESだったのです。

しかし、PIECESの理念が中村さんにとって素晴らしいものでも、職場で共感されることはあまりないそうです。しかし、共感されなかったことで気づいたことがあったと、以下のように仰いました。

 

 ”自分の正解は相手にとっての正解じゃない可能性もある。PIECESの活動を職場の人に話したときに「自分の場合はこうだったよ」という風に反論する人もいて、自分が何かを主張した時に、何かしらネガティブな感情を抱く人もいるということを知りました。それからは、自分が何かを話すときにはその裏で悲しんでいる人もいるかもしれないということを念頭に置いて話すようにしています。”

 

子どもにとって心地よい社会をつくることで、
すべての人にとって心地よい社会をつくりたい

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中村さんにとってCYWとはどのような存在か伺ったところ、CYWはちょっとだけ栄えた「街」である、というこたえが返ってきました。

 

 ”子どもにとって必要な様々な資源が散らばっている「街」のような状態が、CYWという存在だと思います。密に関わるCYWは迷ったら相談できるような存在なので、その子の目の前にあるコンビニです。そのCYWが忙しかったりして関われないときに行く、ひとつ先のコンビニというポジションにもCYWはいます。自分は、ここにいけば何かはあるだろう、というセーフティネットのような、歩いて10分のスーパー、もしくはコンビニや街灯がうまく稼働しているか点検する人かもしれません。”

 

自身もCYWとして子どもと関わる一方で、活動の場を俯瞰して見ている中村さんは、CYWという概念をこのように表してくれました。恐らく、子どもとも大人とも密接に関わる中村さんだからこその表現なのではないでしょうか。

すべての人にとって心地よい場所を提供すること。それは、一期生としてCYWの在り方や団体との関わり方を模索した末に見つけた中村さんならではの関わり方であるといえます。子どもや大人という言葉の枠にとらわれず、すべての人に心地よい社会をつくるための中村さんの草の根運動は、少しずつではあるかもしれませんが、しかし確実に世の中に広がっていくことでしょう。


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立教大学ドイツ文学専修4年 渡邊紗羅
PIECESで広報としてイラストを描いてチラシなどを作成しているうち、PIECESに関わる人たち一人一人の魅力を文字で伝えたいと思うようになり、『コミュニティユースワーカーずかん』シリーズを企画。映画鑑賞が趣味で、暇さえあれば劇場にお金を溶かしてしまうため常に金欠気味。PIECESでのあだ名は「さらたん」。実は大学のサークルで呼ばれた「さら単細胞」が由来で現状に至る。

 

 

家庭に悩みを抱えた子ども達の支えになりたい~知識も経験もない大学生の私にできること(糸賀貴優編)~

  

こころの支えになる人

突然ですが、みなさんにとって家族って、どんな存在ですか?
それでは、しょっちゅう会えるわけではないけれど、「あぁあの人に話したいな。」と、ふと思い出す人を思い浮かべてみてください。その人は、みなさんにとって、どんな存在ですか?この2者の存在に、共通するものはありますか?
私は中学高校とお世話になった先生がいます。私が高校を卒業し、進学のため上京してからも、誕生日、成人式…ふと先生のことを思い出して連絡をしてしまうし、これからも私は、人生の節目節目に、先生に連絡をしてしまうのでしょう。「きっとこの人は、私の事を温かい目で見守ってくれている。」その安心感が、家族と先生の存在に共通していると私は感じています。

安心感は、人が生きていくうえでの自信につながります。1人でも多くの子ども達にとって、安心感を与えられる家族のような存在になりたいと、活動を続けているCYWもPIECESにはいます。
今回スポットを当てるのは、そんなCYWの第2期メンバーである糸賀貴優さんです!

 

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「家族のことで悩みを抱えた子ども達の支えになりたい」
その思いを実現してくれたPIECES

現在、慶応義塾大学法学部3年生で、家族法や、家族社会学についての勉強をしている糸賀さん。自分の過去の経験からも、人の家族の話を聞くのが好きで、家族の意義や在り方に関心を持ち、高校生の頃から里親養子縁組のイベントや勉強会に参加していたそうです。その経験も生かして、家族のことでなにか悩みを抱えている中高生の子たちが、悩みを相談できる居場所づくりがしたいと、その思いをずっと温めてきました。
充実した大学生活を送る糸賀さんは、PIECESの2期生募集をFacebookで知りました。そこでPIECESに参加することを決めた理由は、専門家のバックアップのある状態でやりたいことが出来る環境が、PIECESには整っていたから。なにか力になりたいという気持ちはあって、でも不安が勝り行動に起こせない人でも、PIECESの環境でなら自分らしく活動ができると確信し、糸賀さんはPIECESに一歩を踏み出したのです。

 

仲良くなった先に一歩踏み入れる勇気を持つこと

PIECESでは、実際に子ども達を集めて、勉強を教えたり遊んだり、料理イベントを通して子ども達の居場所作りをしている糸賀さん。誰とでもすぐに仲良くなれる糸賀さんだからこそ、子ども達と仲良くなっても、何かあった時に相談したいと思ってもらえる存在になれているのかどうか、不安になると言います。
子ども達にとって、糸賀さんはどういう立ち位置なのだと思うかを私が聞いた時、「男の子からしたら、私は頼られるタイプじゃないから、にぎやかし位置なんだけど、いないと寂しいな、みたいなタイプだと思う。女の子からしたら、結構話しやすいんだろうなとは思う。ノリが若いから、恋バナも話せるしね。」 と糸賀さんは答えてくれました。
勉強も遊びも一緒に全力でやる
お兄ちゃんお姉ちゃんみたいな立場のCYWだからこそ、支えられることがあるのではないでしょうか。

 

子どもの支えになる前段階として大切なのは、
自分の価値観をきちんと認識すること

PIECESの良いところとして、ゼミ形式の研修があることを糸賀さんは挙げています。自己理解のためのゼミが多く、自己理解を通して自分の価値観を自分で認識し、そのうえで、自分の価値観に引きずられることなく、その子にとっての適切なアドバイスをしようと心がけるようになれると言います。
子どもの相談にのる時、CYW側の価値観がとても反映されたアドバイスになってしまうことに、糸賀さんは課題を感じています。人の人生の事なのに、自分の価値観が色濃くでたアドバイスをしてしまうことは良くないのではないか、と。そんな時にPIECESのゼミは、糸賀さんにとって、また、糸賀さんにつながっている子ども達にとって、良い影響を与えているのでしょう。

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長く関わる事で見えてくるもの

子ども達が集まる居場所に通い続けて1年ほどたつ糸賀さん。始めの頃は、「居場所に行っているだけだな。子ども達と遊んでいるだけだな。」と考えてしまい、少し悩む期間があったようです。ですが糸賀さんは、子どもにとっての自分の立ち位置や関わり方を考え続け、この居場所に自分の存在意義を見出していきました。
時が経つにつれて、子ども達と関わるだけではなく、居場所を作っている大人側の人間や、居場所の卒業生の子と関わるようになっていきます。子ども達と関わることと同様に、大人側の人間と今後のPIECESについての話をすることを、糸賀さんはとても大切にしています。

 

人との関係に終わりはない

「達成感を少しずつ感じながら進んでいると思っていたはずが、結局わからない。」と、糸賀さんは言います。子どもと接することを含め、現在の活動は、「子どもにとっては私じゃなくてもいいのではないか」と悩むこともあったそうですが、現在は深く考えすぎないようにしているそうです。成果がでているかどうかは他人の気持ち次第で決まる、と切り替え、その中で自分が出来ることを見つけて居場所に関わり続ける糸賀さんは、これからも子ども達にとってかけがえのない、大切な存在であり続けるのでしょう。
「目の前にいるその子」との関係性に、終わりはありません。だからこそ、もどかしさや無力感を感じることもあるでしょう。ですが、子どもからの反応がダイレクトに返ってくるぶん、自分が認められた瞬間は、とてもかけがえのない経験になると私は思います。

コミュニティーユースワーカーをやっていると、自分の存在意義を感じる場面がたくさんあると糸賀さんは言います。PIECESを通してコミュニティーユースワーカーは子どもたちと会います。仲良くなるまでは難しいけれど、それを乗り越えたところに、自分の存在意義を見出しているのでしょう。一回目会って無視、二回目で反応はされるけどそっけない、三回目でやっときちんと反応してくれて、徐々に話せるようになって卓球とか一緒にしてくれるようになって、最終的に悩みを打ち明けてくれるようになる。そうやって、人と心の距離を徐々に縮められることにやりがいを感じ、これからも続けていきたいと話してくれる糸賀さんの表情は、とても誇らしそうでした。

 

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PIECESは想いを語れる場所

「家族の話を聞くとその人の性格や考え方が見えやすいと感じることが多いから、他人の家族の話を聞くのが好きです。」という糸賀さん。だから今後は、10代から20代の子の結婚観や、家族構成や家族とのエピソードに耳を傾け、それを記事にして多くの人に伝えていきたいと考えているようです。自分の想いを「やりたい」と言える環境がPIECESにはあります。そこから「いいじゃん!」が生まれ、また新しく、想いがカタチになっていくのです。
自分の想いを言葉にして他人に伝えることは簡単だとおもっていたけれど、実はそうではありません。でもそんな中、自分のやりたいことを言葉にして伝えられる糸賀さんを私は尊敬しています。また、そうやって自分の想いを言葉にして伝えられる人が増える世の中になっていけば、更に生き生きとしている人が増え、社会が明るくなるのではないか、と私は思います。

子どもでも大人でも変わらず、人は未熟です。だからこそ、ずっと気にかけているわけではないけれど、ふとした時に思い出せる大切な存在がいることは、人が生きていくにおいて、とても大切なことです。そのような、人との関係性を築いていける環境が、PIECESには用意されています。自分のへこんだところを人に埋めてもらう、人のへこんだところを自分が埋める。そうやって人間関係を築いていくことは、素晴らしいことではないでしょうか。

 


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光成雛乃(みつなり ひなの)
お茶の水女子大学 生活科学部 人間生活学科 発達臨床心理学講座4年
広島県出身でお好み焼きが大好き。中学生の時新体操部に所属していたため、いまだに体が柔らかい。PIECESでは、実際に現場に行って子どもと関わり、広報ではインターン生としてライターをしている。

【CYWずかん】塚原萌香さんと「もえかん家」~10代ママひとりひとりが前に進むためのとまり木に~

人とのつながりが人を生かしていく

「この人にだったら相談できる。」そう思える人がいればいるほど、人って強くなれると思いませんか。メッセージや電話でももちろん伝わるけれども、直接顔を見て話すことでしか伝わってこないものを大切にしたい、と私は思います。

直接人と会わなくても生活が成り立ってしまう時代に生きている私たち。そんな中で、直接ママと会う機会を設けてママの悩みに寄り添い、そのママにとっての頼れる人を増やしていく。そういう関わり方でママを支えているCYW(コミュニティユースワーカー)がPIECESにはいます。
今回スポットを当てたのは、そんなCYWの第1期メンバーであり、10代ママに寄り添うプロジェクト「もえかん家(ち)」を運営する塚原萌香さんです!

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ふと思い出してもらえるような存在に

保育士になって3年目の塚原さん。PIECESでは、「もえかん家」という名前を付けて、10代ママが集まる場を作っています。そこに集まるママは、虐待家庭で育ったり発達障害があったり、貧困家庭に含まれるなどの様々な背景を抱えています。

塚原さんは、そんなママ達と個人的に会う機会を設けて、最近の近況、仕事、プライベートを聞きながら、困っていることや必要なことがあれば、それぞれの専門の人や団体につなげるという立場でママをサポートしています。
「安心基地かな。」 これは、私が塚原さんにとってのCYWの位置づけを聞いた時、最初に返ってきた言葉です。なにか困りごとがあったときに気軽に相談できる存在でありたいと、塚原さんはそう付け加えてくれました。頻繁に会えても月に一度で、毎日ママと連絡取りあっているわけでもありません。ですが「もえかん家」はまさに、ママにとっての「安心基地」になっているのです。

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フィルターを通して人を判断しない

”ママにはいろんな背景があって、昔遭っていた虐待がかなり酷かったり、壮絶な過去をもっていたりすることもあります。けれど背景関係なしに、まず私の目の前にいる“ひとりの人”として見るようにしています。”

PIECESでママと関わるようになって、塚原さん自身が「自然体で関わる事の大切さ」を学んだと言います。また、塚原さんはママの前で、自分の欠点も隠さず出すようにしているとのこと。塚原さんが過去も含めてさらけ出すことで、ママも打ち解けやすくなるような雰囲気が作られるのかもしれません。

ママが自分の過去を話してくれた時の受け止め方が難しいと塚原さんは言います。虐待に遭ったことがないから「わかる」と言いたくない。「わからないけど、気持ちを受け止めたい」という気持ちで接するように心がけているそうです。学生の時から、虐待に遭っていたり辛い経験を持つ人から話を聞いていたという塚原さん。その人たちから「わかるよ」と言われるのが嫌と聞いたり、その人たちと関わる中で、「背景関係なしに、その人はその人なんだ。違うことが当たり前なんだ。」ということを実感していったと言います。

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模範解答ではなく、ひとりひとりにとっての正解を見つけたい

支援する、されるという関係ではない。ママとは横並びの関係でありたいのだと塚原さんは強く言います。客観的に見ると“支援している”と捉えられがちなCYW。しかし塚原さん自身はママを助けているつもりはなくて、むしろママの存在に私が助けられる時もあるそうです。「CYWという立場としては、もう少し斜め上の関係であるべきなのかもしれないですけどね。」とほほ笑む塚原さんですが、フラットな関係だからこそ、塚原さんはママと信頼関係が築けているのではないでしょうか。

ママと連絡が途絶えてしまった時、その原因が自分なのではないかと自分を責めてしまっていたことがあったと言う塚原さん。悩みながら、「ママを助けてあげたい」という塚原さんの強い気持ちが、ママにとっては圧迫になっているということに気づき、ママの視点から考えて行動するようになったと言います。

実際にママの気持ちを聞いていくと、客観的にみて正解だとされるものが、ママにとっての正解ではない、ということもあるそうです。だからこそ、直接会って、長いスパンで関わり続けることで、その人それぞれにとっての正解を見つけられるのでしょう。

生きていくうえでの支えになるものとは

たくさんの人と人とのパイプを作っていくことが、ママの精神状態には良いのではないか、と塚原さんは言います。けれども、塚原さんとママのパイプがメインになってしまい、ママのパイプを増やしてあげられていないところに、塚原さんはご自身の課題を感じているようで、まずは自分の環境を広げたいと意気込んでおられました。

塚原さん自身が昔悩んでいた時、たくさんの人と繋がっていたことで助かったことがあるそうです。悩んだ時に、「この人にだったら相談できる」と、そう思える人が多ければ多いほど良いから、ママが悩んだときに、「この人なら。」って思えるような人とつなぐ立場でママのことを支えたい、とおっしゃっていました。

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これからの「もえかん家」

 CYWの3期が入って、10代ママの活動もチームで活動するようになりました。塚原さんはこれまでの経験から、チームでの活動に少し苦手意識を持っていたようですが、チーム作業をしていく中で、言葉を交わさないとより良いものになっていかないこと、チームだからできることがたくさんあることに気づかされたと言います。

10代ママの活動として、塚原さんがじっくり関わっているのは2人です。だから、もう少し多くのママと深く関わりたいと塚原さんは考えておられます。一気に関わるママを増やしたとしても、せっかくつながったのに自分が忙しくて余計ママを傷つけてしまう可能性もあるから、そこは慎重にやらなきゃいけないのだと真剣に語られる姿を見て、ママのことが本当に大好きだということが伝わってきました。

PIECESでは、「子どもの孤立」という問題に向き合い続けています。塚原さんが尽力しておられる10代ママの孤立をなくすという活動も、最終的には「子どもの孤立」を防ぐことにつながっていきます。

大切なのは、信頼できる1人の大人の存在。たった1人でいいんです。家族でもない、支援者でもない、子どもと信頼関係を築ける人。そんな大人が増えれば、「子どもの孤立」は減っていくのではないでしょうか。


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【CYWずかん】学力だけじゃない、いろんな形でたくさんの子の内側を引き出したい。大畑麻衣花さんの「まなざし」とは?

支援ってなんだろう?

「支援」という言葉はなんだか、人との関係に距離をうんでしまう言葉のように聞こえないでしょうか。「子どもを支援する」といってしまうと、支援者としての「おとな」と、被支援者としての「子ども」の立場がはっきりと区別されてしまうようにイメージしてしまいませんか。

PIECESの活動も、子どもに対する支援のかたちのひとつといえるでしょう。しかし、PIECESで活動しているコミュニティユースワーカー(CYW)たちは、「おとな」でも「子ども」でもありません。「子ども」をサポートする「おとな」というより、たくさんの可能性を内側に秘める子どもたちに寄り添う存在として、PIECESで活動しています。

そんなCYWたちは、日々、何を感じて、何を考え、どのように、PIECESとして活動しているのでしょうか。PIECESで活動する彼ら一人一人の活動と想いを、『コミュニティユースワーカーずかん』シリーズで紹介していこうと思います。このシリーズを通して、PIECESと子どもとの関わりを探っていきましょう。最初にお話を伺ったのは、CYW2期生としてPIECESで活動している大畑麻衣花さんです!

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PIECESは安心基地!

現在、お茶の水女子大学三年生の大畑さん。子どもと一対一のかかわりを持つことで、子どもたちが持つ可能性を引き出していきたいという思いから、PIECESで活動しています。

児童相談所でも活動をしている大畑さんは、そこで見る子どもたちの状況に対して疑問を持つようになりました。「この子たち、こんな生活してるんだ。どこに救われているんだろう。」そしてその疑問が根本的に解決されることはありませんでした。そんなとき、Facebookで流れてきたCYW二期生の募集を見つけて、大畑さんとPIECESは出会いました。

PIECESでは、主に学習支援をしたり、体を使って子どもたちと遊んだりして、子どもとの関係を深めています。

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”対人支援をしていると、正解がわからない世界だからこそ、「失敗しちゃいけないんじゃないだろうか」ということを考えて身動きできなくなることもあります。でも、何かあったらプロの人が助けてくれるだろうくらいの気持ちでやるとちょっと楽になるので、話を聞いてくれる人のいる、戻れる場所があるということに安心できます。”

 

どんな話でも受け入れてくれ、頼れる存在であるPIECESは大畑さんにとって戻ってこられる場所であり、同時に心地よい空間であると言います。そしてその感覚はおそらく子どもにもあてはまるのでしょう。大畑さんは、PIECESの「居場所がない子の居場所をつくる」という理念に共感して活動をはじめていきました。

”場所に来てもらうという受け身な姿勢だけでは繋がりきれない子に繋がりに行く、という姿勢がすごくいいなと感じました。まだまだ認知できてなくて救われない子がいたりするんじゃないのかなって思ったんです。”

また、PIECESの子どもに対する姿勢についても共感する部分が多くあったといいます。

”個人が大人になるまでに身に付けておきたいスキルって学力だけじゃないですよね。PIECESは、それが学力だけじゃなくていろんな形があるということを、前提としている。その子に合わせた形でいいから来てもらおうとしている。そういった姿勢に、「いいな、そうだよな」って。”

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実際に活動するうえでは、CYWをはじめとした多くの人とかかわることができるため、自分の価値観に気づいたり、視野を広げていけたりすることができるのも魅力の一つである、と、大畑さんは続けます。子どもの発言や、優しく接してもらって自分の凝り固まった価値観に気づくことができたときには、「CYWはみんな、子どもに助けられているんだなあ」と感じたそうです。

大畑さんは、今の活動では、現場でCYWが子どもとどのように関わっているのかという状況を把握することが多く、一対一で密に関わるということを実践することが今後の課題だと笑って述べました。自分や現場の状況を客観的に判断することを得意とする大畑さんが、その課題に挑戦できる日が来るのは、きっとそう遠くはないでしょう。

 

プロじゃない、自分の立場だからできること。

PIECESという安心基地を起点に活動してきた大畑さん。現在は、大学三年生という立場もあり、将来のことについて具体的に考える時期にさしかかっています。今後の進路について尋ねたところ、こう語ってくれました。

”ファーストキャリアは普通の会社に入って、最終的に大きなことをするための経験を積んだ方がいいんじゃないって言ってくれる人もいるし、いろんな考えがあるのかもしれないけれど、私は、今は自分の可能性を広げていきたい。プロじゃなくても、いろんな子に関われるようになって、関わった子たちの内側をもっと引き出せるようになりたい。家庭環境とか、個人の特性とか、そういう部分でスタートラインが遅れているような子たちに何らかの形で一生関わっていきたいんです”

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社会では、合理的にみて、能力があるけれど貧困な子を伸ばしたら社会的に良くなるというように考えられる人はいっぱいいます。大畑さんはそうではなく、どんな子であれ、自分が感情的に関わりたいと思った子たちがいつでも戻ってこられる場所を提供してあげたいと強く感じているそうです。

「いつでも戻ってこられる場所」。それは大畑さんにとってのPIECESです。PIECESでは、様々な強みを持つCYWを通じて、子ども一人一人に寄り添える居場所を提供しています。PIECESでの活動を通して、CYWがそれぞれのかかわり方で子ども一人一人に関わっていくと、子どもにとってのCYWがいつでも戻ってこられる居場所になるのではないでしょうか。

「居場所がない子の居場所をつくる」ための大畑さんの挑戦は、これからも続いていきます。

 

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立教大学ドイツ文学専修三年 渡邊紗羅
PIECESで広報としてイラストを描いてチラシなどを作成しているうち、PIECESに関わる人たち一人一人の魅力を文字で伝えたいと思うようになり、『コミュニティユースワーカーずかん』シリーズを企画。映画鑑賞が趣味で、暇さえあれば劇場にお金を溶かしてしまうため常に金欠気味。PIECESでのあだ名は「さらたん」。実は大学のサークルで呼ばれた「さら単細胞」が由来で現状に至る。